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2010.06.20

6/20 ムダ一掃するまで増税させないとは高齢者の既得権益

TBSサンデープロジェクトモーニング(すみません訂正しました)のコメンテーターたちがひどい。

菅首相の消費税増税に、田中氏と岸井氏が、政局からみだ、財務省に取り込まれた、と何も証拠も示さず罵倒している。田中秀征は、一層のムダ削減をしろ、としか言わない。他のコメンテーターも同様の発言をしていたが、政治のプロであるこの2人が、理解できる現状を無視して、ネガティブなレッテルを貼って罵倒していることが、職業倫理として問題があるだろう。

昨日も書いたが1日267億円の財政赤字が拡大している中で、1ヵ月かかって同程度のムダ削減しかできない状況が続いている。この1年近く、事業仕分けをやり続けて、あえてスケープゴートを作って、それでも予算が組めない事態を経験して、そろそろ民主党政権として財政問題の議論の決着を付けなくてはならないだろう。
ムダ削減で、保育所に入れるようになるのか。介護が整備されるのか。このままムダ削減をやり続けば、そうした国民生活に必要な予算が捻出されるどころか、抱き合わせでさらに予算が削られることになりかねない。

明らかに大きく足りない財政のもとで、政府が財政的制約のもと手足が縛られて何もできず現状維持の政策展開しかできない状態において、しかも毎日267億円の利払いが続き、そこで何ヶ月もかかって数百億円程度のムダづかいを目をさらにして探しているのは、明らかに非効率。
将来のことを何も考えていない、棺桶に片足突っ込んだ返済義務のない世代の政治評論としか思えない。放置すれば将来、さらにさまざまな社会保障政策を中心にした無策のツケと、利払いで増大した債務整理のために大増税をしなくてはならないと思う。

なかなか出てこないムダの削減と本質的な財源確保というのは、別個の議論であるべきだろう。増税なき財政再建というのは右肩上がりの時代に可能な議論。いつまでも日本企業がうまくいって自然増収のあった1980年代のままのメザシの行政改革談義は転換すべきなのではないか。

菅首相は、2003年頃に本格的に経済学を学び直し、新自由主義的な思考から転向して今回の政策に至っている。当時、新自由主義的改革に心酔している若者に一所懸命、学び直した経済学を説明していた場面に立ち会ったときのことを思い出す。そうした学習の蓄積があることを無視して、庶民の味方のような顔をして怒り顔で、論理がないように決めつけ政局話に矮小化していることがどうにも許し難い。

●さきがけ系政権などと言われる中で、さきがけの中枢にいて小さな政府論を展開した田中氏には今日的事態が許し難いというのはわからないでもない。しかしそうした方針に最も忠実であった小泉政権下でどんな問題が起きたのか。あまりにも生々しい現実がありすぎる。

●消費税増税反対、役人が悪い、政党交付金を返上しろ、と全体のバランスを欠く感情論が視聴者に受け入れられるとしか思いこんで作られているバラエティー系政治評論番組のやり方には、いい加減飽き飽きしている。
消費税増税支持が半数を超える世論の中で、そろそろバッタ物安売り戦術は飽きられているのではないか。信憑性は2ちゃんねる以下だと思う。まじめにものごとを捉えるように報道をしていく必要があるのではないか。

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コメント

私は自称左派であることは以前述べましたが、こうした財政・税制問題に対しての、左派の無知・無責任ぶりには目を覆いたくなるものがあります。

日本が社会民主主義を目指すうえで問題なのは明らかに財源不足。
ところが左派の増税拒否反応は異常とも言えるもので、片方では社会福祉の充実をとなえ、一方では増税には反対という矛盾したものです。
彼らは「税金は高所得者が払えばいい」「無駄を削減しなければ増税は認めない」「政府に税金を与えるとろくなことには使わない」などという、早い話が「逃げ」ばかりをうっているのです。

もちろん増税は公共サービスを強化し、納税者負担を軽減することで納税者に還元できれば決して負担強化にはならないし、中位以下の所得層にも、いや低所得者層にこそ大きなメリットがあるのに、そこへいく以前に拒否反応を示してしまうので、まったく話が進まないのです。

今の左派の言い分を聞いていては、絶対に社会民主主義の実現は不能と思われます。
こうした連中が、実は経済右派の河村たかしやみんなの党のような空想的ポピュリズム勢力に力を貸していることに気付かないのでしょうかね。

投稿: 飛び入りの凡人 | 2010.06.20 18:00

 いつも興味深くブログを拝見しています。本日の記事内で紹介されている番組は、サンデープロジェクトではなく、サンデージャポンですね。

 たまたま、私も同じ番組を観ていました。政局しか見ない政治部記者の典型の岸井氏には、もともと期待していないのでまた適当なこと言ってるなとそれほど驚きませんでした。

 ただ、田中秀征氏の発言はちょっと残念ですね。切れ味がものすごく鈍ったというか、小さな政府論者というのはわかるのですが、あの発言だと政策論というよりは何か管総理自身に個人的な恨みでもあるような。はき捨てるような言い方に違和感を覚えました。

 いつまでたっても台所の感覚で政治を考えるというような昭和的野党の文脈、脊髄反射でおこなう報道しかおこなわないメディアの現状にはあきれます。自分たちは安全圏にいるので気楽なことをいってりゃすむのでしょうが、そのことが社会にもたらす害悪について彼らは考えないのでしょうか。

 この国の将来のあり方を見据えた落ちついた議論がなされる言論空間ができてほしいと日々願っています。

投稿: 後素 | 2010.06.20 23:59

「飛び入りの凡人」殿

 増税でよくなるならそれで結構ですが、現状、そういう見通しがたちますか?

 増税されたところで、それが本当に生活をよくするために使われるのか、信用ができないので黒川さんの議論に俄かに同意し難いのです。否定もできませんが。

 一例が事業仕分け。派手にやったわりには多くの独立行政法人は殆ど無傷です。政府系の公益法人もそのまま。産炭地の離職者対策で発足した雇用能力開発機構は結局そのままです。あの機構の雇用対策が何程の効果をあげているというのでしょうか?そんな法人がピンピンしている。特殊法人の給与が国家公務員よりも高いのは「つぶれた時のびっくり料」だそうですが、つぶれること自体が「びっくり」する話になってしまって給与水準だけが高くなっている。その分も税金です。
 大体、公務員が労働三権を欲しがらない。役にも立たないスト権より人事院の勧告の方が有難いというところでしょう。これはつまり、国が全面的に首を守れということですが、そうなっている。こういうことはタダではできないのです。その経費が税金であることは言うまでもない。
 健康保険一つみても、給付水準は 国保<協会健保<組合健保<共済健保 と給付が全然違いますがこれは手つかずのままです。私は全部入った経験がありますが、病気になる蓋然性が一番低いところに税金が入って給付も手厚いのです。その見直しは有耶無耶になっている。
 年金もそうです。共済年金は基金部分が最初から制度に組み込まれていて、その部分は税金故、年金基金のように解散の心配もない。
 
 要するに役人やその関係者が税金をかすめ取る仕組みはまだ変わっていない。さらに税金を食おうとする業界と役人の連結菅である民間公益法人は全く手つかずです。

 いくら消費税を目的税化しても、消費税以外の税を私されたら同じことです。

 増税されたところで何も変わらなかった、効果のない財政出動ばかりが繰り返されたという結果にならないか?という疑念が尽きない以上俄かに増税と言われても乗れない話でしかありません。

 こういう疑念に「左派」も右派も「社会民主義」も関係無いと思いますが。

投稿: バウアー | 2010.06.22 23:13

要するに、よく言われる「政府は信用できないので増税にもにわかに賛同できない」という意見ですね。

バウアーさんのその意見は以前の投稿でもよくお見受けしましたが、永久不変のテーマであるそれを言い出したら、そこから先に一歩も進まない。増税忌避の言い訳のみ述べていることをまさにあらわしたものではないでしょうか。

なお、バウアーさんの意見を拝見する限り、「増税するなら公務員や公的法人の人件費を削れ」と言っていると思われます。
これもまた逃げのひとつに過ぎないと思います。人件費は必要な経費として受け入れるべきと考えますし、それを否定することは、「安売りのためにはブラック企業の労働条件を認めろ」というのと同レベルです。
「公務員を減らしてその分福祉に回せ」というトンデモ意見と同種のものとしか言えません。

財政出動にしても同じです。
何もしないでおけば結果責任を問われることはありませんからね。
でもそんな政府に存在価値がありますか?

「左派も右派も社民主義も関係ない」
その通りです。だが左派の掲示板なり、ブログなりをご覧になったことはありますか?
増税に対する拒否反応は明らかに左派の方が強いですよ。

投稿: 飛び入りの凡人 | 2010.06.23 23:28

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