11/13 初めて男性市職員に育児休業取得者
朝霞市の広報が届き、その中で毎年の人事行政の状況についての報告がされている。
市職員の採用が16人で退職が27人。差し引き11人の減員。全国でもトップクラスに人口あたりの職員数が少ない朝霞市でさらに減員をやって無理がこないかと心配。見かけの人件費が減っても、その分判断業務については行政コンサルタントに支払う経費として現れ、市の政策決定のコンサルタント依存が強まったり、定型業務や専門職分野では、業務委託や臨時職員や非常勤職員の採用となって、全体的に物件費にしわ寄せが来ているのではないか。
また時間外勤務手当の増大も気になるところ。もちろん働いているのに払わないのは一番問題だが、職員減がそういうところに現れていないのだろうか。
一方、いい話もある。朝霞市で初めてだと思うが、男性職員の育児休業制度による育児休業取得者が出ている(あまりこのブログでほめると市役所内で居心地悪くなるか)。自分や家族のための育児休業でもあるが、地方公務員の場合、これから担当する業務によっては研修としての意味を持つ可能性がある。こういう休業制度は公務員から範をとって取得していかないと、なかなか社会に定着していかない部分もある。
そういう意味で、育児休業取得者が出たことはうれしいし、周囲の職員が見守ってほしいと思う。
●井形慶子さんの「老朽マンションの奇跡」を読む。
編集社の代表をされる井形さんが、スタジオ兼従業員の住改善のために、吉祥寺に中古の500万円のマンションを購入して、リフォームする話。
使い捨てのマンション市場のあり方、成熟しないリフォーム業界、住宅費に食い殺される日本人の生活、そんなことが問題提起されながら、購入、リフォーム、完成までに至るサクセスストーリーみたいなものが面白い。
イギリスの若者は二束三文のマンションを買って自分の趣味にあわせてリフォームして、価値を上げるという話も面白い。
●その前段に山岡淳一郎「マンション崩壊 あなたの街が廃墟になる日」を読む。トレンディードラマの舞台になったバブル期の公団住宅がとんでもない欠陥住宅だらけで、ハンマーで壁をたたくだけで鉄筋があらわになるとか、そんな事件があった。その再建をめぐるルポルタージュ。資産価値神話にとらわれ、問題を問題と言えなくさせられているマンション住民。住民を押さえにかかるデベロッパーの住宅公団。あまりにも過酷な話であった。
あと35年建て替え神話に踊らされた管理組合によって、住居を失いかけている千里ニュータウンの老夫婦の話も過酷。
大規模な住宅開発の問題点や課題をえぐり出している。
●その両方を読むと、やはりマンションは長持ちさせるように造ったり維持していかないとダメだということと、街の長期的な成熟にあわせて育てていかないと意味がないということを自覚する。あと土地神話。不動産価格に食い殺されている社会のシステム。
住宅建設・販売を産業政策として戦後国土交通省の所管にしてしまった問題が出てくる。高齢化が深刻になるまで、マンションは土地価格をつり上げるためのツールとして機能してしまい、良質な住宅を供給するという考えは二の次三の次にされてきた。その中で、住まいとしての価値は見失われ、立地と土地価格だけが価値になってスクラップ&ビルドばかりやって都市が成熟しないということになるのだろう。
●1995年頃から朝霞市はマンションだらけになって、今から20年後ぐらいから居住者の急速な高齢化、中古マンションの投げ売り、一部は荒廃によるスラム化みたいなのが始まるリスクを背負ってしまっている。市内の管理組合に、きちんと管理をやって筐体を長持ちさせていくことや、流通した中古マンションを再生させて、良質な若者を再び誘致していくような取り組みをしないと大変なことになる。町内会や自治会に組織化しようとするだけでは収拾のつかない問題が控えている。
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