2/19 的確な猪瀬東京都副知事のメトロに対する認識
東上線のダイヤ改正についてご紹介したが、それに連動する地下鉄有楽町線、副都心選のダイヤ改正が発表されている。本当は、ダイヤ改正のポイントを公開すべきなのだが、いきなり時刻表そのものを公表している。おそらく改正のメリットがないか、うまく伝えられない程度のものなのだろう。
有楽町線の時刻表を見ると、やはり夕方のラッシュ時間は、1時間13~14本程度で、おおむね4.5分~5分間隔。今までどおり。したがって、混雑による恒常的な遅延は解消されないだろう。
●猪瀬直樹「地下鉄は誰のものか」(ちくま新書)を買い求める。東京の地下鉄の一元化を求める東京都の立場を代弁した本で、都営地下鉄を東京メトロが引き取らないことの運賃の弊害ばかりが目立つが、それ以外の批判はしつこい猪瀬氏だけあって正確な認識だと思う。東京の地下鉄一元化に関する協議会での猪瀬の発言、
「年間700億円もの経常利益があり、2000億円もの剰余金がある。そういう優良企業の東京メトロはバリアフリー投資に消極的で、新線も作らないというのだから混雑率にも有効な手だてを打っていない。にもかかわらず不動産投資にはずいぶん積極的ですね。池袋から西に伸びる有楽町線ではマンションが2006年に急速に作られている。地下鉄建設当時、用地買収した土地が、ずっと資材置場という名目で放置されていて、民営化されたとたんにワンルームマンションで収益を上げようとした」
というのは改めてこの会社の今の体質を伺い知ることができるものだ。
また、自治体の経営責任者の一人として、同書のなかの
「通勤地獄を少しでも解消してサラリーマンに元気で会社に出てきたもらうことはヤル気の面での成長戦略であろう。通勤で精力を使い果たしていたら、仕事の活力も生まれない」
という言葉も、いい。また完全民営化について、株主利益の最大化という観点からはもはや混雑緩和のための設備投資はほとんど行わない、という論理的帰結となることを明らかにし、株主の利益と利用者の利益が相反する場合、利用者の利益に立つべきとしているのも良い。
猪瀬氏について、この件についてはがんばってもらいたいと思う。
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コメント
そもそも民営化する必要がなかったのではないのか、と強く思います。
公営のままであればバリアフリー投資は公の使命として既になされているでしょう。
「民営化」というもののの欠陥が現れています。
投稿: 一国民 | 2011.02.20 10:30
民営化の是非はともかく、ガバナンスがあやふやな公共交通の企業体というのは、改革が不可避だったとは思います。
一方民営で公共交通をやろうとすると、どうしても投資を避けるようになります。儲からない本業を手っとり早く支えようと金融や不動産投資に前のめりになります。このことの問題点も克服する必要があります。
都直営となると、今度は定員管理をはじめ人事マネジメントが、議会等に縛られ、硬直化します。
そうしたことのなにかでのベストな方法は何かと思います。
投稿: 管理人 | 2011.03.20 17:17