11/9 国家戦略室ともあろうところが空き教室がどうだ細かいこと言うんでない
国家戦略室が年内に経済成長戦略を発表するという。
「投資効果のないところに財政出動し、赤字だけが増えて成長しなかった、同じ間違いはしない」という総括はいいが、同じ間違いはしない、ということは、投資効果のあるところに財政出動するという結論になるのか、だから財政出動は無駄だという結論になるのか、後者になりそうで非常にあやうい。小泉構造改革のときにも、そんな言葉が使われていたように思う。税金が投入されるところほど非効率になる、とまことしやかに。
こういうときに限って保育所問題が動員されるが、本当は保育所のことなんかどうでもよくて、困っている人をエサに、空き教室の活用とか縦割り行政とを壊すとか、手段が目的化した政治的成果にはやるのもご免蒙りたい。ずっと待機児童を抱えた家庭はそういうノリにつきあわされて迷惑している。
そもそも関係のない空き教室の活用とか幼保一元化などの目標を、待機児童問題と絡める議論は、成果が上がらず恥かくからおやめなさい。
保育所の問題は、行政の手続きの改良で何とかなる問題(延長保育の実施や、低年齢保育の実施、空き教室の活用や幼保一元化なども)と、財政出動しなければ解決しない問題(そもそもの容量確保)と両方あり、待機児童問題は後者の問題なのに、政治家は、行政手続きの改良でちちんぷいとしたがり、そうした結論ばかり追い求めていつまでたったも問題解決しなくて困る。
空き教室の活用による待機児童の解決は、先日、担当の長妻厚生労働大臣が、保育所不足のところに空き教室が無くて効果が上がらない、と認めている。幼保一元化も問題は同じ。子どもの多いところは幼稚園が空いていない。子どもの育ちを分断するなという幼保一元化の議論と、単なる行政の不作為でしかない待機児童問題を同列に扱うのもあまりにもひどい話である。
国家戦略室が考えるべきは戦略なんだから、保育に関しては、人々や家庭がどのように豊かさを実感し、社会生活と私的生活のバランスを保ち、子どもどうしの育ちをどう作り上げて満足度の高い社会を形成していくか、という目的を語り、そのために取り組むべき政策メニューやマニフェストの中での優先順位を提示してほしいところだ。
待機児童問題で悩む自治体担当者の話も聴きもしないで、思いつきのような保育所を増やす些末で技術的なことは考えるべきでなく、行政改革の技術みたいな話は、業瀬刷新会議にでもやらせておけばいいのだ。
●市内の自称市民派議員の会派が、市の財政支出先の上位ランキングをリストにして配布している。いかにもな公共工事に混じって、上位に保育園への補助金がランクインされる。説明もなしに、こうした表をただ垂れ流すのはどうなのだろうか。
保育所の補助金は、市役所が保護者の払う保育料をいったん受け取って、その必要な単価の差額を、国や県のお金などを混ぜて支払うもの。運営経費の総額を市役所が直接渡していると言ってよい。そのうち純然たる市の負担金はその4分の1もない。
一方、介護施設は、市の支出が特別会計から社会保険報酬支払基金や国保連合会を経由して支払われるため、保育所以上にお金がかかっているのにこのランキングに載らない。本来公営であるべき地域包括支援センターへの補助金だけである。
そういったバイアスがかかっていることを説明せずに、保育所がさもお金がかかっているような印象を与えることに憤りを感じている。事実、以前、このランク表の作成者の一人である市議に、保育所って金もらいすぎだよなぁ、などと暴言を吐かれたことがある。
市のまともな監督も委託に対するビジョンもない状態で、低賃金で働いているこれら民営保育園の保育士が聞いたら、激怒するだろう。
年内に経済成長戦略 菅氏意向 雇用、環境など柱2009年11月9日 東京夕刊
菅直人副総理兼国家戦略担当相は八日、中長期的な経済成長戦略を年内にも策定したいとの意向を表明した。「できれば年内に、鳩山内閣として成長戦略を形作れないかと思っている。雇用、環境、子ども、景気の『4K』を柱に考えたい」と述べた。視察に訪れた東京都世田谷区で記者団の質問に答えた。
議論する場は十一月中に固め、地球温暖化問題に関する閣僚委員会と連携させる方針。二〇一〇年度予算編成が本格化する十二月中旬までに一定の結論をまとめたい考えだ。
一〇年度をスタートとして、十~二十年間の中長期を想定。菅氏は「この二十年間、投資効果がないところに財政出動し、赤字だけが増えて成長しなかった。財政健全化の失敗はそこにある。同じ間違いは犯さない」と強調した。
子育て支援については、保育所の待機児童や幼稚園と保育所の縦割りの問題に触れ、小中学校の空きスペースを保育所や幼稚園として活用する案に言及。「これが新しい雇用、経済成長につながる」と指摘した。
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