2/8 民主のインターネット選挙解禁は、発想が小さい
民主党の党内研究会がネット選挙解禁の法案をまとめたようだ。
HPは解禁、メールは受取人の同意で送ることが可能というもの。
その趣旨は賛成するが、忘れてならないのは、選挙運動の個々のツールを解禁する思想ではダメだということで、文書図画の全面解禁による、表現の自由、政治活動の自由の回復でなければならないと思う。民主党が得意げに批判する「官僚支配」の最たるツールは、選挙運動規制にあると考えるべきだろう。
官僚が自由に政策発表できたのに、政治家は選挙で政策を訴える手段を縛られて、民主主義は成立しない。
どうも、小沢一郎の選挙運動全面解禁論に比べると、この研究会のまとめた内容は些末で、考えた人間の発想が小さい。もっと近代民主主義の原則に照らして、規制をやることそのものがどうなのか、ラジカルな問題提起をすべきではないか。選挙規制があって当たり前という考え方が、国際的には異常なことだという知識がないのだろうか。
問題点もある。メールを送るときに相手の同意が必要としている。
それは政治家にとってトラップになるだろう。今でも、後援会の通信を送るのをめぐって、秘書や運動員たちは、有権者から「誰の許可得て送ったんだ」などと謝罪に明け暮れるのが日本の選挙。
本来、政策宣伝に許可も無許可もないと思う。駅頭では聞きたくない人にもスピーカーでわあわあやっておいて、文書やメールだけ許可がなければ配れないなど、異常である。
日本で政治家が有権者に文書を送ろうとした場合には、後援会に加入しているなどの前提がなければ売名行為ということで公選法違反になる。しかし、そうであれば、名簿をどっさり持っている人だけが選挙に参加する権利を持つことになり、役所が管理する団体の支援や、W大などのマンモス校出身者が幅を利かせることになって、民意がうまく反映されなくなる。
また、小さな話では、この手の話は、許可を得たか得なかったかというのは、非常に微妙な例が多い。許可を得たつもりが、そうでなくて激しいクレームを受けることは、選挙運動に関わると日常茶飯事だ(国会議員の候補者ぐらいになるとそういうクレームは運動員が勝手に処理して無縁かも知れないが)。
また、第三者がなりすまして大量に無許可メールを送ったときに、政治家の事務所が謝ったり、釈明したりするメールを返信し続けなくてはならなくなるだろう。
あんまり自分の首を絞めることをすべきでないし、選挙の規制は、できるだけ選挙結果を歪曲しない範囲にとどめるべきで、簡単に警察や検察に政治家を取り締まらせる法律の作り方は良くない。有権者の審判に委ねるべきではないか。あんまり品位に欠けるやり方でメール送信をする候補者は、私は当選しないと思う。
●選挙運動期間中にHPを更新して問題になった阿久根の竹原市長、神社にさざれ石を奉納。政教分離の問題とともに、天皇はどこの馬の骨という発言をしていて、神道に協力するとは矛盾していないか。
まブログで運動OK ネット選挙解禁へ改正案 民主研究会が要綱2月6日7時56分配信 産経新聞
インターネットによる選挙運動を解禁するための公職選挙法改正案の要綱が5日、明らかになった。民主党の「インターネット選挙運動解禁研究会」(田嶋要会長)がまとめた。現行法では選挙期間中、候補者や政党によるホームページ(HP)更新やメール送信が禁じられていたが、基本的に解禁。候補者以外の第三者がネット上で特定の候補者への支持を呼びかけることも認められる。
研究会は近く、同党政治改革推進本部(海江田万里事務局長)に改正案を報告。同党は今年7月の参院選で実現するために、通常国会への改正案提出を目指している。
現行の公選法では、HPやブログ、メールなどは「不特定多数への文書図画の頒布」として扱われ、候補者や政党は選挙期間中、更新、送信することはできなかった。また、一般の有権者もネット上での選挙運動はできなかった。
研究会がまとめた要綱は、「何人も選挙運動のために使う文書図画をネットなどで頒布できる」とし、ネット選挙運動を解禁する。候補者や政党、第三者がHPやブログ、ミニブログ「ツイッター」、メールなどで選挙運動を行うことができるようになる。
ただし、候補者が有権者に電子メールを送る場合、事前に相手の同意が必要で、選挙運動用であることや送信者の氏名などの明記が義務づけられる。電子メールに関する義務違反には罰則を設ける。
ネット選挙運動解禁については、なりすましや誹謗(ひぼう)中傷への措置が課題とされていたが、研究会は刑法の名誉棄損罪や公選法の虚偽表示罪などで対応するとしている。
民主党はネット選挙運動解禁をマニフェスト(政権公約)に掲げ、研究会が昨年12月から検討していた。
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