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2010.03.15

3/15 阿久根市長にみる公務員の雇用制度の課題

公務員制度の金科玉条に、「雇用ではなく任用」という殺し文句がある。
公務員は、公が必要としているから雇い入れる行政処分であり、個々の労働者のニーズ云々する契約関係ではない、というもの。任用制度の極端なものが徴兵や徴用。

正規職員にはこれに「分限」という考え方で、使用者側の解雇権を整理し、その裏返しで「身分保障」がされているという仕組みになっている。
公務員が身分保障があり安定している、と言われるのは、こうした制度のバランスがあるだ。

ところが使用者側にバカが座り、公の都合を口実に分限や懲戒を乱発し、任用制度の考え方を全面展開するとどういうことになるか、というのが阿久根市のような事例。

竹原氏は、昨日の市民懇談会という人民裁判のような場で、「自衛隊では、上司の思いを忠実に感じ取り成果を上げるよう教わった」と職員叩きを正当化しているが、指示命令系統がどの程度強くあるべきかは全然違う事例ではないか。ピストルは暴発してはならないのだから。

●EU労働法雑記帳「労働の消費者は使用者です、もちろん」の中で、モンスター何々という中に、使用者が入ってこない不思議さを書いておられて、その中で、マシナリさんの「会計検査院とオンブズマンが作る世界」とブログ記事が紹介されていて、興味深い。
オンブズマンや市民運動がなくなれとは思わない。そのことで不公正な行政手続きで弾圧されたり抑圧されている市民が救済されることもあるだろうから。しかし彼らが行政に何をただしてほしいのか、なお、整理が必要なのではないかと改めて思う。政治ゲームをやりたいなら、(プレイヤーになるかシンボルになるかは別として)選挙に参加してやったらいい。

●阿久根市の市民懇談会を記録したteitterを読む。ほんとうひどい政治やっているなと思う。
気になったやりとりがあった。夫婦2人で公務員は許せないという竹原派市民の発言に、竹原氏は、夫婦で食べていくのがやっとなら誰も文句は言わないと返す。しかし介護施設で働くカップルとか、無認可保育所で働くカップルとか見ていると、低賃金になればなるほど同情はされても、誰も助けてもらえない仕組みになっていることを感じる。私も月7万で生活していたときには、履歴書の写真1つ作るのに、なけなしのお金を使った博打を打つみたいな感覚だったもの。上を叩く前に、底上げのための連帯が必要なんじゃないかと思う。実際に年収200万円以下で働いている阿久根市の臨時職員や非常勤職員はどんな扱い受けているんだろう。自称改革派で正規職員公務員を痛めつけても非常勤職員に定期昇給を実現した市長もいる。

●公務員憎し、その公務員の利害代表である自治労はなお憎し、そんな竹原信一とアエラ。アエラは地方公務員の給与は高すぎるという中吊り広告、42歳700万と。その隣には、下がる給料と言って民間企業の給料が41歳1080万円、42歳800万円と。高いんだか安いんだかわからない。

阿久根市:「まるで人民裁判」…市長主催の「市民懇談会」2010年3月14日 22時41分 更新:3月15日 0時8分毎日新聞

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)主催の「市民懇談会」が14日、同市の市民会館であり、市長に参加を命じられた市職員労働組合役員ら8人全員が出席した。市長支持派の市民が「市長の改革に協力するか」と8人を追及する場面も。会場には定員を大幅に上回る1000人近くが詰めかけたが「まるで人民裁判」との反発も出た。

 竹原市長は全報道機関に取材拒否を通告。開会前の会場を撮影する報道陣に「出て行かないと始められない」と述べ、会場から「公開しろ」「市長が出ていけ」とヤジが飛び交う事態に。数分後、市側が報道陣に撮影自粛を申し入れ、ようやく開始にこぎつけた。

 懇談会では、航空自衛隊OBの竹原市長は「自衛隊では、上司の思いを忠実に感じ取り成果を上げるよう教わった」と自説をぶった。

 一方で反市長派が、職員への懲戒権の乱用をいさめた司法判断を無視する市長の姿勢を批判すると、市長は「裁判所は神ではない」と、司法否定とも取れる主張を展開。議会出席の条件に報道機関への取材拒否を挙げたことを問われた時には「報道機関へのお仕置きと、議会との駆け引きだ」と繰り返した。【福岡静哉、村尾哲】

職員8人 公開詰問 阿久根市長「改革に協力するか」 市民懇談会 議会、報道再び批判2010年3月15日 01:54 カテゴリー:社会 九州 > 鹿児島
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、対立する労働組合役員など市職員8人に出席を職務命令した市民懇談会が14日夜、同市民会館であった。通常の約4倍の約800人が参加。市長は8人を壇上に並ばせ、今後協力するのか、と詰問したほか、反市長派が多数を占める議会やマスコミを批判。障害者を差別的に記載したブログ問題は「謝る対象がない」と述べ、あらためて謝罪を拒んだ。

 昨年12月のブログ問題後、初の市民懇談会(不定期開催)。竹原市長は報道機関に取材禁止を事前通告していたが、参加者から「日本中に見てもらえ」などの声を受け傍聴を認めた。

 8人の内訳は、市職労役員4人▽昨年4月の降格人事を不服とする3人▽反市長派議員の家族1人。「職員研修の一環」が命令の名目で、市長が「違反者は処分する」と公言したため出席した。

 懇談会は、司会の竹原市長が質問者を選ぶ方法で進行。最初は市長の支援者ばかりを当てたため「改革は竹原さんにしかできない」などの発言が続き、会場から「不公平だ」の声も上がった。

 市長本人も8人に「竹原の改革について答えていない」と回答を迫り、職員が「法に違反しない限り命令には従う」などと述べると「厳しいな。あらゆる方法を使い、これを変えます」と話した。

 会場からは、報道機関の取材や市議会本会議への出席を拒否し、課長にも答弁させない市長に「説明責任を果たせ」「もう辞職しろ」との声も相次いだが、市長は「(マスコミは)歪曲(わいきょく)報道へのお仕置き。議会は駆け引き。手の内を明かすわけにはいかない」と語った。

 懇談会終了後、竹原市長は報道陣に対し「壇上の職員の人選は何となく。こういった形でどんどんやれば、業務に反映してくれる。(マスコミへのお仕置き発言は)マスコミも会社ではなく、社会のために仕事をしようということ。(議会への出席は)決めていない。マスコミにネタばらしはしない」と述べた。

=2010/03/15付 西日本新聞朝刊=

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