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2010.08.21

8/21 自転車による交通事故加害者に高額賠償命令が相次ぐ

自転車で交通事故を起こして高額賠償判決が相次いでいるという毎日新聞の記事。

自転車:歩行者との事故に高額賠償判決…過失相殺認めず

議論を呼びそうだ、とリード文で書いているが、自動車による交通事故の被害者、鉄道事故の被害者についてはあれほど肩入れしている新聞社が、こんな中途半端なスタンスで書くものかと思ったりもするが、こうやって警鐘を鳴らすことはいいことだ。

交通事故の被害者は被害者なのに、どうして、自動車と自転車ではこうも差があるのか。同じような事情で死んだり怪我しているのに、片や警察が介入し、保険や裁判で被害が補償される一方、片やほとんどがひき逃げで証拠すら残せず保険もないからと賠償判決が出ても払われず被害者は泣き寝入りとなって、理不尽である。

自転車がエコだなんだともてはやされているが、歩道を自動車並みに暴走して危ない思いをしたことは何度もある。携帯メールしながら自転車に乗っているバカも後をたたない。それなのに自動車の運転並みに罰金や懲役刑がないことは不可解である。そんなことで自転車のおかげで歩道が全然安全ではない。被害者側が賠償請求の裁判で歯止めをかけるしかない。

一方、自転車を使わざるをえない事情も広がっている。
一つは都市の無秩序な拡散。昔は開発できなかったような駅から遠いところがどんどん開発されて、クルマに乗れない人は自転車に乗らざるを得なくなっている。
その上、近年の公共交通、とりわけバスの衰退と、諸外国と異なり、公共交通の整備について公的責任がまるでないため、バスなどの軽易な公共交通がなくなっている。残っていても用事をいくつもこなさなくてはならないような生活にはフィットしないような運転本数しかなくなってしまった地域が多く、結果としてマイカーか自転車に依存しなければならない生活になっている。自動車に関しては道路整備が公金で際限なく行われ、通行料まで公金で補助されてタダ同然になってきているので、公共交通については見捨てられる一方である。

自転車が加害者となる事故について社会問題化する中、自転車に対する自動車同様の登録制度、警察の捜査、義務制の保険、駐車場登録など整備して、ひき逃げできないようながんじがらめの制度を作るべきだと思う。

自転車:歩行者との事故に高額賠償判決…過失相殺認めず

自転車と歩行者の事故で自転車側に高額賠償を命じた主な判決※年齢は事故当時 自転車の車道走行ルールを厳格化するため道路交通法が改正された07年以降、自転車で歩行者をはねて死亡させたり重傷を負わせた場合、民事訴訟で数百万~5000万円超の高額賠償を命じる判決が相次いでいることが分かった。これと並行して東京や大阪など主要4地裁の交通事故専門の裁判官は今年3月、「歩道上の事故は原則、歩行者に過失はない」とする「新基準」を提示した。高額賠償判決がさらに広がるのは必至の情勢となる一方、車道走行ルールが浸透していない現状もあり、今後議論を呼びそうだ。

 ◇東京など4地裁「新基準」
 自転車は道交法で「車両」と規定され、従来、原則車道走行だが定着せず、歩道での自転車と歩行者の事故が急増。このため07年の道交法改正(施行は08年)で歩道を走れる条件を明確にし、車道走行のルールを厳格化した。高額賠償が相次ぐ背景には、この厳格化を司法が酌み、加害者の自転車に厳しい態度で臨んでいることがあるとみられる。

 こうした流れの中、交通訴訟を専門的に扱う部署のある6地裁(東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸)のうち、京都、神戸を除く4地裁の裁判官は今年3月、法律雑誌で誌上討論。自動車やオートバイの事故では、歩行者側の過失の程度により車両側の責任を軽減する「過失相殺」の基準が東京地裁の研究会などにより示されているが、自転車にはないため、4地裁の裁判官は自転車にも基準の必要性を確認した。

 その上で、横浜地裁の裁判官が、歩道上の事故については道交法で自転車の走行が原則禁止され、通行できる場合も歩行者の安全に注意する義務があると指摘。「事故の責任は原則、自転車運転者に負わせるべきだ」とした上で、運転者が児童や高齢者でも変わらないとし、他の3地裁も基本的に一致した。

 「新基準」に、4地裁は「検討が必要」としているものの、あるベテラン裁判官は「各地裁は参考にしていく」と、その影響力を指摘。別の裁判官は「自転車には非常に厳しいが、自転車の台数増加など事故の要素が多くなっていることを受けたものだろう」と評した。

 一方、自転車の交通事故を担当する弁護士は「自転車の車道走行は一般的に浸透していない」と新基準に疑問を呈する。さらに、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)のように所有者が強制加入する保険がないことから「加害者の資力が問題」と懸念を示している。【北村和巳、馬場直子】

 ◇過失相殺◇
 損害賠償訴訟で被害者にも責任や過失があった場合、その程度に応じ裁判所が賠償額を減らす仕組みで、民法に規定されている。例えば交通事故被害者の損害額が2000万円だったとしても、被害者に周囲の安全を確認しなかったなどの過失があり、賠償額から差し引くべき割合が20%と判断されれば、賠償命令額は1600万円になる。一般の訴訟では裁判官が事案に応じ自由に過失相殺の割合を決められる。

 ◇対歩行者事故…10年で3.7倍
 社団法人「自転車協会」の調べでは、全国の自転車保有台数は08年3月時点で約6910万台。最近10年で約398万台増えた。警察庁によると、09年の自転車関連事故は15万6373件で、交通事故全体の21.2%を占める。自転車事故の増減はこの10年ほぼ横ばいで、8割以上は対自動車だが、対歩行者事故に限ると、99年の801件から09年は2934件。10年間で3.7倍に激増した。自転車同士の事故も09年は3909件で、10年前の4.4倍に増えている。

 自転車側が過失の大きい「第1当事者」となった2万4627件のうち、未成年の占める割合は39.6%。訴訟では13歳前後から賠償責任を負うとの判断が多く、未成年が高額な賠償を求められかねない実情が浮かぶ。これらを含め、自転車側に法令違反があったのは、自転車事故全体の3分の2に及んだ。【馬場直子】

 ◇解説…危険性、厳罰化で警鐘
 歩道上の自転車事故で高額賠償判決が相次ぐとともに、主要4地裁の裁判官が「歩行者に原則過失なし」との「新基準」を打ち出したことは、自転車と歩行者の事故急増を受け、司法が自転車利用者に「厳罰化」で警鐘を鳴らしたと言える。一方で、車の自賠責保険のような賠償を求められた際のセーフティーネットや、自転車道などインフラ整備は不十分なままだ。この状態で厳罰化を進めれば大きな混乱を招くのは避けられず、今後、幅広い議論が求められる。

 日本弁護士連合会交通事故相談センター東京支部の部会長として自転車事故の判決例を分析した岸郁子弁護士は「司法はこれまで自転車を『歩行者寄りの存在』と考えてきたが、対歩行者の事故多発で『車に近い危険性を持つ』ととらえるようになった」と指摘する。

 被害者の一人は「自転車事故に共通するのは利用者の意識の低さ。いくつもの悲惨な事故が裁判所の(高額賠償や新基準という)判断につながった」と強調する。

 しかし、高額賠償や「新基準」が常態化しても、自賠責などのない自転車の利用者に支払い可能かといった新たな問題が生じる。歩行者側に後遺症が残ってもなかなか補償されず、加害者側も補償という重荷を負い続けるという状況が続出することも考えられる。

 歩道上に自転車と歩行者が混在する現状をどう転換するかといった問題も積み残されたままだ。司法の「問題提起」を機に、自転車との共生社会を真剣に展望すべきだ。【馬場直子】

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コメント

同感です。所沢市に住んでいますが、母が歩行者用道路で自転車にスレスレに通られて、いつも肝を冷やしています。こちらは78歳の老人です。鎌倉に住んでいた堀口大学が、自転車の無法ぶりを憤り「バイコロジーのお通りだ!」というサタイアを書いてから、もう40年近くになるのです。

投稿: 藤原正樹 | 2010.08.28 01:44

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