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2010.03.03

3/3 教員の政治活動を考える

北海道教職員組合の政治資金規正法違反事件について、ヤンキー先生こと自民党の義家議員が、教員の政治活動を禁止するだけではなく罰則を設けよと質問している。鳩山首相も、支援は受けたいが罰則を設ける方向で検討したいなどと矛盾した答弁をしている。

教員といえども私人としての政治的自由はあるわけで、私人としての政治活動まで禁止することは世界的な感覚からは人権上の問題を起こすだろう。
今回の問題を教員の政治活動という枠組みに押し込めようとしているが、本質的には、第一には政治資金と企業団体献金との関係、第二には労組の会計問題である。労組から宗教団体、マンション管理組合、NPO法人、財団法人などなど、性善説と自治の論理で成り立っている非営利団体の会計上のコンプライアンスやガバナンスの確立は、痛い目にあわないとわからないというぐらい難しい(しかし痛い目にあうと内部管理に多大な負荷が発生して、それ以前ほど良い運動ができなくなったりもする)。

昨今の政治による教育の語り方を見る限り、政治家が教育談義をしたがる以上、一方の当事者である教員に、政治活動するな、政治家と接触するなといくら禁じてみても、右であれ左であれ政治的影響力を保持しなければということになるのは避けられない。もう少し、ニーズと成果に寄り添う仕組みを作らない限り、教育はいつまでも政争の具なのだろうと思う。

●教員を聖俗二元論で扱うことはどうも好きになれない。また維新の志士を育てた優秀な教育者は皆政治的でもあった。
思い切って教員の政治活動を追認して、教員の政治色を登録して公開させ、子どもたちに拒否権を与えたり、政治リテラシーを持たせる方がいいのではないかと思うところもある。身近に政治教育(右とか左とかではなくて、政治システムをちゃんと教えようということ)を大切にしようと言っている人たちの薫陶を受けると、政治を教育から遠ざけるのは、民主主義のためにも良くないとも思う。

●高校のときのサヨク教員が安保反対を講義して、それに反発したところから安倍晋三の英雄伝説が始まっているわけで、禁止して抹殺するというのは、右側の人間たちにとってもあんまりプラスではないように思う。

●義家氏が立ち直った北星余市高校というのは、私から見ても北海道に名だたるサヨク教員たちの集まった学校で、今の義家氏の立場からは偏向教育とレッテルを貼られても仕方ないところ。そこで人生を建て直したことについて、義家氏はどのような総括をしているのだろうか。自民党議員になってしまったという立場があるのだろうが、母校の教育成果の代表選手ような立場で出世できたのに、自らその神話に泥をかけるようなことをするのは理解できない。

●この問題における朝日新聞の社説が「手を切れ」とよろしくない。そういうことなのだろうか。感情論に寄り添っているだけで、あまり論理的ではない。右派メディアの方が批判は厳しいが、冷静である。
今回の問題は契機に過ぎないが、労働組合と政治の関係について図式的、皮相的にしか理解できない朝日新聞の態度にうんざりしてきたようなところもある(少数のいい記者がいることは認めるが)。
人権だ平和だと叫びながらも、バラバラの個人の自発的な民主主義という新自由主義的生活者モデルに依拠した朝日新聞のスタンスにはうんざり。今月いっぱいで購読をやめようと思う。親切にしていただいた販売店の方々には申しわけないが。

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コメント

>義家氏が立ち直った北星余市高校というのは、私から見ても北海道に名だたるサヨク教員たちの集まった学校


これは意外でした。

「公務員は中立だから政治活動禁止は当然」とする単純な思考がまかりとおっています。

憲法で保障されている政治活動の自由は本来その職業の如何を問わず最大限保障されるべきであり、あまりにも昨今の論議は短絡すぎますね。

投稿: 一国民 | 2010.03.04 00:55

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