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2009.11.08

11/8 雇用も創出しないで

面白いニュース。
勝間和代氏は、個々人の意識の持ち方ばかりを問題にするようなところがあって、あんまり好きなタイプではないが、具体的なことでは時々考え方が合う。

エコノミストとしての勝間和代氏が、菅副総理へのレクチャーで、国債発行してデフレ退治を求めたことに対して、「国債の発行は投資というが、これまでそうなってこなかった。官僚主導の権力構造を変え、財政の中身を根本から変えることが必要」と同意しなかった。

私は日銀に無制限に国債を引き取らせよというような勝間和代まで勢いのいいことは言わないが、しかし、民主党のマニフェストの少なくない部分が、自民党型ではない景気対策の内容や、次の景気のための準備となる社会投資となる政策が含まれていること、税収の拡大で返ってくる部分も少なくないことから、95兆円という財政規模にびびることなく、マニフェストの範囲で一時的にでも財政を拡大せよと思う。

7年ほど前、菅直人が、小泉構造改革の対抗戦略として、小野善康阪大教授のケインズ政策に傾倒していたことがある。右手で新自由主義の若手議員を煽りながら、左手でケインズ経済学を再学習している、その態度に非常に期待をしたものである。小野氏の説明では、デフレは投資(株ではなく実物投資)より現金など流動性資産への保有志向を高め、物は作られず、雇用はなくなり、よりデフレを悪化させる悪循環に陥る、それを止めるのは財政出動しかないが、従来型の公共事業では雇用を創出せずダメだというものである。

今回、菅氏の回答では、雇用より財政なのである。彼のマッチョ的体質から言うと、瀬戸際で財政出動により国民を守る政策を採るのか、元気な国民がどこから出てくることを期待するのか、という選択肢でいうと、国民を守る政策なんて、という話になることは読めるが、小野教授との接点があり傾倒しながら、今回の対応は残念な気がしている。

●民主党が財務省官僚とそのOB議員たちにマインドコントロールされて、手先のように動いていることに、何のために彼らを選んだのかと思うところもある。政権交代直後では、自民党が政策決定にあたってタブーとして考えていた諸々の前提から自由に考えるようになったが、95兆円の概算要求という数字が出てから、すっかり財政という枠ばっかり考えるようになって、自民党時代と大して変わらないような、ちびちびちまちま、国民の観念ばかりを刺激しようとする政策ばかりが出てくるようになった。思想も理念も明確に違うわけではない二大政党の弱点がこういうときに出てくる。何に価値をおいたらいいのかわからないのだろう。
緊急雇用対策の、雇用創出の部分など、その典型である。良質な雇用を創る経済政策から、劣化した雇用を数多く創ろうとする観念的運動に堕落したように思う。状況は「希望は戦争。」のままである。
こうした閉塞感は、大きな政治の流れでは反作用を呼び、あんまりいい結果にならないような危機感もある。

●雇用を創出しないで財政をけちっていけば、小さな政府になっても、それ以上に経済規模が小さくなる。しかし発行した国債の額面金額は小さくならないで残り続ける。

●エコノミストという人たちが、マクロ経済政策だけでなく、当事者や専門家をさしおいて社会保障や教育政策の細部の政策決定にまで口を挟んでくるのは、政治家の側の問題ではないか。政治家が未来を描けない苛立っているところ、経済学を予知科学のように見たてて、何でもかんでもエコノミストにご意見を聴きたがるのだろう。お金もないのに景気対策をしたい、賃金も払わないのに介護の質を良くしたい、などと、都合が良すぎる。度がすぎればそれは信仰にもとづく願掛けの類である。
さらに質の悪いことに利用される経済学者が経済学の限界を知っていればいいのだが、社会のありとあらゆることを説明できる錯覚に陥っていること。大学の経済学教員の志望動機や学問の魅力についてのコメントに顕著に見られる。その伝統はマルクス経済学から始まっており、最近でも10年ほど前、ある労組のかんだサヨク集会を見学せさてもらったときに、高名な労農派教授が自らの学説を若者に信じこませるために「女に振られるのも資本の論理なんです」と言い切ってびっくりしたこともあった。

勝間和代さんのデフレ退治策、菅直人副総理は納得せず2009年11月06日 毎日web
 菅直人副総理・国家戦略担当相がエコノミストから意見を聞く「マーケット・アイ・ミーティング」に5日、勝間和代さんが登場。「まず、デフレを止めよう」と題したプレゼンテーションを行い、通貨の大量発行などの大胆なデフレ退治策を求めたが、菅担当相の納得は得られなかった。

 
 勝間さんはプレゼンの中で、「日銀の白川総裁はデフレスパイラルではないという認識だが、現状はデフレスパイラルだ」と政府・日銀の認識の甘さを指摘。若年層の雇用の厳しさ、自殺率の高さに表れる社会不安などを挙げながら、「デフレは百害あって一利なし」と強調した。そしてデフレ対策として、政府と日銀が政策合意を結び、インフレターゲット政策などを行うことを提案した。
 
 その後の意見交換で、「具体的にどうすればいいのか」と聞く菅担当相に対して、勝間さんは「通貨発行量をふやすのがいちばん簡単」「要は中央銀行のお金を大量に刷って、それを借金として政府がばらまく」と回答。菅担当相が「簡単に言えば、国債を50兆なり70兆なり出して、日銀に買い取らせるということか」と聞くと、勝間さんは「そういうことです」と答え、「国債の発行が悪いことのように国民は教育されているが、将来への投資と考えるべき」と主張した。
  
 それに対して菅担当相は、「国債の発行は投資というが、これまでそうなってこなかった。官僚主導の権力構造を変え、財政の中身を根本から変えることが必要」との見解を示した。
 
 菅担当相は「デフレを退治し、若年雇用を大きく改善するという勝間さんの案は極めて魅力的」「日銀に言えばやってくれるのならば明日にでも言いたい」と述べつつも、実際にはその有効性に疑問の様子。勝間さんが「現在の税収のなかで財政を見直してもどうしてもお金が足りない」とさらに迫るのに対して、菅担当相は「カネがないのではなく知恵がないのだと私は言っている。カネを使わないで需要がふえる方法を考えたい」と最後まで距離を置いた。

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