11/18 暴力装置という政治学の基礎も知らない自民党の国会議員
仙谷官房長官が自衛隊のことを暴力装置と言って問題発言になっている。
騒いでいるのがマスコミと野党政治家だが、世耕、谷垣、野党政治家がこんな見識でよいのか。谷垣自民党党首は「左翼用語」などと言っている。本気で言っているなら、政治家失格である。
マルクスが暴力装置と書いていることを引き合いに出したいのだろうが、左翼に対する批判者であるマックスウェーバーも国家は暴力の独占という言い方をしていて、その舞台装置はまさに軍事組織と警察力であることは間違いない。
異端の政治学でもなければ、軍事組織は暴力装置であるということは基礎的知識に類することである。そういうことを知らないで、シビリアンコントロールの責任を持つべき国政の政治家をやっているということが恐ろしい。まして党首をである。自転車漕ぐ暇あったら、本を読まれたらと思う。師匠の宮沢喜一氏を見習えと。
世耕の要求に屈して、謝罪する首相も首相だ。傷つける言葉だとか、余計な認識である。自衛隊が暴力を使えなくて何の組織なのか世耕の聞いたらいい。平時は災害救助など、穏やかな組織であるが、外国の侵略や内乱があれば、イヤでも暴力を背景にした行動を取らざるをえない。
自衛隊や警察というのは国にとって特殊業務をやらなくてはならない存在であり、時には悪役を引き受けなくてはならない。暴力を行使できる特別な権限が与えられている。
隊員にとってはそういうリアリズムが必要であるし、そこに税金を拠出している国民にとっては、暴力装置であっても国民の安全と平和のために必要な存在であるし、それは政治がコントロールすべきもの、という認識がなければ、平和国家の基礎は作り上げられない。
そういう私の認識から世耕はただのデマゴギーであるし、政治にとっては世耕のデマに乗せられてウソの言葉でオブラートに包んで、自衛隊を統制できるものなのか疑問である。
●最近の政治家に対する失言騒動はあまりにも過剰。今回の仙谷官房長官に対するものは、語感だけでやり玉に挙げているだけ。そういうことを続けていれば、政治の知的水準を大きく下げることになるだろう。
一方で、与党政治家の怠慢さというか、身のこなしに対する不注意さがひどい。
●もう事業仕分けも民主党のウルトラCにはならなくなっているが、社会党にとっての平和運動ではないが、特効薬みたいな政治運動はなかなかやめられずどんどん自己目的化する。そこから政治勢力の凋落が始まる。仕分けで大げさなアクションではしゃいでいる若手議員を見ていると、うんざりする。
●しかし小沢派の議員が事業仕分けを批判しているのをテレビで見て、片腹痛かった。先の参院選で、消費税増税反対、無駄ゼロを訴えたのは小沢系候補。その論理が事業仕分けを必要としている。ああいう下品なことをやりたくなければ、増税をきちんと訴えるべきだ。
●業務で、仕分けでやり玉にあがった都道府県の農業普及改良員予算の削減と農業研究所への予算削減に関する陳情で政務官のところへ。日本の農業が強くなったのは、都道府県の農業研究者が地域の実情にあわせて品種改良にトライし続けてきたことと、農協の経営のための利害とは別の農業指導があったから。そういうことをわからない仕分け人たちの見識のなさにうんざりするが、同じ感想を同級生だったやまけん先生が書いている。
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コメント
まつたくの正論です、政治家が、暴力装置を、知つていたら、簡単には、批判出来ない筈である、正直に真すぐに、直視して考え、認識を持つべきである、私の思う処は、人間は、理性的動物である、とゆう点である、人間が、動物とゆう次元に陥いつた時、自衛隊は、暴力集団としての、暴力装置としての機能を発揮する筈である、平和時の自衛隊は、理性的な、人間的な集団であり、災害などで活躍する、崇高な、理性的集団である、今日に於ける自衛隊は、暴力装置にふさわしくなく、暴力装置としての、機能を発揮出来るかは、疑問である、試練が必要なのかも知れない、それよりも動物とゆう次元に陥いらない様、知恵を出し、平和を築いてほしいものである、
投稿: 嶋津 優喜 | 2010.11.19 18:32
石破茂氏も「警察と軍隊という暴力装置」という言い方をしていますね。
http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu090414d.html
たぶん谷垣総裁も世耕議員ももうこの話には触れないのでは…。「暴力装置だなんて自衛隊員を侮辱してる!」という"世間の感覚"に訴えたのなら、石破氏のも同じになってしまうかと。
投稿: kiriko | 2010.11.19 19:55
嶋津様
哲学的ですね。政治と軍事の関係を直視すべきですね。
Kiriko様
石破氏についてイデオロギーも何も違いますが、今どき珍しく政治家らしい政治家だと思っています。私は政治家としての判断力、物事への理解力について高く評価しています。浮ついたいきがっているだけのタカ派でもなく、語感にだけ酔っているリベラル派でもありません。
それにしても、仙谷氏への問責は急にどこか行ってしまっていますね。
投稿: 管理人 | 2010.11.19 21:13