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2010.03.29

3/29 国家公務員の政治活動は合法の幅が認められる

国家公務員(当時)が私的な時間に、政治的自由としてビラ配布をしたところ捕まり、国家公務員法違反で逮捕される事件があった。

それに対する一審の判決は有罪。ところが今日あった東京高裁の判決では無罪となった。
私的な時間に公務員という立場を利用せずビラ配布を行ったことは、政治的自由としての一つとして、刑事罰を科すのは違憲という内容。国家公務員の政治活動の一切を否定した猿払事件の判決を見直す判決となった。

公務員が著しく民間労働者と異なり、政治活動が一切してはならないなどという、前時代的な法解釈がまだまかり通っている。私的な時間すらいかんというので、公私の峻別すら認められていない。
公私の時間を問わない身分であるという公務員観は、公務員を特権階級化していることの裏返しで、今の公務員の実態にはそぐわない。今の多くの公務員は、官僚よりも、一般的な事務員や現業員であり、民間の労働者と著しく働き方が違うとは言い難い。

そういう中で、「政治行為の禁止の範囲が広すぎる」と指摘した判決は、先進国には不十分であっても、時代の流れの方向に合う判決だと思う。

公務員のとらえ方と、政治活動一般に保守的な裁判所にしては画期的である。

●公務員の政治活動の禁止は、役所というマシンを使わない、市民の立場の弱いことに付け込んだ地位利用しない、事業の見返りなどをしない、などの範囲にとどめるべきだろう。あんまり他の民間労働者との違いを強調してストイックにすると、ますます不透明なところに追い込むように思う。

●この事件の頃、共産党のビラ投函が次々にやり玉にあがり、共産党以外も政治活動としてマンションや公務員宿舎へのビラ投函ができなくなったり、風通しのよい政治ができなくなるようなネジが巻かれた頃である。

国家公務員の政治活動、東京高裁で逆転無罪

 2003年11月の衆院選前に東京都内のマンションで共産党の機関紙を配るなどしたとして、国家公務員法違反(政治活動の禁止)に問われた元社会保険庁職員、堀越明男被告(56)(現在は日本年金機構准職員)の控訴審判決が29日、東京高裁であった。

 中山隆夫裁判長は配布が休日に行われていることなどから、「被告の行為が行政の中立性に対する国民の信頼を侵害するとは考えられず、これを罰することは国家公務員の政治活動の自由に限度を超えた制約を加えることになる」と罰則適用を違憲と判断。その上で罰金10万円、執行猶予2年とした1審・東京地裁判決を破棄し無罪を言い渡した。

 1審判決は、国家公務員法が定める政治活動の禁止を合憲とした猿払事件の最高裁判決(1974年)を踏襲したが、この日の判決は、合憲性は否定できないとしながらも「公務員の職種や勤務時間の内外を区別せずに定めている点で問題が生じる場合もある」と指摘した。

 堀越被告は、社保庁目黒社会保険事務所に勤務していた03年10~11月、東京都中央区の自宅周辺のマンションや住宅などの郵便受け計126か所に、同党の機関紙「しんぶん赤旗」の号外などを配布したとして起訴された。

 判決では、管理職ではない堀越被告が単独で公務員の立場を明らかにせず、勤務先と離れた自宅周辺で配布していたことに着目し、「一般国民が国家公務員による政治的行為と認識する可能性はなかった」と認定した。

(2010年3月29日10時19分 読売新聞)

逆転無罪に法廷どよめく…公務員の政治活動裁判

 マンションで共産党の機関紙を配るなどしたとして、国家公務員法違反(政治活動の禁止)に問われた元社保庁職員、堀越明男被告(56)の逆転無罪の判決の主文が読み上げられた瞬間、東京高裁の法廷内はどよめき、支援者から歓声が上がった。


 堀越被告は午前10時前、黒いスーツに黄色いネクタイ姿で102号法廷に入廷。多くの支援者らが陣取った傍聴席に目をやって会釈をしてから被告人席に座り、緊張をほぐすように大きく息をついた。

 「原判決を破棄する。被告人は無罪」。中山隆夫裁判長が証言台の前に立った堀越被告に告げると、静まりかえっていた傍聴席からは一斉に大きな拍手がわき起こった。中山裁判長は「静かにしなさい。こんなことで喜んではいけない」と静粛を求め、判決理由を読み上げ始めた。被告人席に戻った堀越被告は机の上に手を組み、神妙な面持ちでうつむいて耳を傾けた。

(2010年3月29日12時30分 読売新聞

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