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2011.01.13

1/13 保育エコノミスト鈴木氏、今度保育財源の拡大がけしからんと

学習院大学の鈴木亘氏が、子ども子育て新システムを通じて、公費拡大が自治労の陰謀だ保育業界の暗躍だと相変わらず、被害妄想気味に書いている。

姑息な情報操作で公費拡大を狙う「子ども・子育て新システム検討会議」

先日、鈴木氏は、保育所への資金投入を200億にとどめたことについて少なすぎる、意味がないとののしったばかりで、言っていることがなんだかちんぷんかんぷんだ。

またリンク先のSYNODASにその珍説をさらに詳しくかかれているが、要は保育料負担がコストの4割が低いのに、さらに下げるのか、という主張をしてしている。その論拠として、実際の保育料は自治体負担で軽減されていて、ここに国の財源を突っ込んでさらに軽減する意味がわからない、というものである。

この論理そのものがおかしいのは、他の社会保障制度、医療保険などと比較しているが、税か社会保険か出所は違ったとしても、結局は政府を経由して両方が徴収され、給付に回っていく。そんなことを考えれば最終的には保育も自己負担以外をどう財源化するか、ということが問題のところ、政府の負担が多すぎると批判しているだけの話である。医療は利用者負担が3割でも多すぎると言われるし、年金や雇用保険については、全額社会保険料と税である。では保育の場合、社会保険的な財源があるのかと言われれば、現在のところはないし、仮にそうしたものを作ったとすれば、利用者の個人はともかく、鈴木氏の大嫌いな新たな企業負担が発生するだけの話である。就労と密接に関連しているだけに、そうした社会保険制度の企業負担は避けられないだろう。

また、自治体が超過負担していることが良いのか悪いのか、全く評価していない。保育財源の国・自治体・利用者の負担割合が、実際のものと釣り合わない非現実的な数字だからこそ、自治体の超過負担が大きく、結果として自治体が保育所を整備しなくなっているのではないか。待機児童を解消し、保育所を整備させるには、自治体負担について今より軽減していかなければ、とくに大都市部の「富裕自治体」が保育所整備を積極的にやるとは思えない。

バウチャー制などと非現実的なものに、社会的な価値観なき経済学者としての野望を果たそうという鈴木氏にとってそうしたことはバカの壁なんだろうと思う。

●保育所の補助金が増えることなど批判するぐらいなら、金持ちの子のため学校である学習院大学への私学助成は真っ先に切られるべきである。学費を自由に高く設定する権利を持ちながら、補助金をもらって、そのことに頬被りして、もっとましな補助金の出し方をしている保育所制度をバカにするなど、全く私には理解できない倫理観である。

●大学こそ、授業一時間単位のバウチャー制でもやったらいいと思う。

●鈴木氏は、保育そのものをどうしようなどと書いたものを読んだことがない。今の保育所の問題は、保育関係団体や自治労の暗躍によるものだ、と陰謀論を言っているだけである。実際には単なる政策協議をしているだけで賄賂を贈っているわけでもない(保育の経済的側面を研究しているならこうした団体が、決定的に社会を左右できるほどの政治資金などどこにもないことぐらいわかるだろう)それで何が問題解決ができるのか、とっくりと聞いてみたい気がする。
民主党政権の待機児童対策の論議に取り上げられなかったことを逆恨みしているようにしか聞こえない。

●保育の財源は人件費の固まりである。したがって保育にカネがかかりすぎると言う話は、保育労働者がもっと低賃金にあえぐべきだ、と主張していることになる。どこかで鈴木氏は職業差別みたいな意識があるのではないかと思う。

●保育の規制緩和に安易に期待する人は、製造業や通信業における規制緩和のような効果を期待しているが、残念なことに、保育や介護や医療は、サービスを良くすればさらに人件費が増えることになる。今、公費を増やしてもないのに少しだけサービスが良くなったのは、どこかで食うや食わずの賃金で保育や介護や医療をしているスタッフがいるからだ。持続可能な公共サービスの改善ではない。
したがって規制緩和的なことをやってサービスを良くすれば保育所の問題は解決する、という鈴木氏はじめとしたエコノミストの保育談義は、現実的なものにならない。サービスの量的拡大よりも、質に対する規制を緩和した副作用の方が大きい。
保育所を良くしたい、待機児童問題を無くしたいという話は、公費の拡大と若干の増税が不可避である。

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