12/2 額は大きいのになっていない景気対策
デフレを受けての政府の補正予算がまとまったが内容がなっていない。
雇用が創られない財政出動はあまり意味がないと何度も書いたが、この中で多少評価できるのは雇用調整助成金のみ。これが辛うじて失業者の増加ペースを緩和する効果があるだけ。国の借金が増えて、デフレ経済と低い税率のもと、誰かの懐に入っておしまいである。
エコカー減税やエコポイントも特定業種の雇用維持に効果はあるが、しかし結果として需要の先食いに過ぎないようなところもある。ハイブリット自動車の開発競争を促すならまだメリットありか。
大学生や高校生の職業支援みたいなところにジャブジャブお金をつぎ込むのは全く愚策。そもそもの雇用を増やさないのに職業紹介みたいなことに力をいれたって、景気は回復しない。
やはり公的支出の不足に起因して人不足の業種、お金さえつぎ込めば人を雇うような介護や、施設を整備すれば需要と供給の両方を掘り起こせる保育所、病院医の待遇改善などにお金を使い、質の高い雇用を増やすことが必要。
失業しているのは介護士や保育士、医師ではない、と言う人もいる。しかし介護士や保育士の有資格者が、割に合わないからとスーパーのレジ打ちやっていたり、OLやっていたりするのであれば、介護士や保育士が本業回帰することによって、その雇用は他の人に明け渡される。
●保育所については今の待機児童2万5000人。仮に児童1人年100万円使ったとしても、運営費補助金、地方交付税あわせて年250億円。施設整備費は、1園5億円としても、2万5000人÷平均的保育所定員90人=278施設を建設すれば、1385億円で当座の待機児童問題は解決される。真水4兆円のごく一部で当面解決される。
これで保育士他関連職員約5000人~6000人の真水の雇用を生み出す。待機児童で困って仕事ができない人が仕事ができるようになる。
●濱口桂一郎さんが労働問題に真摯に向き合っているとしてSPAを評価している。21世紀に入るぐらいまでは扶桑社だからと敬遠していた私も、愛読する家族のおかげで時折読んでいるが、全く同感。どうしようもないウヨ雑誌やウヨ新聞を持ちながらも、大手メディアが書かなかった左派的な論調でも商売にしてきたフジサンケイグループの良さを感じる。
小泉構造改革の真っ盛りに、小泉構造改革の暗部を恒常的に取り上げて書き続けたのはSPAぐらいではないか。小泉構造改革を批判した左派系雑誌はあるけども、グローバリゼーションがどうのこうの、経済イデオロギーの問題ばかりで、生活や労働の問題を直に取り上げたのは2006年以降。それも継続性はない。労働に関してめざすべき理念もないのに労働組合叩きを特集する某経済誌より数段まし、というところも同感。
2次補正で経済対策7兆円超、当初より大幅増
政府は2日、2009年度第2次補正予算で行う新たな経済対策を7兆円以上とする方針を固めた。
政府は当初、1次補正の見直しで確保した約2・9兆円のうち、約2・7兆円を活用する考えだったが、急速に進む円高や株安への対応も必要になったことなどから、当初の想定を大幅に上回る規模にすることにした。国民新党が約11兆円、社民党が約6兆円規模の対策を求めていることにも配慮した。
2次補正の財源は、1次補正の見直し分に、長期金利が低水準で推移したことによる国債の利払い費の減少分などを加え、国費の支出を伴う「真水」分として約4兆円を確保する方向だ。
一方、2日に開かれた政府・与党の基本政策閣僚委員会の小委員会で、景気低迷に伴う地方交付税の減少分を穴埋めする必要があるとの認識で一致。原資となる法人税などの減収に伴って、減額される見通しだった3兆円前後の落ち込み分を経済対策として盛り込む。この手当ては、09年度の国の税収減として見込まれる約9兆円を補う赤字国債の発行で対応する。
2次補正では、「エコポイント」制度を10年末まで延長するほか、省エネ住宅の新築などを対象にした「住宅版エコポイント」を新設する。環境対応車向けの補助金制度も来年9月まで半年間延長する方針だ。
雇用対策では雇用調整助成金の支給要件を緩和したり、来年春に卒業する大学生や高校生の就職支援を強化したりする。さらに、中小企業の資金繰りの支援枠を約10兆円拡大する。
(2009年12月2日15時11分 読売新聞)
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