« 1/8 菅大臣の外国為替レートへの発言を擁護する | トップページ | 1/9 だから万国の労働者団結せよなのだ »

2010.01.08

1/8 脳研究の暴走に日本神経学学会が警鐘

朝日新聞、良記事「脳研究の神話独り歩きに警鐘 日本神経科学学会」。

保守的イデオロギーが脳科学の装いをして、科学的なおしつけとして地域社会で流行している。

やっぱり粗雑な調査の結果を、科学として論文公表しているんだと思うし、その程度のものだから伝聞で話している人は信仰として言っているので、反論してもしょうもないものだとわかる。まさに神話である。
しかし、神話・信仰でしかないものが、都会のローカルな世界では、変な影響力を持っている。神話とほとんど無縁で仕事をしている人にはそんなバカなと思うが、地域社会では、インチキな科学を装っている脳研究の結果についてさしたる反証もしないまま、教育行政を動かし、児童福祉に影響を与え、コミュニティー活動や、地域福祉活動にまで言い募られている。
子育て世代が標的とされ、脳科学で裏付けられていることになっていることが神話として流布されている。そして、保守的イデオロギーが科学の装いで反証も受け付けず押しつけがましく垂れ流され、共働きは良くない、長時間保育は情緒不安定にする、自然の多いところに子どもを連れていかないとグレるなどと言われたりするものだから、嫌になってくる。「早寝、早起き、朝ご飯」などのかけ声なんかそれそのものである(勤労者としての道徳訓としてはそんなに間違ってはないが、脳研究の結果みたいに言うと話がとんでもなくおかしくなるし、押しつけがましくなる)。弁当に愛情かけて時間かけて手作りしないと子どもがグレるみたいなのも流行したっけ。
こうした脳研究はまた、障がい者の人がいる家庭をさらに追い込んでいく。

脳と向き合う学会が、いんちきな論文もあるんだ、と警鐘を鳴らしてくれたことは感謝したい。

脳研究の「神話」独り歩きに警鐘 日本神経科学学会2010年1月8日20時15分朝日新聞

 脳科学研究の成果が、脳ブームに伴って誤って広がっていることなどを懸念し、日本神経科学学会は8日、研究指針の改定を発表した。脳活動の測定方法の安全性や測定でわかることの限界を知り、検証を受けた論文などを発信するように求めた。

 指針では、科学的根拠のない「神経神話」と呼ばれる疑似脳科学が独り歩きしていることを憂慮。不正確な情報や大げさな解釈で脳科学への信頼が失われることがないように、科学的な根拠を明確にして研究成果を公表するよう求めた。

 経済協力開発機構(OECD)の報告によると、神経神話には「3歳までが学習を最も受け入れやすい」「右脳左脳人間」「脳は全体の1割しか使っていない」などがある。

 脳を傷つけずに調べる手法は1990年代に実用化され、脳内の血流の変化などを画像化する測定機器が普及した。比較的簡単に操作でき、人間を対象とした実験の経験が少ない工学系や文系の研究者にも広まった。同学会によると、被験者への実験の安全性の説明をしていない例や、測定機器の特性を理解しないまま実験する例もある。同学会は、ホームページで公表するなどで会員以外にも順守を呼びかける。(佐藤久恵)

|

« 1/8 菅大臣の外国為替レートへの発言を擁護する | トップページ | 1/9 だから万国の労働者団結せよなのだ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 1/8 菅大臣の外国為替レートへの発言を擁護する | トップページ | 1/9 だから万国の労働者団結せよなのだ »