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2010.11.06

11/6 NHKは煽った対中強硬論に責任をとれるのか

尖閣諸島の中国漁船問題で、NHKが対中強硬論を煽っている。そんなことして何か意味があるのだろうか。そこから展開される結論に責任もてるのだろうか。

映像がYOUTUBEに掲載されてから、またどちらに非がある、という議論が煽られているが、すでに外交方針はこの問題を沈静化させて、日中関係を立て直すことになっている。そういう中で、マスコミがこの問題に限ってはそもそも論ばかり流して話を蒸し返し、政治的混乱を広げるのはどうかと思っている。もはやYOUTUBE公開後は、その混乱は国内問題として処理するしか方法はない。

今さら漁船の非業に憤慨して、そもそも論で対中強硬論を繰り広げても、漁船員を逮捕できるわけではないし、中国がはいそうですかと謝ることもありえない。さらには、中国国内では愛国運動に名を借りた体制批判が激しくなり、混乱が広がれば、ますます中国外交は日本に厳しい条件をつきつけてくるだろう。

事件直後、政権内で前原氏の主張した対中強硬論を取り入れて処理した結果、レアアースの禁輸措置をやられたり、日本のビジネスマンが微罪で逮捕されたりされて、震え上がった経緯を思い返すべきである。そんなことみんな忘れている。
相手は一党独裁国であり、そのことのプラスマイナスをさまざまな外交的な影響を与えてくる。また中国が政権交代期であり、後継者は膨張主義的な軍に気に入られる対応を取らざるを得ない。学生運動を鎮圧するためにも、対日外交で譲歩できるカードは少ない。

そういう制約だらけの中で、菅政権が前原氏の対中強硬論を撤回し、へなへなではあっても穏健的な対中関係に軌道修正をはかったことは不可避なことで、おそらく小沢氏であれ自民党であれ誰が政権を担当してもこういう処理しかできないだろう。

そのようなことをきちんと説明せず、マスコミが対中強硬論の外交評論家や政治評論家ばかり登場させて、ナショナリズムを煽ることに何の意味があるのだろうか。責任をとれるのだろうか。
このまま対中強硬論を展開していけば、当然、危険な日本のビジネスマンを中国から引き揚げることになるだろうし、中国も日本悪玉論が蔓延して、抜き差しならなくなる。

そういう外交関係のときに、張作霖事件や盧溝橋事件のようなことが起きる。そしてそのときは展開が日本と中国が入れ替わった立場になるのだと思う。いい方に展開しても、さらに中国に対する外交で全面的な敗北と譲歩をせざるを得なくなるだけである。

現在の親日的な中国の政権のもとで、日本政府がきちんとした協力関係を再構築することが大事である。江沢民に近い次の中国の政権に移行してからでは、なかなか協力関係の再構築は不透明だろう。

●そもそも論なら、しかし、この問題で、本来、漁船員を強制送還をして抗議をしてすませる問題を、どういう背景事情があるにしても強硬論を突っ走った前原氏の非というのは検証されなくてはならない。仙谷官房長官は、従来どおりの穏健な対応を取るよう主張したところを押し切ってのこの混乱である。
また対中強硬論に賛同する人には、そういうことをやっていれば、誰がやっても今回の民主党外交のような顛末になることを知らなくてはならないと思う。

●私は菅政権のこの初動のミスについて責任を問うことについては批判するつもりはない。特に話をこじれさせたきっかけとなった前原氏が外相に就任させたことが、中国に対して間違ったメッセージを送ったのではないかと思う。そうして国内政治の中で責任問題を追及するのは必要かも知れないが、しかし外交路線を対中強硬論に引き戻して、何のメリットもないと考えている。戦争して解決する覚悟があるなら別だが。

●YOUTUBEに映像が公開された事件つにいて、民主党幹部が民主党政権に対する謀略だとコメントしたそうだが、旧支配層に結びついた官僚なのか、反民主党の木っ端官僚なのか、誰が意図しているかというレベルの高低があるにしても、そうなのだろう。

●この問題で泥をかぶって後処理し続けている仙谷官房長官を最近、評価している。また対中関係ではちらちら出てくる細野豪志というのも興味深い存在である。旧民主党結党時に、さきがけから合流してきた政治家の対中強硬論を憂慮していた人が多かったことを思い出している。

●この問題について、日本共産党が対中強硬論である。先日の政策担当者の討論番組でその強硬発言にびっくりした。対中強硬論のみなさんは共産党を支持なさるのが良いと思う。
冗談はさておき、世界の共産党どうしの正当性の確執を、ベルリンの壁が崩壊して20年も経った今、こんなところで別なかたちで出しているところが見えてしまう。外国の共産党をたたくことで、自分たちの愛国性をアピールするのは正直良くないと思う。

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