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2009.11.28

11/29 スーパー発低価格競争の弊害

NHKAtoZ「安売り競争の裏で何が」を見る。

大手スーパーが低価格競争をする、そのしわ寄せの暗部を描いている。

大手スーパーが、メーカーが何とか利益がでるギリギリまで追いつめて、設備投資混みでプライベートブランドを作らせる。
次に大手スーパーはさらに低価格競争を進めて、そのツケをメーカーに一方的にまわす。番組では、一方的に販売促進費の請求書を送りつけるシーンが出てきた。すでにメーカーは設備投資をしているので、売らなければ設備と借金がそのまま残って倒産してしまうので、赤字になっても我慢して提供し続ける。テレビに出てきたメーカーの人が「深みにはまっている」と吐露するシーンは印象的。
しわ寄せは賃金、人員配置まで及び、貧乏になった労働者がさらにプライベートブランドを買って貧乏に耐えている。

キャスターが「勝者のない競争」と総括していた。

●前の職場が流通業だったので、大手スーパーと取引する部門がほんとうにひどい状況だったことを思い出す。その営業部は万年赤字。赤字幅が1億円を超えなかったからと喜ぶ営業部。営業マンと飲むと、他の営業部では考えられないようなひどい取引、ひどい働き方をしないとお客様に対応できない。「流通革命」とかそういう言葉が流行していたが、こんな革命はもたない、そんなことを考えたもの。
ところが古い小売店と取引している営業部は、顧客に大切にされ、かつ利益率も高かった。流通の構造改革が遅れていると未だにいうバカな評論家がいるが、ほんとうにそんな簡単な評論でいいのだろうか。

●近所の大きなスーパーの棚が、プライベートブランドだらけになってきている。いくつかの食材では品物が選べない。昔の社会主義国みたいに単一のブランドしかない社会で買い物しているみたいで、味気ない。プライベートブランド商品は、いつ、どんなメーカーで作られたのかという痕跡もなく、気味が悪い。

●デフレ経済を肯定的にしか捉えることのできない新自由主義者(正確には新古典派経済学派)は、低価格競争を企業努力として肯定的にしか評価できない。内需の掘り起こしについて無頓着である。
しかし、低価格競争を社会全体で繰り返すと、国際競争もあいまってやがては貧困国並みの経済水準に平準化されることになるのではないか。それはこの国が蓄積してきた技術力やノウハウを守る術を失う結果になるのではないか。

●大手スーパーを非難するようなことだけ書いたが、しかし、大手スーパーで働く人の長時間労働や余裕のない働き方なども深刻。結果として目先のことで手一杯の状況で、低価格競争を仕掛ける側にまわってしまうのだろう。

●こういう低価格競争で泣くハメに陥るのは、他の人より非効率に働かざるを得ない、ひとり親家庭の親、傷害労働者、高齢労働者など。カツカツの利益のもとで、彼らの座る場所はなくなっていく。

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コメント

そう言えば、「日経ビジネス」が少し前にビッグストアの安売り競争でメーカーが苦境、って取り上げていたんですよね。さすがに「日経ビジネス」だけあって(笑)、メーカーの立場で物言っているというとこに違和感があったんですけど。でも、かつて中内功が毛沢東張りに「流通革命」を叫んだ結果が、生活弱者に皺寄せが行くというのは皮相的なんですよね。

投稿: 杉山真大 | 2009.11.30 19:11

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