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2010.09.23

9/23 「増税しても雇用のために使われるなら景気は悪くならない」は小野教授の正確な理論ではない・順番は逆だ

内閣府の経済社会総合研究所長に小野阪大教授が就任。

この朝日の記事の前半は妥当だが、菅首相が頼っているものの、その後の発言を見ると正確な理解がされておらず、理論的支柱になっているかは微妙だ。

後半の記事で、「増税しても雇用のために使われるなら景気は悪くならない」と小野教授が入れ知恵しているように書かれているが話は逆で、彼の著書を読めば、不況期には社会に役に立つ雇用創出が重要で、民間がやらないなら公的部門でやるしかない、ということを柱においている。そのための財源は、増税でも国内消化の国債発行でも、不況期には国民から取って国民に戻すのだから、トータルでは景気は変わらない、雇用を退蔵させて畳に汗を落としてお金を配るのか物やサービスを作って活用されるのかの違いだと言っている。その後は、増税の政治的リスクと、国債発行のリスクと天秤に図って決定すればいいということ。それと問題は好況期には、やはり民間ががんばれるような仕組みにすることが大事とも言っている。

意図的に話の順番を入れ替えて、「菅首相が財務省に取り込まれた」媒介役は小野教授だというデマがあるようで、意志力だけに経済再生を求める新古典派経済学も日銀にお札を刷らせることしか関心のないニューケインジアンも取り込まれた小泉構造改革真っ盛りのときに、孤軍奮闘、雇用と経済を論じ続けた小野教授についての評価として不当なのではないかと思う。

●雇用対策を政府が行う必要があるかないか、もうこの頃は議論が決着していて、先の民主党党首選でも菅、小沢どちらも雇用創出の重要性については主張し、あとは増税か国債+無駄撲滅かの違いが争われた。しかしまだ小泉構造改革の幻想が頭から離れず、摩擦的失業がどうだ、自発的失業がどうだ、意図的に議論を混乱させたがる輩が多いと感じる。
統計の自発的失業や摩擦的失業は、傾向を示すものであって、厳密な数字ではないのに絶対視する問題について、大手メーカーの労務部長さんが書かれているこのブログがうまく指摘されている(批評の対象が、あの鈴木亘を重用しているダイヤモンド社の論説委員)。

●この批評の対象になっている辻広氏はじめ、完全雇用の敵は労働組合という立場の人間たちは、労働組合をどうしたいのだろうか。強制解散させよう、ということなのだろうか。政策論としてまったく理解できない。創価学会が政治の悪役に位置付けられることが多いが、そういう人たちが具体的に解散させようなんて話は冗談でしか成立しない。それと同じで、無意味である。
また、抵抗勢力=労働組合論はいくつかの事実のとらえ違いをしている。雇用の規制緩和が非正規労働者を救うのかと言えば、非正規労働者はますます労働組合を結成しにくくなっていて、派遣労働者など最終的な雇用責任が不明確で、派遣会社が仕事を持ってこなくて賃金を払わなくても仕方がないで済まされ、労働者の権利主張など離職で静かに抵抗するか暴力的抗議を通じてしかできない。職を通じた連帯がつくられず、体一つを売り歩くことで精一杯のため、職場の意見反映、社会の意見反映が、ますますできなくなっている。こうして労働分野の規制緩和は労働者の権利主張をどんどんできなくしている。だからそんな主張は無能な政治家や新古典派エコノミスト仲間には受けても、多くの国民は労働組合を頼らなくなってしまった以上に、こうした労働組合主要敵というだけの労働政策論は信用されていないし、「国民の生活が第一」という政策ポリシーの前に雲散霧消してしまった。
さらに労働界の中の話をすれば、正社員の年収が1500万円に到達するような本工主義の労働組合の方が、かつて労働分野の規制緩和に積極的であったし、労務担当部長が指摘しているように、非正規労働者の労働組合が規制緩和を歓迎していない、という事実をとらえるべきだろう。

本質的な自由経済なら、一物一価の原則が労働力の買い入れ費用にも適用され、販売側の主体として産業別労働組合が機能して職種ごとの賃金相場を規定していかざるを得ないはず。労働組合もない自由経済なんて体裁のよい奴隷売買にしか思えないのは言い過ぎだろうか。

内閣府の研究所長に小野・大阪大教授 首相のブレーン2010年9月23日1時58分

. 政府は、菅直人首相の経済政策のブレーンで大阪大社会経済研究所長の小野善康教授(59)を、内閣府経済社会総合研究所の所長にあてる人事を固めた。小野教授は不況時に財政政策を重んじるケインズ経済学者として知られる。雇用創出が経済成長のカギを握っていると主張しており、菅首相の経済政策の理論的支柱となっている。

 小野教授は菅氏と10年来のつきあい。菅氏が経済財政担当相だった今年2月に内閣府の参与に就任し、月に2、3回、知恵袋として菅氏に経済政策について様々な提言をしてきた。7月の参院選前から、菅氏は「増税しても税金の使い方によっては景気が悪くならない」と主張していたが、その背景には小野氏の理論があったとされる。

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コメント

そう言や、今週の「週刊ポスト」の増税特集は余りに酷い代物でしたな。大企業減税を批判するのはまだしも、消費税から資産課税まで増税と名のつくものは全て官僚の陰謀と断じているんですな。

で、「増税で景気が回復したらノーベル賞もの」と捨て台詞を残してますけど、じゃぁ減税した結果どうなったのかってご存知なんですよね?まさかと思うけど、構造改革路線に戻せとでも暗に言いたいのか・・・・・

投稿: 杉山真大 | 2010.09.27 21:30

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