1/21 統一自治体選が近づき・マンションへのビラ配布が話題に
統一自治体選挙が近づいていくる中で、マンションへの政策ビラ投函が話題になり始めている。
立川反戦ビラ事件や、葛飾区の政党ビラ配布事件の摘発とその後の最高裁判決が尾をひいていて、マンションには政治ビラは投函しない方が無難という、候補者側の態度が起きている。この最高裁判決は読み返せば読み返すほど不思議な判決で、自由権の根幹にあるビラ配布程度の政治的自由より、住居不法侵入という受忍限度とも言えるような「迷惑行為」の防止を優先したものと言える。
マンション住民が3分の2を超える朝霞市のようなまちでは、それだけの市民が地域の政治情報を手に入れられないでいる。結果として、有権者数が65000人の30年前から、100000人を超えた今に至るまで、市議選の投票数は37500人前後で固まってしまっている。市民の過半数が何の情報もなく市議選、市長選に挑まざるを得ないのだ。
つくづく、共産党や新左翼を警察・検察・裁判所が一体となって摘発するために、法律の応用を効かせすぎたあの一連のビラ配布に関する判決の弊害を思い知る。先進国どころか開発途上国でも、ビラ配布自体が迷惑行為として取り締まっている国なんて聴いたことがない。自由のない国ではビラ配布自体で逮捕されるじゃないか、と言われる人もいるだろうが、そういう国が取り締まっているのは、ビラ配布自体の政治行為やビラの内容と、明確に政治弾圧として取り締まっていて、日本みたいに政治ビラの配布が立ち小便と似たような犯罪として扱われながら実体は政治弾圧しているというのもおかしな話である。
背景にある日本の政治文化も問題だと思っている。合法の政治活動や選挙運動をしても、有権者から「違法だろ」って食ってかかられることが少なくない。政治に関わっている人がやっていることは違法行為に違いないと思わせるような文化や、それに支えられている、およそ一般国民には何が合法で何が違法か明確に理解できないような公職選挙法の選挙運動規制に問題があるし、源流をたどると、昭和初期の普通選挙の導入に対する内務省が音頭を取って始めた選挙粛正運動に源流がある。
ところで、現時点で最高裁判決をもとにビラ配布の可能な範囲について再確認すると、
○マンションに政治であろうがそうでなかろうがビラを配布するのは自由。
○ただし「ビラ投函目的の立ち入り禁止」と書いているマンションにビラ投函をすれば「住居不法侵入」で摘発されるおそれあり。
○「立ち入り禁止」札があっても、知り合いの人だけにビラ投函するなら問題なし。
ということになろう。
しかしこんな違憲判例を守ることが、社会を良くするコンプライアンスなのだろうか。国民が権力をコントロールする民主主義の基本原理に抵触するようなものを悪法も法として済ませていいのか疑問である。
●一方、近隣の中堅デベロッパー(リ●ンとか●)が開発したマンションに多いが、竣工時から「ビラ配布の立ち入り禁止」という札を管理組合名で掲出しているところがある。これは管理組合運営のデベロッパーによる私物化だろう。住民の合意なしに住民の合意を装って情報を遮断していることは、住居不法侵入以前の、妨害行為である。
●配布されたビラが迷惑と思う感覚はわかるが、だからと言ってビラ投函禁止となってしまう考え方が理解できない。もらったらすぐごみにして処分すればいいだけで、精神的ダメージを食らうようなものでもない。
有益なビラしか受け取りたくない、というのはずいぶんなエゴではないか。どこまでがビラでどこまでが有用な情報なのかは受け取る側の趣味の問題。
また、他の配布物のどこまでが違法なのか。たとえばマンション管理組合が配布するニュースもビラの一種だが、違法にならないのか。不動産屋の「マンション斡旋します」、ピザ屋のちらし、同じ会社から同じ日に違う担当者名で毎日のように投函されていることが珍しくないが、こうしたことが逮捕されたり裁判になったりした事例を聴いたことがない。日本郵政が市内や町内一斉配布郵便を受け付けているが、これはビラの全戸配布同様のことを郵便配達員にさせているサービスだが、同様にマンションに配布したら住居不法侵入になるのだろうか。
●不動産屋やピザ屋のちらしにクレームつけている奴を見たことがない。ぶつくさ言いながらごみとして処理しているのが普通だろう。それらのちらしも有用か無用かは、配布する側が判断できないし、受け取る側で判断していくしかないものだろう。しかしなぜ政策ビラだけが、ビラの内容ではなく配布したこと自体にクレームをもらうわ、配布する側にあまりにも過大な配慮の要求が求められわ、そうなるのがわからない。不動産屋やピザ屋の情報以上に大事な情報のはずなのに。
●最高裁判決は、自分の家のポストの管理もしたことない、近所つきあいもしないような人たちが下した、矛盾だらけの判決だとしか思えない。
●また公選法や政治資金規正法が変な法律で、選挙運動期間前の政策ビラの全戸配布は自力でやっても他力でやっても違法ではないのに、郵便で無差別配布を行うと、郵便代が有権者への寄付とか何とかで摘発要件になるらしい。
●政治活動の自由をできるだけ保障して、運動のやり方について重箱の隅をつつくようなことではなく、言論には言論で対抗する政治風土を作らないと、まともにならないという感じがしている。菅・岡田が雇用はじめ政策そっちのけで小沢を必要以上に追い詰めているのも、そういう政治風土の延長の行事みたいなものでしょ。
●余談ですが、地域主権とか、自治とか声高に言っている人が、統一地方選挙という言い方をするのは矛盾です。統一自治体選挙と呼びましょう。
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