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2010.06.20

6/19 増税は雇用の創出に

社会保障政策では腹の底から不安を感じる民主党政権であるが、それでも増税を正面から議論はじめたことは評価したい。

昨日、NHK報道番組で、大阪大学の小野善康教授が出演されていて、雇用を作ることに意味があるんだ、と指摘されていたがその通りで、雇用を作らない増税は意味がないし、増税をしないことで失業者数を高止まりさせてしまうことは問題が多いという前提の共有が必要。

小泉構造改革で経験したことだが、国がせっせと節約して、そのことで失業者が増えて、社会保障給付が増えるのであれば、全く意味がない。
逆に雇用も増えないのに、せっせと税金を浪費するのも問題。

明治の富国強兵でも、政府が産業を作り、後に軌道に乗ったら払い下げてきた歴史もある。当初、資本設備が準備できないで需要を満たせない公共サービスもある(保育所や学童保育、病院などいい例)。民営化が人件費ダンピングでなく経営の自律性の問題と捉えるなら、増税した財源から不足する公共サービスを国や自治体の直営サービスとして必要な公共サービスを整備して雇用を創出しながら需要を満たし、徐々に景気や財政収支などを見ながら、民営にしても変な人件費ダンピングがされなければ、独立行政法人化や民営化などを進めれば良い。それで働く人が犠牲にならないか監視するのは、公共サービスを組織する労働組合の責任となる。詰まらない規制緩和ちちんぷいやるより、公共サービスが整備される。

また新たにサービスは創出しないが、自治体や国の資金で雇われている年収200万円以下の人たちの年収を300万円以上にすることで、有効需要は創出され景気対策になる。言うまでもなく年収700万円の人を1000万円にしても大した支出増にはならないが、年収200万円程度の人はなかなか貯金できず、むしろ消費を抑制している。彼らが収入を増やせば、ほとんど貯蓄せず、抑制していた消費を正常な水準まで引き上げ、有効需要を創出する原資になる。

大事なことは小野教授が言っていた雇用を創出すること。雇用を創出する効果のない事業にお金をつぎ込んでも、需要は創出されない。

●相変わらずみんなの党は、増税の前にやることがある、などと寝ぼけたことを言っている。増税の前にやることがあると言って出てくる節約はせいぜい1兆円。
そう言って増税を遅らせることで、1日あたり267億円もの返すべき利息を殖やし続けていることが、実は最大の税金の無駄づかいになっていくということを、きれい事を言う政治家たちは逃げ回っている。借金の利子の処理をどうしていくかということを、主体的な責任論なしに語ることは、まさに次世代にツケを回すことになる。

●ただし、増税の財源をどの程度借金返しにまわし、どの程度、社会保障の現物給付をはじめとした雇用開発に振り向けるかは、価値観の分かれるところ。阪大の小野教授は最初は全額雇用開発にまわして、続いて返ってくる所得税・消費税で借金返しをせよ、という立場になろうし、慶大の権丈教授はほどよくバランスを取れというところ。財務省あたりは、全額近くを借金返しに使えという立場に近いのだろう。
金融業に現金を渡せば景気回復できるとなれば財務省の立場が正しいが、今の日本、金融業界が(国債償還で)受け取った現金を市場にすべて吐き出すとは思えず、小野教授から権丈教授あたりまでの立場が、正しいのだろうと思う。

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コメント

どうも腑に落ちない部分がかあるので以下。宇野派から見ても、初歩的な近代経済学から見ても妙な印象ですので。


 そもそもどういう場合に「雇用」が増えるとされているのか、理解できません。「雇用」は原理的には好況→恐慌→不況の循環のうち、「好況」局面の中でしか増えません。(現代資本主義では「恐慌」は回避されて別の形で発現するわけですが)この好況は再生産表式論の「拡大再生産」の現実化です。この拡大再生産は「生産手段生産部門」の拡大が必須となります。何が「生産手段」かと言われれば議論もありますが、「設備投資」の増加は「生産手段生産部門」の拡大と見ていいでしょう。
 そうすると、増税で「雇用を創出」ということは、例によって乗数効果を狙った財政出動、ということにしかならないと思うのですがそうではないんですか?
 ここのところ、金融政策と財政出動がろくに効果を発揮せず、出された金員が投機に回ってその投機需要に引きずられて生産力が拡大し、投機が破たんして過剰生産力が顕在化し、金融の混乱で実体経済がおかしくなるということの繰り返しでしょう。

 確かに、政府の「事業」で雇用は「事業」に対応した数だけ増えるでしょうが、「雇用創出」の効果としてはそれだけのことです。(それに意味が無いとはいいませんし、それはそれで必要なことだとは思います。)社会保障費の支出増と雇用創出とは社会政策的な意味は別として、経済学的な意味では全く別の話です。

 また、「彼らが収入を増やせば、ほとんど貯蓄せず、抑制していた消費を正常な水準まで引き上げ、有効需要を創出する原資になる。」という件は(マルクス経済学でなく)国民経済計算から言って違和感ありませんか?投資=貯蓄、ではなかったですか?

 設備投資の拡大が成長の条件だというのは近代経済学も言っていることだと思いますが(誰だったか忘れた)、その成長がなければ「雇用」の創出も無いということになるのではなかったでしたか?この点は宇野派も近経も同じことを言っていたと思います。

 社会保障の拡大がその事業で雇用される以上の「雇用の拡大」につながるという(←この括り、誤りですか?)認識はどういう理論上の根拠があるのか理解できませんし、それでいて増税で「雇用の拡大」と言われると、まだ効果も無い財政出動を続ける気か?とも思います。その上、企業の、社会保障への合理化の付け回しを今後も継続していくのだろうか?とも言いたくなるのです。法人税減税にいたって尚更そう思うのは私だけでしょうか。

 それと、無駄使い一層は、効果より先に矜持の問題です。政労連には申し訳ありませんが、正直言ってまだあるの?というような法人はあの僅かな人数の単産を見ただけでもごろごろしている。それだけでも許せないというのに、公益法人の夥しい天下りも、直接税金が出ていないだけで、結局は関係企業に人件費以上の効果を齎しているから雇われているわけで、要するに税金を投入しているのと同じことでしょう。その整理の結果を民主党がだすまで、矜持の件が解決さたとは言えないでしょう。(これは、社民党にはまずできない作業です。政労連との関係をみればすぐわかることですが)。
 それでいて増税と言われても不信感が募りますねえ。

投稿: バウアー | 2010.06.20 02:50

要領が悪いので箇条書きにおこたえします。
○増税で雇用創出というのは、財政出動にほかなりません。単純な乗数効果ということではなくて、富を生み出すのは雇用しかないのですから、雇用にどの程度使われるか、役に立つ事業なのかという問題で選択すべきと考えます。
○設備投資だけに成長の条件を限るという考え方は私には理解できていません。むしろ設備投資の増加(=貯蓄率が高まること)=成長とつながっていくことが理解できません。
国民所得は総需要で決定され、総需要は消費と投資によって構成すると理解しています。したがって、投資が行われない場合は、国民所得の水準は消費に依存すると習っています。
○社会保障も現物支給で行われれば、それで所得を得た人は消費者となり、消費にまわすことになるので、総需要を創出するということになります。
○企業の社会保障の合理化をどう捉えるかは、従来から非正規労働者や中小零細企業で働いている人から見れば、退職金も少なく、組合健保もなく、ほとんど丸裸の状態で働いていたわけですから、そもそも差別を前提にしていたシステムと言えます。現在、課題になっている介護も保育も失業も企業がカバーしろというのは無理があります。企業年金に至っては、現役世代を圧迫しています。本来なら社会保険料か法人税をもっと取って社会が肩代わりするのが正しいのでしょうが、法人税のダンピング合戦が行われていて、不況下で儲かっている企業が少ない以上、儲かっている企業に相対的に重い負担がかかっていると見るべきでしょう。これは法人税のダンピング合戦の中止や租税回避地の解消を国際協調でやっていくしかないと思います。
○政労連にどのような思いがあり、矜持についてこだわるのもわからないでもないのですが、精神戦で増税という選択肢を取らないことによって、私たちはあまりにも多くの機会と社会の進歩と未来への責任を取り戻すチャンスを失っていると私は考えます。
ちまちまムダを削除する時間に、やればよかったこと、やっておけばよかったことがどんどんタイミングを失していると考えます。
ムダ一掃はやりつづけたらよろしいかと思いますが、困難なのは何がムダかということについて、おおざっぱな国民合意がないし、政党や政治家に軸となる理念がないことです。家族福祉を重視する人からは、保育所や介護施設など、ムダの骨頂ということになります。増税せずにムダをなくすということはこういうものまでもムダとみなして、多くの人の社会参加のチャンスを奪うことになるのです。
会計検査院が発見する1件500億円前後の税のムダはとても大きいものです。しかしそれを発見しても国民1人あたり500円弱の問題です。100分の1しかリスクのない問題の社会保障費に費やしても1件年5万円程度の事業しかできません。朝霞市役所がばらまく細かい市民活動団体への助成金みたいなことしかできません。

投稿: 管理人 | 2010.06.20 13:43

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