5/8 小選挙区制のせいにするべからず
公明党が小選挙区制の見直しを訴え。
残念ながら、比例代表制の組み合わせの日本の小選挙区制は、世界的に標準的な選挙制度。完全小選挙区制ではないのだから、必ずしも第三党以下を潰そうという意図をもった制度ではない。
政党が得票数に応じて議席に占めることが民主主義だという言い方をする人がいるが、私はとんでもない幻想だと思っている。それが本当なら、選挙に参加する政党の数しか国民世論の違いがないということになる。そんなことはない。5大政党制になったところで、5つには収斂されない。党と党員ならびに支持者の意見がぴったり一致するのは公明党と共産党ぐらい。それ以外の政党は、おおまかな価値を共有して、個別の政策は党内論争で克服している(仕組みであるべき)。
問題は、政党間の論争が有権者の前で有意義なかたちで行われ、それぞれの政策のメリット・デメリットを呑み込みながら投票できることが完全に保障されることである。そういう意味では、小選挙区制というのは非常にメリットがあると思う。
逆なことが一般市と町村の議員選挙である。みんな無所属で、個人的な人脈だけで選挙して、一体誰がどういう主張をしているのかはおろか、無所属の候補については、何党に本籍があるのか、首長に対して批判派なのか協力派なのかすらわからない。政策はできるだけぼかし、個人的な人脈を壊さないような政治活動しかしない。
結果、候補者の個人的人脈につながらない人にとって市町村議員選挙は全く意味を感じず、大都市周辺部は投票率が40%ぐらいで、党員や支持者がほぼ全員投票する公明党や共産党が非常に大きな発言力を確保することになる。
●中選挙区制は、1928年普通選挙実施にあたって、無産政党の進出をブロックするために政党政治をぶっ壊すために内務官僚が代案で出してきたものである。結果、国政選挙は政党ではなくて人脈で投票が行われるようになった(これを綺麗な言葉では「人物本位」という)。
●小選挙区制になって、労働組合の発言力が小さくなったと思う。5人の1議席なら、特定労組が丸抱えで運動員を動員したり、名簿を管理したりすることが効率的だったが、小選挙区制になると、51%の有権者を確保することをめざすために、特定労組にしか通用しない政策や訴え方、運動の作り方では当選がおぼつかない。同じことが業界団体や、職能団体にも言えると思う。そういう意味で、小選挙区制で当選した候補者は、特定の利害を代弁する立場を取りにくくなっているメリットがある。
●以前公明党が全国完全3人区で150選挙区制を提案していたが、あまりにも露骨。拒否率が高い政党だから、小選挙区制がきついというのはよくわかるが・・・。
衆院小選挙区制の見直し訴え 公明代表、英総選挙受け
公明党の山口那津男代表は8日、岡山市での街頭演説で「2大政党で政権交代して政治がよくなると言われたが、悪くなる一方だ。英国でも総選挙があり、第3党の自由民主党が支持率を伸ばしたが、議席は伸びなかった」と述べ、衆院の小選挙区制の見直しが必要との考えを強調した。
公明党は2009年の衆院選マニフェストで衆院選挙制度について「新しい中選挙区」の導入を掲げた。小選挙区制は第3党に不利とされ、昨年の衆院選では当時の太田昭宏代表ら選挙区の同党候補8人が全敗している。
山口氏は第3党が注目を浴びた英国総選挙の結果が選挙制度改革の契機になるとみたようで、「民意が反映されない選挙制度をやめるべきだというのは日本も同じだ。議論すべき時だ」と訴えた。
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