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2010.11.16

11/16 いったい小野先生から何を学んでいるんだ

菅首相がぶら下がり取材で大卒内定率がひどいという話を受けて「やはりミスマッチなんですね」などと言っている。

菅首相は阪大の小野先生に相当心酔されているが、首相は何もわかっていないということだ。内定率が悪いのはミスマッチではなくて、需要不足と雇用不足に原因がある。その需要を作るのはデフレ経済下では政府しかない、というのが小野先生の理論で、とにかく雇用を作って生産力を高めるための支出をせよ、というもの。そういう立場では、ミスマッチという問題は添え物の問題でしかない。中小企業が人材不足ではあっても、そこに人が流れ込んで、大学内定率が抜本的に改善するという話ではないだろう。対症療法にすぎない。

雇用に関して、ミスマッチに原因を求めるのは、完全雇用が自然に達成されるという新自由主義者が信奉する経済原理によるもの。非自発的失業は経済構造の変化に伴う摩擦で一時的なものでしかない、ととらえるからだ。この社会には自発的失業ととらえることで、言葉の美しさと裏腹に、結局は現に存在する失業者について、思考回路から切断する効果も持つ。

また、自的失業と非自発的失業を明確に分かつことは不可能で、その間はグラデーションのようになっている。自発的に失業したはずが、雇用情勢の悪化で再就職できなければ非自発的失業と質は変わらなくなる。退職段階の選択だけてしかない自発的失業という概念が、ミスマッチ論の裏付けにあまりにも粗雑に使われている。

●野獣のような選挙狂いで生きてきた政治家にとって、この世の森羅万象を努力したか努力不足だったかで説明ようとしたがる習性があるようだ。

●待機児童問題とか、失業の問題とか、個々の当事者にはあまりにも深刻な社会問題について民主党全体が鈍感すぎるきらいがある。またやり始めると、誤情報に踊らされて、新古典派経済学の形式的理論にあてはめた政策提言しかしないアホ研究者に振り回されて、そういう政治的学者に癒着している民営化ビジネスがあったりして、俗受けするとんちんかんなことをやってしまって、結果として何の改善もなく終わる。

●雇用者数が変わらないのに、失業解消のためにミスマッチ対策をせよ、というのは人材ビジネスを利する。そのことの利点とともに問題点もきちんと認識しておくべきだ。

最悪の大学生内定率「本当に深刻だ」16日の菅首相(2/3ページ)2010年11月16日21時8分朝日
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【大学生の就職内定率】

 ――きょう、大学生の就職内定率が発表され、57.6%と過去最悪を記録した。政府は以前から新成長戦略のひとつの雇用を掲げているが、今後どう対応していく考えかお聞かせ下さい。

 「本当に深刻だと心配しています。私は雇用雇用雇用と言うことを政策の中心に掲げ、特に新卒者の雇用については、特別の、特命チームを作って、やってきました。で、その中で話を聞いているとですね、今ふたつのことが非常に、動いていると聞きました。ひとつはジョブサポーターを、相当多く、数を増やしたんですね。いろんな大学とかいろんな学校専門学校に行ってもらっている。そうすると、なかにはあの、ジョブサポーターさんに相談したいという、そういう問い合わせがどんどん来ているというのがひとつです。ですからぜひ、あの、若い皆さんもそうですし、その家族の皆さんもジョブサポーター制度っていうのがあるみたいだよと、各大学とか各そういうところに来てくれるそうだから、どんどん呼んで相談したらどうと。やはりミスマッチなんですね。中小企業はまだまだ新卒者とりたいんですけれども、どういうところにいい中小企業の会社があるかっていうのは、なかなかわからない。それをジョブサポーターっていう形でまず、学生さんには応援できてます。もうひとつ、トライアル雇用。これは今度は雇うほうですね。つまりは中小企業の人があの、新卒者とりたいんだけど、ちょっと、とってみて本当にこう役に立つのかどうかという時に、トライアルで雇用して、そして良かったらそのままいてもらうと。そのためのかなりの手当てをですね、逆にこれ、雇う側の会社に提供して、それでトライアルで雇ってもらって、うまくいったらそのままいくと。これもですね、今度は中小企業のいろんな会社の方から、少し条件を良くしたこともあって、ぜひそのトライアル雇用でやってみたいから、その制度を使わせてくれと、これもかなり来てます。ですからこういうやり方を含めてですね、本当に、新卒者の雇用が最終的には、まさに史上最悪なんてことにならないように、これからも全力をあげます」

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コメント

労働者は職を選ぶ自由があるし、雇用者は労働者を選ぶ自由がある。
双方のニーズが噛みあわなければミスマッチは当然ですね。
自由労働市場である限り、こういうミスマッチは一時的現象ではなくむしろ必然ではないでしょうか。
そして、売りたいものが売れない(提供するサービスが利用されない)、買いたいものが買えない(利用したいサービスが提供されない)、のも全くこれと同根の自由市場ゆえの現象でしょう。
ミスマッチ解消のため、消費者やサービス利用者や求職者は提供する方の都合に合わせなさい、と一方的に「強制」されるなら、自由の否定ですね。ならば、提供する方も提供される方の都合に合わせてくれ、となりますね。

投稿: こんにちは | 2010.11.17 02:29

こんにちはさん
論旨のなかでの、雇用に関して条件にあわせるための舞台装置が労働組合ですが、18%と市場占有力が弱く、抵抗勢力として社会的にはオミットされていますから、無力ですね。反省。

追記みたいになりますが、昨日の国会答弁でもやはり菅首相は小野先生を心酔しているというのは間違いないと思います。
しかしそれが細部の表現にまで注意力が払うほど肉がついているかというと、そうではないから、こういうミステイクをするし、政策決定の場面で小野先生の助言がまったく生きていないで、雇用はミスマッチと言ってみたり、日銀が紙幣を大増刷するなどといった政策決定をしてしまうのだと思います。

投稿: 管理人 | 2010.11.20 08:22

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