9/10 元官僚の一年生議員たちが人事院勧告を無視して公務員給料を下げろと菅陣営と取り引き
民主党党首選に出ている菅直人氏に、人事院勧告以上に公務員の賃金を下げよ(深掘り、という)と恫喝して公約に盛り込ませた議員がいる。その主張とその議員名は、首謀者である後藤祐一衆議院議員のHPに明らかである。
労働者の賃金は、労働基本権を前提に、労使自治で決定されるべきものというのが国際的にも、国内的にも基本的な考え方。韓国や旧共産圏を除いて、一部高級官僚を除けば、公務員もその原則にある、というのは当たり前である。
ところが日本の場合、公務員の労働基本権を大きく規制し、賃金・労働条件を行政措置する、という色彩を強く出していることから、公務員の賃金・労働条件を決定するのは、人事院勧告という第三者機関が公務員法にもとづいて統計的に出した結果による、という制度になっている。
現在、公務員の労使関係は、組合を作り交渉することまでは可能だが、交渉した結果の約束については、経営側が一方的に破棄できる制度になっている。したがって、労使自治が貫徹されず、国際機関などからは人権問題として指摘され続けてきた。その代償措置としての客観的な機関として人事院があり、給与水準について勧告する仕組みになっている。
どうしても政治家たちが公務員の賃金を人為的に下げたければ、第三者機関のような客観的な機関による賃金決定システムを変えて、労使で合意して契約できる公務員制度に変えるべきである。そしてそのことは現在積み上げられている公務員制度改革の中に織り込んであり、これを粛々と推進していくことが重要だ。一方で、仙谷官房長官はこの点、労働協約権どころかスト権も返して、賃金について高すぎないか組合側と議論して公務員賃金について決着をつける、と発言しているが、その言い分はともかくとして、スタンスとしては正しい。
政治主導なんだから、おかしいと感じたことは理屈抜きで実現して構わないんだ、世論が後押ししていれば何をやってもいいんだというのでは、立憲主義も何もない。そんなこと続けているといつかファシズムへの道である。
●この恫喝をした一年生議員の少なくない数が、元官僚。公務員賃金が高すぎると思うなら、過去にもらった公務員賃金から2割、税金を戻して18%を国に返せといいたい。彼らが官僚をやっていたころは今よりも高かったはず。
●その一年生議員のなかに一人に組合経由で昨夏応援させられた櫛渕万里の名前があって、呆れ果てる。筋道たった考え方ができないで感情論だけで政治やっているのかと思うと、まったく残念である。選対がいつももめていたわけだ。
先日もテレビ画面で小沢氏のまわりでチョロチョロしていたし、師匠は反菅の田中秀征だというし、さっさと小沢一郎応援になればいいと思う。
●日本では右派も左派も、賃金・労働条件については、当事者間の合意が必要な契約関係にある、ということが理解できていないし、その交渉主体は個々の労働者ではなく、集団的労使関係で行われる、という基本が全く理解されていない。
公務員の賃金水準云々はいろいろ議論があって仕方がないと思うが、決定プロセスについて、人権や労働法の基本的な考え方を踏まえないような乱暴な公権力万能論みたいなことを言い出す議員に対して、連合はじめ労組は、明確に応援を引き揚げろと思う。
●公務員の賃金を今日にでも公権力的に下げろという立場の人間たちは、カタストロフィーが近いと世論や党首選の候補者を脅かしているが、そういう非論理的な恫喝をするような政治家が多数になり、党首選の候補者たちが飲まざるをえなくなっていることの方が、カタストロフィーが近いと感じている。
不勉強な割に、自分たちだけに正義があるかのようなふるまいをする政治家たちに何言ってもだめだ、と思ってきているもの。多くの国民は。
●官僚バッシングの悪乗りで危うく犯罪者にさせられそうになった村木厚子さんが一審無罪。同僚も支援活動をしていたので、うれしい結果。
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コメント
皆さん、今晩は。
>反菅の田中秀征
田中秀征氏はみんなの党に入った時点で終わりました。田中氏の「リベラリズム」は単なる化けの皮にすぎず、中曽根・小泉体制の継承者であるみんなの党に入ることで自ら化けの皮を剥いだといってもよいでしょう。
投稿: 国道134号鎌倉 | 2010.09.14 01:35