11/12 有識者が国の事業仕分けにもの言いが続く
国が進めている事業仕分けに対する評価は様々だが、やっばり人民裁判的に進めている今のありようについては、問題を感じている人が少なくないようだ。
公共事業の暴走に警鐘を鳴らし続けた法政大学五十嵐敬喜教授も、事業仕分けの必要と断言しながら、議論の時間が足りない、対象事業の選定が不透明、本来必要な事前調査もなされていない、など問題点を読売新聞で指摘している。
また、映画「選挙」の主役、山内和彦さんも、田中康夫の言葉を引用して、もっとやりようがあるのではないかと疑義を呈している。
意外なところでは、支出削減至上主義の最先端・池田信夫氏も。もっとも彼は公務員賃金を削る方が最優先だろ、といいたいようだが、今のやり方では人民裁判を通じて財務官僚がのさばるだけだと強く批判している。
●行政刷新会議のHP見て、議事要録や仕分け人の名簿すら出ていない。行政改革に反する態度だと思う。
「1時間では無理」「いじめだ」…仕分けに苦言も
事業仕分けの議論の声がよく聞こえないため、抗議する傍聴者(中央)=菅野靖撮影 税金の無駄遣いを洗い出そうと11日から始まった行政刷新会議の事業仕分け。公開の場で「廃止」「見直し」など次々と結論が出されていく様子を、3人の識者はどう見たか――。
東京都新宿区内の会場では、五十嵐敬喜・法政大教授(65)(公共事業論)が、事業の必要性を訴える官僚側と、無駄がないか目を光らせる「仕分け人」のやりとりを見つめた。
所要時間は1事業につき原則、1時間以内。五十嵐教授は「いずれも専門的な内容で、本来ならじっくり時間をかけて結論を出すべき事柄。1時間で判断するのは無理がある」と指摘。仕分けの手法についても、「そもそも、どうやって今回の仕分け対象事業が選ばれたのかが不明。十分な事前調査をした形跡もなく、予算を削るプロセスとしては説得力に欠けているのではないか」と、疑問を投げかけた。
ただ、公開の場で作業を行った点については、「あきれるような無駄が続いていることを、国民がじかに知ることができた点で意義は大きい」と高く評価し、「仕分けの基準や議論の手続きを見直した上で続けてもらいたい」と話した。
インターネット中継で作業を見たファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん(46)は、「民主党議員が発言を遮ったり、意見に取り合わなかったりする場面が目立った。発言者をいじめているみたいで、見ていてつらかった」。議論の内容にも「目先の財源確保ばかりに終始し、長期的視点が感じられなかった」と、厳しい意見をつけた。
かつて百貨店のカリスマバイヤーとして知られ、老舗靴下メーカーの再建も手がけた藤巻幸夫さん(49)は、「事業仕分けは、企業でいえば『棚卸し』に当たるもので、企業再生において基本中の基本。国の事業を総点検し、無駄を削る方向性は正しい」としたが、「仕分け人の数が多過ぎて、実質的な議論が出来ていないのでは」と指摘した。
(2009年11月12日11時05分 読売新聞)
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コメント
私も仕分けの目標や手法、評価基準をもっと議論するとともに、事前調査をもっとやるべきだと思います。ちなみに、わかりにくいですが、仕分け人の名簿は、ホームページの中の次のところにあります。http://www.cao.go.jp/sasshin/kaigi/honkaigi/d2/shidai.html
投稿: 横田昌三 | 2009.11.13 11:23