11/5 混迷を深めるこども園
雑な幼保一元化の展開。子ども子育て新システムのこども園。
幼保統合の「こども園」入園選抜なし 内閣府が原則案
幼保一元化が待機児童問題の特効薬のように宣伝して推進してきた現政権だが、施設が足りないというのに選抜なしなんてどうやってできるの?摩訶不思議な論理だ。
朝霞市は幼稚園も保育園も不足気味。おまけに市役所は保育所を税金の無駄遣いの施設のように市の広報に掲載したり、実際に偏った市議と行政学者ばかりで外部評価委員会にかけて無駄な施設との烙印を押しているぐらいだから、施設が増える見込みなんかない。そういう自治体で選抜なしで、どうしたら定員オーバーの子が救済されるのかと思う。
また、選抜なしということは、施設に対する子どもの比率を無視して受け入れるか、事実上の先着順、施設による子どもの逆選択のいずれかになるわけで、そういうことをどのように想定しているのか疑問。
これを報じた朝日新聞は何の疑問も持っていないらしい。
おまけに選抜なしに対して反発した幼稚園業界について報じているが、保育所業界が同じことやれば「抵抗勢力」呼ばわりしてきた朝日新聞が、幼稚園には「慎重意見が出た」で終わらせているだけ。ふだんありもしない保育所に利権があるだの抵抗勢力だの書いてきた朝日新聞政治部の記者連中が幼稚園に甘いのは、朝日新聞の記者のライフスタイルが反映しているのか、とくさしたくなる。
●結局、規制緩和だ地方分権だと言っても、国費に頼って制度改革をやる以上、何らかの施設基準は不可欠になるし、公正な利用者選抜の仕組みを作らないとおかしなことになる。北欧なみに税金を取って保育所・幼稚園から高校まできちんと完備させるというなら話は別だが。
●保育所を税金の無駄遣いとして評価の俎上に乗せた朝霞市の外部評価委員会の議事録を読んでいると、口からごはんが飛び出してしまう。
委員たちはまじめに議論しているのだろうが、各々の議論が事実や現場検証をふまえず、ほとんど妄想とイデオロギーだけで喋っている。
特別養護老人ホームの中身がどうかということも検証しないで無駄なはず、というところから議論が始まっている。保育所も学童保育も。どうみても詰め込み保育の学童保育が無駄どころか経費不足にしか見えないのに、委託しているのに毎年運営経費が下がらないという理由だけで、効率が悪い、コスト意識がない、と集中砲火。びっくりする。
家族主義イデオロギーの開陳しかしない市議の委員はともかく、特に客観的な議論もせず、相見積もりを取ったのか、としか言っていない行政学者の委員、行政学者としてもそれでいいのか。市民のほとんどが見ないからって、適当な議論をしやがって、と思う。
で、何がなんだかわからないまま、呉越同舟の論理が平行線でたどって、ええぃ「改善」!と判定している。何が改善事項なんだか評価がない。レベルの低い事業仕分けごっこである。
こんなのでは評価された方は何していいんだかわからず、改善のやりようがない。
そんなレッテル貼りの評価しかできなかった外部評価委員会こそ無駄であったと思うし、今から委員たちの報酬を返還させるべきではないかと思う。
幼保統合の「こども園」入園選抜なし 内閣府が原則案2010年11月4日22時25分朝日
. 2013年度導入を目指す幼稚園と保育園を統合した「こども園」(仮称)について、内閣府は4日、園側による子どもの選抜を原則として認めない案を示した。利用者側の選択権を強める狙い。選抜を特例で認める場合の条件については、今後検討する。
同日の「子ども・子育て新システム検討会議」のワーキングチームで明らかにした。
現行では、幼稚園は利用者と園が直接契約して、受け入れの可否や利用料を決める。人気のある幼稚園では親子面接や行動観察で子どもを選ぶ。内閣府案では、こども園の利用料は公定価格を基本とし、付加的な教育には上限つきで自由価格を認めるとしている。一定の条件を満たせば選抜も認める考えだ。
この日の会議では、こども園移行後の受け入れ義務化に、幼稚園側から「困難を伴う」との慎重意見が出た。
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コメント
Twitterで本エントリに就いて呟いたら(連動していた)mixiで早速反応がありましたよ。
「幼稚園と保育園の持つ性質、そして親が求めるものが、そもそも違うの」「それをひとつにまとめてカリキュラムを作るのは、とても大変」ってのはまだしも、「子ども目線でみれば、やっぱり似たような生活リズムの子ども達同士で集ったほうがいいと感じる」ってコメントに何か違和感を感じるのですよね。その"目線"を公理主義的に通用させると、下手すれば似たもの同士の限られたコミュニティだけで子どもが育つべき、ってことになって、何かカースト制の劣化コピーみたいなのを感じるのですよね。
ちなみにその方、生活クラブ生協の二世で2児の母親なんですが。
投稿: 杉山真大 | 2010.11.05 21:20
私自身は子育ての分断はなくしていくための幼保一元化は推進すべきという立場ですが、しかし待機児童問題の解決策として推進するのは、あまりにも問題が大きいと書き続けています。
ただし現実のリソース、特に幼稚園側は、民営中心にやってきた過去があり、単に制度のすりあわせ以前に、乗り越えなくてはならない文化のずれは大きいと思います。保育所との差異性をことさら強調して保護者の信頼感を獲得し、17時までの延長保育が育児放棄だというような経営者が少なからずいる中で、上からの一元化がうまくいくのか心配です。保育所不足の首都圏ほどひどいことになるのではないかと思っています。
もう10年以上組合員をしているむ生活クラブについて一言。
よく言われますが、生活クラブの組合員は、高所得者の妻が多く、強く良妻賢母でありたいと思い実践できている人が多いです。生活クラブ供給材の価格、徹底した安全志向などがそうした顧客を集めてしまうのでしょう。確かに共働き家庭にあわせた言葉遣いとか、組合員企画のイベントでは賢いお母さんにならなくては、というイデオロギーがさりげなく使われていることもあります。
その一方で、ただの自然野菜販売業者と違うのは、ワーカーズコレクティブなどをやって社会参加などを促したり、代理人運動で政治参加して社会的にものごとを考え行動する取り組みなどもしていますね。
猛烈サラリーマンをさせられて、夫は大変でしょうが。
投稿: 管理人 | 2010.11.06 09:11