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2009.10.04

10/4 NHKスペシャル「子どもに貧困がしのびよる」

NHKスペシャル、セーフティーネットクライシス子どもに貧困がしのびよる、を見る。

NHKならびに町田キャスターの取り上げ方は良かったと思うが、どうも良くないのがローソンの新浪。

新浪は、子どもの貧困をどうするかという問題を話し合っているのに、ひたすら国際競争力と雇用の問題にすりかえ続けている。雇用どうなるんだ、とつきつけられたら、貧困の人たちはぐうのねも出ないことを良く知っている言説なのだろう。雇用はどうなるんだ、新産業を考えてからセーフティーネットを考えろ、こういう態度が日本社会を劣化させてきたのではないか。

中途半端に新自由主義を信奉している人は困る、という見本である。

新自由主義なら、そうした世代を継続して持続していくコストを払えない産業を維持する必要はない。一時的な雇用不安があってもどんどん人件費の安い国に押しつけていけばいい。無理に国内にしがみつけておくことは弊害でしかないはずだろう。
新自由主義を否定する経済思想、ケインズ派であれば、そうした雇用や支出など需要を創出するとする。とくに子ども関連の事業は、人件費比率が高く、直接雇用となって経済効果に反映される。したがって子ども支援の政策を推進することは経済成長に寄与すると考える。
どちらにしても今の現状を、雇用や国際競争力を理由に政治が後回しにしていい理由はない。

まぁ、後段、経済成長と経済構造の転換ができなかった90年代の初頭に、フィンランドが不況期に教育や子育ての政府支出を増加させたことを紹介して、後に成長のバネにしたことで、経済界の俗論をひっくり返したが。

次にダメなのが民主党議員で厚生労働政務官の山ノ井氏。社会保障のエキスパートとしての発言としては、全くなっていない。

子ども手当が政策化されたから救われるはず、という政策宣伝で終始。まだ、自公政権の大村(秀)前厚生労働政務官の方が自らの政策の限界を認めて、何かしなければという姿勢が見えた。
厚生労働省として、アグレッシブに課題提起していく立場じゃないのかと思ったりする。

●公立高校のPTA会費が年4万8000円という調査結果が紹介されていた。月4000円。専従者がいるわけでもないのにずいぶん高いんだと思う。

●フィンランドは、高校授業料無料化などと陳腐な話ではない。高校生にも生活があるんだ、という前提で授業料無料に加えて、生活保障や家賃補助まで行っている。番組は教育、教育の連呼だったが、教育の裏側には生活があり、子どもの生活をどうとらえるのか、ということを考えなくてはならない。

●フィンランドの大臣が、子どもの自立のために子どもを支援していく、そのことが生活保護に頼らないですむ人間を増やすことになるんだ、と言い切っていたことが良い。目的意識の不明確なまま、「たいへんだ、たいへんだ」と江戸っ子の喧嘩みたいな語り口で子育て支援を語る日本の政策談義と違うと思う。

●最後に神野直彦氏が、「声なき声にどう耳をかたむけるか」といういい課題を与えていただいたことが良かった。選挙権もなければ、選挙を手伝わせれば罰則を喰らう、政治的発言権ゼロの子どもたちの問題をどう捉えるのか、政治や社会の質を問われることだと思う。

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コメント

ここに「火の玉教授」が加わっていたら余計に議論がgdgdになってたかも知れませんな。何しろ「火の玉教授」、フィンランドの科学的業績の少なさや成長産業の無さを引き合いにフィンランドの教育を叩くエッセイを『パリティ』誌上で載せていたんですよね。

まぁ、「火の玉教授」と言えば『噂の真相』に連載を持っていたイメージが未だ残っているかもしれませんけど、でも旧著では公共交通を企業内バスで潰せとか三菱のGDIエンジンを激賞していた訳ですから。
http://xurl.jp/yls
「火の玉教授」の「子どもは理系にせよ!」と理科系エリートの選抜優遇を主張する姿と「雇用どうなるんだ」と口にする連中って、何か重なって見えるんですよね。

投稿: 杉山真大 | 2009.10.04 23:01

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