10/23 日本全体は少子化だから待機児童問題だけで保育政策を左右してはならない
先日、議員視察の報告者なんか無意味だからやめろと書いたが、一度思いもよらぬタイミングで意見交換をさせていただいた武蔵野市議の川名ゆうじさんの視察報告がブログでアップしていて、読み応えがあってよい。こういう議会報告を書いて読ませる内容であればありがたい。
武蔵野市議 川名ゆうじの武蔵野blog 認定子ども園モデル事業の結果は? (視察報告)
少子化が進行中の中で、保育園と幼稚園の機能を地域社会にどのようにして残すかという選択として認定子ども園を選択した登別市の視察の報告。
・幼保一体型の施設の社会的寿命があるのではないか、特に少子化は避けられない中で地方都市で維持し続けられるのか。
・保育施設では少子化は止まらない
・民営化を実施したが、少子化の中で事業維持できなくて撤退や破綻ということはないのだろうか。
・職員の定着についてどのように考えているのか。
非常にバランスの取れた報告である。
日本社会全体では少子化が進んでいる中で、大都市部の待機児童問題だけがクローズアップされて、当事者そっちのけで経済学者や行政学者、一知半解の政治家たちの政策研究のおもちゃにされている。
しかし全国の多くの自治体では深刻な少子化の中でどのように保育事業を継続していくかということに苦悩している。また地方は共働き率も高い。そういう苦悩を知らずに、待機児童問題の処方箋を書くことがいかにおろかなことかと、改めて川名さんの報告を読んで感じている。
●それでも人権という観点や社会構造の変化という観点からは、待機児童問題が保育関連の政策課題で優先順位が高いということは間違いない。問題なのはそれしか見ないで評論するのこと。。
●クソみたいな埼玉県と朝霞市の財政報告。
保育定員を1人増やすと170万円財政支出が増えると先日、埼玉県(上田知事)が公表。朝霞市も153万もかかると公表。これは国負担分、県負担分、市町村負担分の合計。
一方で、幼稚園も小学校も中学校もそれぞれ国分、県分、市町村分をバラバラに公表して、金額を抑えている。さも保育所だけが突出してお金を使っているかのような印象操作をしている。
そしていつも筆頭に保育所の経費を挙げることをなぜするのか、意図的なものを感じざるを得ない。保育所利用者ばかりコスト意識を持てということか。役所に文句を言えない人を標的にしているのがミエミエ。やはり埼玉県は共働き家庭の住む地域ではない。男女平等度が最低ランクだったというのも、共働き家庭が迫害されているという結果が指標に現れたからではないか。
一方、上田知事が何の目的があってか延伸を推進している埼玉高速鉄道なんてものすごい税金投入がされてきて、そのことで沿線の地主は不労所得を得ているのに、そのことが乗客や沿線の地主たちに知らせるべきなのに、そういう数字は載っていない。
●先日、都内に事業展開した県内の保育事業者と意見交換したが、埼玉県内の自治体の保育・福祉政策に関する理解の水準の低さ、不勉強さを痛烈に指摘していた。
●会館でも福祉でも教育でもハコモノを作らないと公を有権者に意識させることができないこの国の水準に問題がある。少子化社会のもと大学が巨塔のようなビルを建て続けているのに、奨学金にあれこれハードルを付けるという現象や、保育の制度いじりばかりして新設の施設ばかり作らせるのに保育士の人件費はムダだと議論するやり方もその現れである。
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