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2010.08.04

8/4 行方不明の人の年金照合はできるわけがない

生活感のない政治家たちが、短期間のうちに年金未照合データをゼロ件にする、などと息巻いていたが、どうしたんだと思うが、そもそも不可能だと論証するような事件が相次いで起きている。

長寿のお祝いをすべき高齢者が行方不明という事件が相次いでいる。

この国では、住民票の届け、死亡届、出生届など、識字力のある人によってめでたく届けられることが前提となっている。家族関係が壊れていたり、届けるという考えも及ばないような人、字の読み書きができないことなどにより届けるための能力がない人が、実際に存在するのかどうなのか、役所は知ることができないし、よく考えればまれでこそあれ、ありうることだ。

そうしたことを想像もできないで、めでたい標準的な中産階級の家庭像しか想像できず、年金未照合ゼロなんて法螺話をしてきたことで、年金制度の議論や、公務員への信頼、はては税財政への必要な議論をさせないように混乱に陥れてきた、一部の政治家たちの鈍感さには改めて呆れかえる限りだ。

その鈍感さで担当大臣になっているのもいるぐらいだから困ったものだ。

110歳以上の年金受給者、対面調査へ 厚労省2010年8月3日21時1分朝日新聞

 所在不明の高齢者が東京都内で相次いで明らかになった問題で、長妻昭厚生労働相は3日、110歳以上の年金受給者を対象に対面調査を実施する方針を決めた。同日、日本年金機構に通知し、今月中に結果をまとめる。2005年の国勢調査に基づく推計で、対象者は100人未満になる見込みだ。

 調査は全国の市区町村に依頼し、転居などで居場所が把握できない場合は、日本年金機構の職員が出向いて最終確認する。対象を絞った理由について、長妻氏は「まずは速やかに結論が出る一定の年齢以上ということ」と説明。所在不明者が多く判明した場合には、対象を広げた大規模調査も検討する。

 年金受給者の死亡情報は、日本年金機構が年6回の支給前に住民基本台帳ネットワークをもとに点検する。このため、遺族が市区町村に死亡を届けていない場合は年金は支給される。

 また、9月の敬老の日に合わせて記念品を贈呈している満100歳の高齢者について、長妻氏は家族などではなく直接本人への手渡しを求める考えも明らかにした。近く、厚労省が自治体に通知する予定だ。

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コメント

それにしても、戸籍制度に加えて年金番号や住基ネットで住民情報を一元管理しても、この様な事が起こっているってことを誰が理解しているんですかね。

ここへ来て納税者番号とか矢鱈一元管理を強めている傾向があるみたいですけど、果たしてどれだけの効果があるのか今一度考えてみるべきではないか?って思ったりします。

投稿: 杉山真大 | 2010.08.04 09:46

実務担当者は戸籍や住民票が完璧でないと理解しています。問題は為政者たちにその理解がなくて、国民にその洞察力がないことです。
はからずして、ありえないことにしてきた問題が様々露呈し、国民を完全に把握するということがどれだけ難しく、その上に年金の完全管理などさらに困難だ、ということを理解せず、ただ厚生労働省や社会保険庁を叩き続けた、一部の政治家たちの無理解さ、突撃精神は自己批判してもらいたいものです。

ところで杞憂の納税者背番号制は別問題です。これは完全な補足が必要な問題ではなくて、税や社会保険料の公正な負担をめざすものです。今よりましなのかという政策効果を問うならともかく、完璧でないから無意味だ、という批判は成立しません。

年金管理にしても、納税者背番号制にしても、論ずるべきは公正な制度か、それと人権を蹂躙しない制度か、ということだけで、完全な把握ができないからやめたらいいんだ、というのはコンピューター社会に毒された発想です。

投稿: 管理人 | 2010.08.05 01:40

とは言え、この件で国民葬背番号制の様な一元管理への警戒ってのが出ているんですよね。
http://twitter.com/bilderberg54/status/20354525216
http://twitter.com/bilderberg54/status/20354749627

公正な制度と説明しても一元管理で人権蹂躙って批判が先立ってしまい、議論が先に進まないのではないかと。

投稿: 杉山真大 | 2010.08.05 11:53

問題はお金を持ちすぎている人と、何らかの事情でこの世に身を隠さなくてはならない人にとって恐ろしいのだと思います。

まぁ、やったところで年金手帳がそうであったように、何やっても完全ということはなく、国民層背番号制なんていうイメージのものができるわけがないと思います。アメリカの社会保険番号のように、事実上の市民権の制限になるようなことが起きる可能性はありますが。

国民を完全に掌握するのは、戦前やったように人間どうしによる監視しかないわけです。

私はそういう意味で楽観していますし、逆に、国民どうしを監視させるような議論の方が危ないと思っています。そういう意味では、今回の高齢者の問題で、行政、地域が一体で把握する必要があるなどと叫んでいる人の方が危ないと思っています。住民票があるのにいない高齢者の問題なんて、大きな実害はないわけですから。

投稿: 管理人 | 2010.08.06 22:41

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