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2010.11.02

11/2 労働組合は町内会か誓約集団か

大内伸哉先生が、労働組合が企業と結ぶユニオンショップ制を批判し誓約集団であるべき、とブログに書いていたのに対して、濱口桂一郎先生が、そんな無茶なユニオンショップ制だからこそ救われる人もいる、と反論し、某メーカーの労務屋さんブログがそれを批評している。

私は濱口先生の意見に近く、あわせて現実的にはメーカーの労務屋さんの問題意識が非常に大切というところにいると思う。

労働組合が誓約集団ってのは格好良いし、組合員教育は徹底できるのだと思うが、労働組合ってそもそも町内会や同業者組合みたいなものではないかと思っている。むしろそれ以上に、町内会や同業者組合ですら認められている、組合員を支持政党で加入を拒否したり除名したりすることはできないし、活動領域をかなり狭く限定している(生活協同組合にも同様。これはJAなどと比較するとかなり露骨)。それは戦後長い保守政権のもとの野党支持団体に対する強い規制である。その大義名分は、労働組合が公器であれ、とするモラルの強要なのだろう。

誓約集団みたいな色を出すと、左右とも特殊な政治的意図のある人や革命思想に寛容な人しか労働組合に入ってこなくなり、特定政党の党員やセクトグループがひきまわすことが容易にになる。そして組合活動は政治化し、時には革命の日が近づくために労働現場の搾取はひどくなるに任せ、組織の鍛錬だけ努めた方がいいなどいう馬鹿な理論が横行することもある。一方、そんな政治路線になんか興味もない一般人は、トラブルを抱えたときだけ加入することになり、先鋭的な労組はその人を見捨てることもできず、運営コスト的にもなかなか見合わなくなる。

そうなってしまった労働組合に多数派従業員は我が身かわいく味方することは滅多になく、組合に入らない多数派と少数派の埋めがたい裂け目が生じる。それも会社のエリートどうしの多数派・少数派なら政権交代によりいつかは日が当たるかも知れないが、所詮会社の経営権を握ることのない労働者どうしの対立でしかない。

労働組合というのは労働者のための賃金・労働条件・地位向上etcのカルテルだと思うので、私はユニオンショップ制どころかクローズドショップぐらいなことがあって当たり前だと思うが、日本の労働組合法が、日本の労働組合の伝統が、企業と対になる労働組合を基本に作られているので、なかなかそれも難しいのだろう。その中でユニオンショップ制は次善の策だと思うところもある。

しかし一方で、ユニオンショップ制や事実上の全員加入の組合の課題をしばし感じることもあり、また経営側が都合良く面倒なことは組合の調整に委ね、第二人事部みたいに使われる結果になっていることもある。
多数派組合は文化的には、多数派の常識だけが通用しがちで、マイノリティーの課題とか、今までのパラダイムではとらえられない深刻な社会問題についつい鈍感になりがちで、マスコミが騒ぎ出して泥縄みたいに対応してしまう結果になることが多い。非正規労働や請負業者のもとで働く労働問題などの対応の遅れなどにそうしたものが見られる。

しかしそういういらだちがあったところで、やはり労働組合は公器であり、町内会や同業者組合と類似であり、さらに自営業者や地域ボスと違って無産者という生活を失う恐怖を背景にしている人々の権利擁護と互助と自治をめざす組織であるし、そうであれば誓約などしない無自覚な人も仲間とすることは前提であると思う。かつてのNPOの議論のなかで「自覚ある市民」みたいな人を選別るすかのようなことは言わない良さというものを生かすべきだと思う。

また、多数派労働者の鈍感さによって救済されない労働者の犠牲については、現在コミュニティーユニオンや少数派労組が熱心に取り組んでいるようなことや、新たに労働オンブズマンや、労働人権NPOのようなものを規定して、救済活動が行われることも必要だと思う。ただしそうしたものに対する財政が確立されていないことを何とか克服しなければいけないように思うし、これは既存大手労組がでもっと積極的に協力していくべきではないかと思ったりもする。

●しかし労働組合の職員という前ふりで初対面の人に会うと、良かれ悪しかれ誓約集団の一員という見方をされるのが、良いのか悪いのか。良い方の反応は「もっと怖い闘士みたいな人が出てくると思った」、政治関係者に多いが悪い反応は「ごりごりの左翼集団でしょ」。
まぁ、いいんですが、一般の労働組合員がごりごりの左翼でいられるわけがない、って常識的感覚がないで、この社会の森羅万象とおつきあいすべき政治なんかに関わらないでほしいと思っている。だいたい左翼ってなんだかわかっているの?という疑問すらある。でこういうこと言うのに限って高学歴だったりする。

●高校時代に、「ザ・ワーカーズ」に触発されて、誓約集団としてスタートし、過半数学生代表を組織して、学校当局にイデオロギー風味あふれる所定教科外の学校行事の規制を申し入れ、果てはユニオンショップ協定またはクローズドショップ制をめざして活動をしようとして夢を見て規約を作り発起人を集めたものの、無産者の三代目としての資金難と、多数派を形成するしたたかさが足りなかったことと、自分の未来が不安一杯で場当たり抗議だけで挫折させてしまった自分を思い出す。バブル期で、同級前後の保護者たちは団塊の世代で、考えてみればそれなりに資金的支援は受けられたはずなのだが。努力と企画力が足りなかった。

●NHKニュースが円高でバーゲン比率を高めるという国賊百貨店を紹介している。円高が50円まで進むと、値札の半額にまで下げるという。働く人が泣き、お金を使う人が喜ぶ。こういう国に働くモラルなんか維持できるわけがない。

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