« 10/10 扶養(子育て)控除は廃止しても配偶者(専業主婦・夫)控除は廃止しないという政策の問題点 | トップページ | 10/10 さいたま市議会が市民参加で議会基本条例を討議 »

2009.10.11

10/10 毎日新聞に公職選挙法の問題点を指摘する良記事

公職選挙法が現場にどのように適用されているかに関するマスコミ報道は、ほとんど警察・検察情報の垂れ流しで、公職選挙法の妥当性ではなく、違反した事実に対してモラルがなっていない、と報じるものばかりだった。

宮城県知事選挙に関して、毎日新聞の伊藤記者の執筆した記事がよい。マニフェストの配布場所、配布枚数、配布方法の厳しい制限が、有権者と候補者陣営とのコミュニケーションを断っているというものだ。代議制民主主義は、選挙がきちんとなっているかどうかで機能する。その内実は、有権者がさしたる労苦をせずとも候補者や政党の情報が入手できることである。マスコミの政治報道、政治評論のほか、候補者陣営が発するビラ、インターネット情報などが容易に入手できることが不可欠だ。

ところが、現実には、公職選挙法で、公示日前は売名行為の禁止、事前運動の禁止で、ひねくれた解釈をした宣伝活動しかできず、公示日後は、厳格な統制で情報流通を制限されている。その取締りの要件は恣意的に運用され、見逃しが行われたり、過去の慣例から大幅に踏み込んだ取締りが行われたり、警察・検察のさじ加減でいかようにもなる。

摘発されれば、その刑罰は懲役刑かと思いきや、警察・検察が描いた起訴状に逆らわずに取り調べに応じていけば、略式起訴、起訴猶予、過料などと公民権停止をセットで処理され、実質的に刑罰が相当に軽くされることから、その起訴状に書かれる情状酌量の余地をめぐって、摘発された側も公職選挙法の違憲性に争うようなことはまずありえない。そして日本の裁判所は公法をめぐる裁判において、役所側を敗訴させることはほとんどないため、争う方が損する。争いそうな被告の場合、選挙運動に参加した民間人も一緒に摘発して、とにかく一日でも早く下獄させるために何でも妥協しよう、という取締りもされているようだ。
そんなことで、公職選挙法に掲げられる形式犯といわれる犯罪は、憲法が保障する政治活動の自由に抵触するのではないかという裁判はほとんど行われていない。
そんなことで、候補者陣営はびびしってしまって、結局フリーな選挙運動が認められている選挙カーと電話ばかりに集中することになる。

こんな選挙環境では、有権者が候補者陣営がどのようなことを言っているのかまともな情報が入らない。さらには、他の陣営が批判したことに反論する文章を手に入れるのは、インターネットホームページの更新すら禁止されているからには、全く不可能な事態で、候補者や選挙事務所に出入りしている人たちのうわさ話でしかわからない。こんなことをやっていれば政治は特殊な人たちの道具にしかならないのは当たり前だろう。

●岩波新書「選挙」を入手。1960年のもの。
時代的背景もあって、なぜ保守政党が選挙で負けないのかという問題意識が中心だが、そま正夫先生が執筆者に入っているので、公職選挙法のおかしさを指摘することと、公明選挙運動、現在の「明るい選挙推進運動」の問題点を指摘している。※公明党の政界進出にともない、公明選挙運動は名称を変更した。
「明るい選挙推進運動」が何のために行われているのか、どうして有権者が政治家を選ぶのに、役所による官製運動が必要なのか、ずっと疑問だった。
そま先生の「日本選挙制度史」では、戦前、普通選挙実施によって政治家が力をつけないために、後藤新平が旗振り役で「選挙粛正同盟」(のちにその組織が大政翼賛会に転化する)が作られ、今日の「明るい選挙推進運動」と同様の体制で、候補者の選挙運動を市民に監視させて役所に告発させ、選挙に対するネガティブなイメージづけをしていったことが書かれているが、この本でそま先生はさらに戦前、戦中の選挙粛正運動の流れをひいて1952年に作られたと書いている。そして運動の効果はとぼしく、選挙の腐敗行為をなくすという点で効果を上げていないと断じている。また公明選挙とは何か説明できる人もいない、という中立的に考えても問題があることを指摘しているほか、官製運動が政治教育をしてやろうという愚民観にもとづく考え方がベースにあることが問題だと指摘している。私も、投票率を上げるということに関して、明るい選挙推進運動というお上的なところが、中立的な政治教育や投票率向上運動をやるよりも、有力な候補者が出てきて、きちんと対決して、市民の関心を高めることが投票率向上に何より資すると思っている。そのためには、公職選挙法を緩和して、政治業界に選挙法の脱法行為のための手練手管を知らなくても新規参入ができるようにすることが必要だ。

●日頃、分権だ規制緩和だと言っている政治家たちが、ことほど自分たちの公職選挙法の規制緩和には積極的でないことは矛盾だ。規制緩和でものごとが活性化するという価値基準を持っているなら、まず自らの職場を開放し、公職選挙法の規制を緩和すべきだろう。保育や医療や労働分野の粗雑な規制緩和の議論を、現職優位の公職選挙法で選ばれた人たちが言うのは片腹いたい。自由主義の価値観にもとづく国にふさわしい選挙法に改正すべきだろう。

●政権交代にからんでか、選挙法のあり方についてさまざまな人が検討を始めている。旧民主党のブレーン団体であった市民政調は公職選挙法の改正を提言している。その他いろいろな動きがあるようで、期待したい。

選挙:宮城県知事選 マニフェスト周知困難 公選法が足かせ--きょう告示
 鳩山政権で初の知事選となる宮城県知事選(8日告示、25日投開票)の立候補者が、告示後の「マニフェスト(政権公約)」の浸透に苦慮しそうだ。公職選挙法でビラの枚数が制限されたり、候補者名が入れられなかったり、周知方法が厳しく制限されるからだ。国政レベルではマニフェスト選挙が定着しつつあり、各陣営からは地方選での規制緩和を求める声が出ている。

 告示後に、マニフェストを周知する方法の一つが「法定ビラ」。07年の法改正で首長選での配布が解禁されたが、枚数制限があり、今回の知事選では1候補につき17万5000枚。有権者約191万人の1割にも満たない。総務省は「財力の違いによらず、平等に広報の手段を提供するため」と説明する。

 二つ目の方法は、県選管に届け出た「確認団体」が「政治活動」の名目で作成するビラ。枚数、内容とも制限はないが、特定の候補者を類推させることは「選挙活動」に当たるため、候補者名は入れられない。三つ目は「インターネット」。情報量が多く全文掲載できるが、公選法は利用を制限。告示日以降は内容を更新できず、各陣営は「告示日までに掲載しアドレスを周知する」戦略だ。

 結局、県民にくまなく周知できる方法は、県選管作成の「選挙公報」のみ。政策論争を通じて知名度を上げたい新人陣営からは「公選法は、情報を制限した中で選択を迫る前近代的なもの」との声すら上がる。【伊藤絵理子】

|

« 10/10 扶養(子育て)控除は廃止しても配偶者(専業主婦・夫)控除は廃止しないという政策の問題点 | トップページ | 10/10 さいたま市議会が市民参加で議会基本条例を討議 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 10/10 扶養(子育て)控除は廃止しても配偶者(専業主婦・夫)控除は廃止しないという政策の問題点 | トップページ | 10/10 さいたま市議会が市民参加で議会基本条例を討議 »