2/27 市の総合計画は議会で審査すべきもの(名古屋市)
名古屋の河村市長が市議会議員の数を半減させる条例を提案するらしい。また、有権者を煽動して押し通すつもりだろう。そういう政治が危険だとわからないものなのだろうか。
ここまでは政治ゲームの話だから、当事者どうしやってください、という話だが、問題はそれを紹介した毎日新聞記事の後半の部分。
河村市長は「総合計画を新たに議決対象に加える条例(議員提出)は認められないとし、再議権を行使する」というもの。市の立てる様々な計画は、多少の市民参加はあってもほとんど行政によって考えられ作られる。政令指定市ぐらいの規模になると一般的な市民参加は技術的に難しく、ほとんど行政とそれにまとわりつくコンサルタント、公共工事関連の研究者によってまとめられる。市民の一般的な議論と合意を経る過程がないまま、市の財政や人員配置を拘束することになる。市民によっては、行政の計画によって、行政のサービスの享受が計画によって左右される。
議会改革の議論では、市議会がもっと議決案件を増やし、政策論争せよという方向で議論がされている。市のさまざまな計画も議会で決定したり、ときには議会が市民参加でとりまとめることもすべきだということも言われている。
そういう観点から見ると、自称改革派の河村市長の判断は、まったく逆行していて、議会との政治ゲームに目を奪われるあまり、市民の政治的合意なし・行政内部だけで作った計画策定をよしとする判断をしている。
私は行政の立てる計画は、議会の討論と議決を求めるのは当たり前だと思うし、そうすべきだと思う。議会が市長や議員どうしの不祥事を突っつきあうことばかりに時間を浪費し、政策論争をしないのは、無駄だと思うし、民主主義を劣化させると思う。
議決案件に加えた名古屋市議会の判断が市長の足を引っ張るための政治ゲームだったとしても、まさに政策そのものなのだから、議会で議論していったら、市民の良識的な判断がされていくことだろう。その過程でもし足を引っ張るためのことなら、議員の質が議会の討論で浮き彫りになっていくだろう。
河村市長は、議会との政治ゲームではなく、市の総合計画での提案力で評価された方がまともではないか。
●市民に役に立つ市役所を作るために議会はどう改革されるべきかという議論をせずに、名古屋みたいに、議員を減らせ、議員報酬を減らせ、そんなことばかりしか関心のなくて市長を一方的に支持している市民運動が、市政改革派として台頭しているのを見ると、不幸だなと思わざるを得ない。市民が街を良くするために批判しているというより、プロ政治家の政治ゲームに取り込まれているだけだ。
●数十億円、ときには数百億円の財政を左右するはずの行政計画が、議会の議論も市民参加もなく決定されていっているのに対して、法律や計画で必要な施策を進めるために自治体に雇われている自治体の臨時・非常勤職員のボーナスや退職金、諸手当、金額では多くても数億円を支給をするのに、「住民合意が必要」と一円一銭に至る厳格な条例制定を求めている。
「一円一銭」の厳格な条例がないのに臨時非常勤職員にボーナスや退職金を支給したことが違法と言いがかりをつけて、浪人人生20年もやってこれた金持ちのドラ息子が行政訴訟を起こして、判決で臨時・非常勤職員に賃金の返還せよと下され裁判もある。
市民の税金の使い道やサービス形成についてもっと徹底した住民合意を求められるべきは、政策的な行政の諸計画であろう。それこそが議会の議決も何もチェックできないシステムになっていて、八ッ場ダム建設や、朝霞市においては公務員宿舎誘致計画のように、行政施策が暴走して止まらないということが起きている。
一方、臨時・非常勤職員の賃金は、条例や計画で決められた施策実行のために雇われるだけのもので、しっかりした労使合意としっかりした雇用方針があれば、行政の裁量で賃金や労働条件を動かしても、自治体の存廃を揺るがすような問題は起きない。変動的な賃金相場や行政需要に対応させるためということを考えても、厳格な議会承認が必要という今の考え方は弊害が大きい。
何が行政の裁量で、何が住民合意が必要なのか、地方主権などとイデオロギー的な言葉遣いをする前に、再定義が必要だと思う。
名古屋市議会:3選挙区を1人区に 市長が提案方針2010年2月27日 2時34分毎日
河村たかし名古屋市長が2月定例議会に追加提出する議会改革関連の3条例案が26日、明らかになった。▽議員定数を75から38に半減▽議員報酬も月額99万円から49万5000円に半減▽政務調査費を廃止--の三つで、議員半減に伴い、東、中、熱田の3選挙区は1人区となる。定数改正条例は11年の次回選挙から施行するとしている。
名古屋市議選の選挙区は行政区と同じで、16ある。条例案は定数を現行の2~7から1~4へと削減するとした。議会側の反発は必至で、成立は困難とみられる。
また、市長は市議会が25日に可決した、市の総合計画を新たに議決対象に加える条例(議員提出)は認められないとし、再議権を行使することを決めた。近く議会側に通告する。【岡崎大輔】
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