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2010.07.24

7/24 「家計を預かる主婦ならば」という決め言葉の鈍感さ

政治に関心のある主婦のブログで「家計を預かる主婦ならば」というきめ言葉で消費税反対を訴えているのを見てしまった。

あ~あという感じ。昔の世代ならともかく、今どき、専業主婦で夫の稼ぎからいかに節約するか、ということをやれる主婦というのがいかに恵まれた階層であるか、全くわかっていない。
そして、税金が上がらないためには、社会サービスが整備されないで我慢する方がいい、というのは、病気や家庭事情などでフルパワーで働いて稼ぐことができなくなった人に対する想像力の欠如か、差別意識しかないのだろう。

「家計を預かる主婦ならば」という言葉遣いを平気でできる鈍感さがイヤだと思う。どこかで聞いてきたような言葉を使う安直さもイヤだ。
こういう人の夫は、おそらくお小遣い制で、稼いだ金を全部巻き上げられて、馬車馬のように働かされて、いいように吸い尽くされるんだろうなぁ。あまり幸せそうではない。

多少なりとも政治に関心があってものを書くなら、今の政府の維持にどれだけお金がかかっているのか自覚すべきだろう。対案で巷間でふりまかれているムダとして例示される、政治家を養うために使われるお金など、その100分の1もかかっていない。政党助成金や議員報酬を減らせば増税回避できるなどというのは、目くらましの詐欺師の言説に呑み込まれている。

主婦のロジックでいうなら、生活費が15万もかかるのに、夫の会社が7万しか給料を払わない状況といのうが、今の政府の状況。その場合、主婦は生活費を削るんだろうが、まずは夫に給料が上がる方法はないのか聞いてみたり、すぐに解決できないのであれば、夫に転職を勧めたり、自らが働きに出たり、夫の働き方に問題があれば時には離婚するというのが多くの主婦が取る行動であり、ひたすら支出だけを抑えるというのは、怠慢だろう。

増税がイヤというなら、アメリカの小さな政府論者みたいに、年金給付額を半減させろ、とか、貧乏人は医療にかけるな、とか、保育園は育児放棄だ、とか言ったらいいんだと思う。ところが和をもって尊しとするこの俗世間の中では、そういう主張も暴論として、消費税増税反対論者はしない。そういうことを言わずに、論旨一貫したことを言わずに、主婦という立場を隠れ蓑にして政治的言説をふりまいて、俗論に阿っているだけである。

●ムダ撲滅がらみで政治家の報酬や政党助成金が標的になっているが、そういうものが充実してきた歴史的背景を無視した感情論に本当にイヤになる。
政党助成金や議員歳費を減らせば、その分政治献金が増えるわけで、そうなればまたしがらみが増え、しがらみが増えれば、税金を使ったさまざまな政治家のための事業が増えるということである。
また金持ちが政治家になればしがらみも経費もかからないと言うとこなのだろうが、そういう政治家は、税金こそ食わないものの、金持ちが財産を増殖し守るための政策を主張する。その犠牲になるのは雇用とか社会保障である。そして最後は究極の社会保障に人が集まるようになり、生活保護の給付額が増大するようなことになる。
政党助成金や議員歳費をある程度に維持しておかないと、かえって国の経費がかかる。80年代後半から90年代前半までそういう議論をふまえてきたはずだし、そのことでしがらみ利権の献金をひっぱってこれる魅力ないオヤジに代わって、選挙戦術をみがいた若手政治家や女性政治家が国会に進出できたはずなのに、そのシステムに乗っかっているような人がすっかり忘れて叩きやすいところを叩くという議論の仕方をしているところが、ダメだと思う。

●これは、天下りを受け入れている様々な利権法人と、国家公務員数の抑制との逆比例的な関係と同じである。天下りをなくせば国家公務員を定年まで雇わなくてはならないので公務員人件費が上がる(多少高年齢の公務員人件費を抑制したところで)。それを公務員人件費が上がることが絶対悪なんだ、とやれば、天下りの利権法人を培養することを認めざるを得なくなる。どちらが税金の無駄づかいなのか、価値判断ができないような人が政治なんかやるべきではない。

●毛ばりが党首の政党がまさにそれである。

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