10/5 イクメンへのこんな持ち上げ方をしているといつかバックラッシュにあうのではないか
NHkクローズアップ現代のイクメンを見る。
私は男女平等論者なので、出産・月経・母乳の授乳以外は男性も平等にやるべきだと思っている。そういう視点から、イクメン運動が設定する目標、ダイバーシティー社会がめざす方向というのは異論がないと思う。男どもの意識を変えろというのも当然だと思う。
しかし番組に違和感だらけ。まずはイチャモンレベルのもの。
男が育児をするということはいいことなんだけども、うーん、事例がどれもこれも専業主婦家庭で夫が仕事をペースダウンするという構図。その前提がダイバーシティーとか、男女平等とか、育児が男性という価値の前提からするとどう?と感じざるを得なかった。
また、なんか選べる立場の人のオプションのような感じがして、綱渡り育児をしているところからはずいぶん違うイメージ。うらやましい。それから働いている人がコンサルタント会社のような個人プレーや、仕事場を選ばないで済む仕事ばかりだったような。
この番組で出てきたゲストの渥美由喜氏がイクメンは生産性か高くなる、という言い方をしていたのに、実体験からカチンとする。
なんだかんだ言っても、育児する従業員というのはやはり非効率な存在。納期の調整を労働力の調整で解消できる従業員とそうでない従業員との格差は、いかんともしがたい。その格差に悔しい思いを何度もしている。いくつもの仕事が重なると、出社帰宅時間が制約されるので、時間切れで許される部分から犠牲になるから、どうでもいいような品質低下が避けられない。集団プレーの仕事ではやはり育児していない同僚にしわ寄せになることが避けられない。
時間管理をきちんとして働くというのは、職種によっては17:00になったら窓口を容赦なく閉めたかつての公共機関の窓口業務のようなことを容認すること。それが効率化かといわれると、今の日本社会ではおそらく通じない議論だろう。
育児を効率化と結びつけたダイバーシティー推奨論は、いつかバックラッシュを受けそうな気がしている。
問題は企業利益至上主義の価値観で、企業利益のためにこの社会がつぶれても仕方がないんだ、という高度成長期以来の思想の転換ではないかと思う。また、身分丸ごと職場に張り付けるような雇用関係がどうかという議論も必要。職場にもっともっと労働組合があって、労働時間を規制することが必要。
育児と生産性を無理やり結びつけて、若い人を労働と育児に酷使させる発想をするよりも、権利ばっかりとか言われても、古くからあるオーソドックスな課題をきちんと実現させていかないと長続きしないブームで終わるような感じがしている。
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