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2010.10.01

9/30 毎日新聞の皮相的な臨時非常勤職員問題のとらえかた

毎日新聞が、東京都が、2ヶ月更新で20年も更新し続けている臨時職員の存在が問題だという記事を書いている。

東京都:20年以上「臨時職員」 2カ月ごとに契約更新

自治体の臨時・非常勤職員の問題に関わると、出てきたセンセーショナルな数字的実態にびっくりしてこういう皮相的な批判をするジャーナリズム、労働運動家に困った思いをしたことが多い。もちろん20年も雇うなら最初から常勤にすべきというのは正しい。しかし、結果として20年になってしまった存在そのものを、問題だ、問題だと騒いでしまったらどのようなことになるか考えて言っているのだろうか。
雇う側は制度改革などせず、問題ある雇用を厳正にやめます、という対応になろう。その帰結として、当該のこの職員が次の更新で雇い止め、事実上の解雇にされるだけである。そして新しく別の人を2ヶ月雇用の臨時職員が補充され、今度は1年とか3年で雇い止め、事実上の解雇がされるようになるだけである。

必要なことは、この記事の中でもっとも問題と指摘しているように、社会保険を付けたり、賃金を上げて均等待遇に近づけたり、つじつま合わせの休職期間をなくすことで労働者を使い捨て労働力にしないことである。結果的に20年以上も雇った人の雇用関係の保護である。けしからんけしからんというだけでは、ますます使い捨て雇用になっていくだけなのが実態だ。

マスコミががんばってくれたおかげで、そもそも「公務員を増やすな」と絶叫する馬鹿政治家をもてはやされている今、自治体で必要に応じた正職員雇用ができない。そういう時代に自治体は、社会構造の変化や福祉国家の内実を整えるマンパワー確保のために臨時・非常勤職員を使っていくしかない。ところがこれらの法律を、裁判所や雇う側の行政当局が解釈するように、民間の雇用契約とは違う行政処分の任用と前提した上で厳格に解釈すると、東京都のような雇い方が本来の法律に適っているやり方となってしまう。

入り口で正しい雇い方を問うことは大切だけども、公務員が定数の限られた身分として位置づけて十分な時代はともかく、常に供給量が変動し、不規則な時間勤務を必要とするこの福祉社会で、簡易に人を確保する方法として、不安定な雇われ方をする自治体職員はどうしても発生してしまう。禁止しても統制しても、もぐらたたきのように出てくるだけ。重要なことはその人がどのような雇われ方でも不利益を被らず、結果としてその間、実質的にどのように雇われたかによって雇用や賃金が保護される仕組みを考えないと、自治体の非正規労働全体がアングラ化したり、劣悪業者に委託されたりすることになる。

●コメントを寄せた「労働問題に詳しい弁護士」の実名が出ていないのもおかしい。当事者は守られるべきだが、これが正義だと言う第三者の個人名を隠す必要はないだろう。
「法律家からは「労働者の権利を守る多くの法を無視した行為だ」と批判の声が上がっている」と言ったのは誰か。法を無視した行為と断定するのは、法律家として現実の公務員関係の法律に無知もいいところだ。裁判の判例をはじめ、主流の法解釈が東京都のやり方が合法とされているから、自治体の臨時・非常勤職員の課題に取り組んでいる当事者や支援者は困り果てているのが現実なのだ。そこに公務員バッシングがあいまって、いつまでも問題が放置されている。

東京都:20年以上「臨時職員」 2カ月ごとに契約更新
 東京都の施設で臨時職員として司書をしてきた女性(66)が、契約更新を繰り返して結局、20年以上も勤めていたことが分かった。臨時職員は、交通費や諸手当の支給がなく、地方公務員の医療保険にも加入できない。都は「20年も臨時で働いた人がいたかは確認できないが、いたとしても法的な問題はない」としているが、法律家からは「労働者の権利を守る多くの法を無視した行為だ」と批判の声が上がっている。

 女性は都立施設内の図書室に司書として勤務。専門書や自治体の統計書などを管理し、職員への貸し出しや資料整理などの仕事を一手に引き受けていたという。しかし、臨時職員に関する都の要綱は「1回2カ月の勤務で、やむをえず更新する場合も連続雇用期間が6カ月を超えることができない」などとしている。このため、女性は2カ月に1回契約を更新。近年は、5カ月働いて1カ月休むという勤務形態を続けていたという。

 女性は「長年、2カ月ごとに契約を交わすことに疑問を感じていたが、やりがいもあったし、仕事を失いたくないので続けていた」と話している。

 都には約600人の臨時職員を雇用している局もあり、同様の状態にある「臨時職員」は他にもいる可能性がある。

 労働問題に詳しい弁護士は「臨時とは言えない継続的な仕事を任せながら、20年も社会保険のない不安定な雇用状態を続けるのは極めて問題だ」と指摘している。【田村彰子】

毎日新聞 2010年9月29日 東京朝刊

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