10/21 結局政治家の考える雇用対策なんて
民主党を中心とした新政権が、緊急雇用対策をまとめた。
いずれも前政権の経済財政諮問会議や、自民党政調あたりが苦し紛れに考えそうなことばかり。
①介護分野で、施設で研修勤務しながら介護福祉士などの資格試験を受ける場合、特例として実習を免除
②農林、環境、観光の「グリーン」分野で、建設業などからの転職支援や人材育成
③「地域社会」分野で、若者やフリーターの雇用支援を行うNPOなどを活用
①については、自公政権の最も勘違いしていたことを上塗りしている。介護の人材不足だからと、資格要件を緩めたって、人なんか集まってこないってば。あまりにも要求される水準が高い仕事なのに、低賃金どころか身銭を切らないと働き続けられないような仕事だから辞めていくんでしょう。資格要件を緩めて介護士の価値を低めてどうするんだと思うし、資格取得してもばかばかしくて、スーパーのレジうちとか、普通のアルバイトに転職していくんじゃないか。
そんなこともわからないで偉そうに経済をしたり顔で語ったりするからバカにされているんじゃないか。結局、95兆円の国家予算にびびって、お金かからないで人集めしようとする思いつきはこんなバカな政策しか出てこないのだろう。
全ての介護労働者がせめて年収300万円もらえる日はいつやってくるのか。
②グリーン分野って何でしょうかね。地方の建設業の従業員が今でも兼業農家たちによって担われていることをどう評価していくんでしょうか。農業に人を呼び戻すために、農業に対する戸別所得補償制度をきちんと機能させることが先決のように思う。
③社会起業だとか、NPOだとか、そういうツール的言語に目を奪われて、雇用という、生きるために働いて稼ぐという基本のことが全然理解できていない表層的な言葉が並ぶ。竹中平蔵みたいな感じ。
社会的起業と称して、若者ネタに社会起業して、若者育て直しみたいな公金にたかって人材派遣まがいのことやって、トライアルとかいって最低賃金以下の低賃金でニートを働かせて、社会的意義があるんだとか言って一族で年収3000万ぐらい得ているNPO幹部もいるらしいけども。
そんなのが、談合で公共事業を請け負ってやっとこさ生きている地方の零細建設業者とか、今度民主党が狙い撃ちしようとしている保育所の規制によって守られている年収400万円程度の保育士よりいいのかね、と思わざるを得ない。
社会的起業って、結局どこからお金が出てくるんでしょうか。結局のところ、市場原理を超える儲けなんて、公金に期待するか、市場原理での勝ち組がもたらす通常に供給される物やサービスに飽き足らないような嗜好性の高い消費にたかるしかない。そういう限界があるのに、失業者にそんなことに対応したり、そういうところで働けと求めるのも、どうも酷なような気がしている。
とにかく内容が、念力主義というか、観念的というか、自公政権のまま陳腐で、ため息しか出てこない。緊急雇用対策なら、ちゃんとお金使わないと。介護なら介護報酬を自活できる水準に上げること。グリーンなら、林業、農業従事者の所得問題を解決すること。社会的起業の前に、自治体などが地域で目詰まりしている社会サービスを提供し、そこに臨時・非常勤職員からでいいから雇い入れ、そこに補助金や交付金を払うこと。
公共事業でないかたちで雇用を創るってそういうことではないのか。コンクリートから人へと言うことってそういうことではないのか。
雇用ってなんだろうか、生活にとって働くって何だろうか、雇用がなくなるってどういうことだろうか、もうちょっと考えてもらいたいものだ。一億総豊臣秀吉みたいな社会を求めるのはよろしくない。
雇用下支え・創出で「10万人」…政府対策素案
「介護」「グリーン」「地域社会」の3分野での雇用創出などが柱で、雇用の下支え・創出効果は「2010年3月末までに10万人程度」と見積もった。23日の同本部で正式決定する。
働きながら職業能力を高める「緊急雇用創造プログラム」では〈1〉介護分野で、施設で研修勤務しながら介護福祉士などの資格試験を受ける場合、特例として実習を免除〈2〉農林、環境、観光の「グリーン」分野で、建設業などからの転職支援や人材育成〈3〉「地域社会」分野で、若者やフリーターの雇用支援を行うNPOなどを活用――などとした。
生活困窮者らへの支援強化では「緊急支援アクションプラン」の策定を掲げ、ハローワークで職業あっせんのほか生活保護手続きなど複数の制度申請ができる「ワンストップサービス」を11月から試験実施することも盛り込んだ。推進態勢強化へ、首相も加わる「雇用戦略対話」(仮称)を政府に、「地域雇用戦略会議」(同)を地域ごとに設ける方針も明記した。
(2009年10月22日05時17分 読売新聞)
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