11/19 第二の道菅政権のもとでの介護保険の「受益者負担」増のたくらみ
厚生労働省が介護保険料を上げなくてはならないと公表したが、やり方が悪質。
まず生活支援の切り離しが許し難い。何のための介護保険なのだろうか。生活できる水準までキャッチアップしてはじめての介護だ。介護度の低い高齢者の介護度が悪化することは避けられない。まして有償ボランティアの活用などと言い官製ワーキングプアを蔓延させるような話をしていたり、何だと思っているのかNPOを使えなどと行っているらしい。過酷な労働をさせて、最低賃金や労働基準法を割り込むような働かせ方をさせようなんて、「厚生労働省」なのかと疑う。こういうことをした官僚を細川大臣には左遷してもらいたいものだ。
また健保連だの勝ち組社会保険ユーザー団体に気兼ねして、保険料の値上げを抑制して利用料を引き上げるとしている。「受益者負担」などときれい事いうつもりだろうが、これは医療にも言えることだが、介護保険を利用せざるをえない人のうち所得を増やすことができる人は限られている。利用しなくて良い人ががんばって所得を増やすことができる。利用料を上げるべきではなく、みんなで薄く分担して介護保険料を上げるのが筋だろう。
海外旅行に行ったり演劇・映画ばっかり見に行っているような元気な高齢者の抗議行動をおそれ、たかだか月1000円程度の介護保険料の値上げを回避するために、本当に介護が必要な高齢者が毎月何千円も何万円も負担増になって利用抑制を起こし、最後は病院にかかりきりになってしまうようなことにすることが介護保険の本来の理念なのだろうか。
保険料を中途半端に払って使えない制度にするのは最も愚かな選択肢。介護保険制度をやめてすべて自助努力にするか、きちんと介護保険料を上げて使える介護保険制度にしていくのか、制度を作った官庁として態度が問われると思う。
少子高齢社会において、介護保険財政が悪化するのは仕方のないことだ。
人件費が原価だから、スーパーのPB商品みたいに低価格競争をさせればいいというものでもない。実際に介護労働者の低賃金ぶりは目を覆うものがある。
高齢者の面倒を誰かにやってもらうためにそれ相応の負担をしないと、この社会がつぶれてしまう。厚生労働省やその関係者は正々堂々と介護保険料を上げなくてはならない、と訴えるべきだろう。
●こういう議論になっているときにNPOが代替低賃金労働力の供給源みたいに扱われるのはNPOがこの社会に自らの存在の売り込み方を間違ったからだと思う。ただの石頭にすぎない役所が非効率という貨幣価値にすり替えて批判してきたこと。NPOで働く人たちが自らが労働組合を作って待遇改善を努めてこなかったこと。その結果、役所にいいように食い物にされている。
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コメント
と言うのか、NPOの注目のされ方って非効率な「官」と営利優先の「民」のいいとこ取りだったりしますよね。だから「民」の低コストで「官」の公共性が実現できるという具合・・・・・この辺りは何処か以前の第三セクターとも似ている気がします。
で、ここ最近は第三セクターが経営破綻とかで税金投入ってコトになってますけど、あと十数年経つとNPOでも同様の破綻処理に悩まされる未来図が現実になるのかなぁ(;´Д`)
投稿: 杉山真大 | 2010.11.20 01:41