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2009.08.17

8/17 秘書の違法行為で議員が失職してもいいのか

俗耳に受け入れやすい理屈に、安易についていくところが民主党鳩山代表の弱点だと思う。

鳩山代表、秘書の違法行為による公民権停止に前向き

政治家を刑事罰に連動させてその政治生命を左右するということは、慎重であるべきだ。
行政府に属する警察機関や検察が、政治家を逮捕したり政治生命を奪わせることが可能になれば、政治家はたえず秘書の行いによるリスクにおびえ、警察や検察に頭が上がらなくなる。
憲法で、国会議員に不逮捕特権があるのは何のためかよく考えるぺきではないか。

秘書の違法行為といっても、違法行為はさまざまであり、中には形式的に違法であっても違法とする法に合理性を欠ける場合や違憲問題を孕むものもある。そういう明文法に完全性のない中で、いくらなんでもそれは秘書の個人責任でしょ、と思えるようなことまで政治家に責任を取らせるのは過大な責任といえる。政治家は絶えず秘書を監視カメラなどで監視しなくてはならなくなるだろう。そんなことは財力とヒマな政治家しかできない。

そもそも、秘書のリクルートがどのように行われているかも検証すべきだろう。
秘書の任免権は政治家にあり、労働基準法や、雇用安定の判例なども適用されない。それでも待遇が改善された公設秘書はともかく、私設秘書にいたっては月150万円前後の議員の歳費や政治献金から、議員の生活費や選挙の積立を差し引いた残額から、何人分も支払われる。そのため、年収200万円もいかないことが多い。その上に、朝遊説から始まり、議員の夜のあいさつまわりまで行動をともにするため、選挙区の私設秘書は朝から晩まで土日もほとんどなく働いており、ひどい労働環境にある。
そういう仕事にほいほいありつく人といえば、他のもっと待遇のよい仕事にありつく必要のない事情を持ったひとに限られる。
思想性から理想や仕える政治家の人格に燃えているか、しがらみがあるか、実家が金持ちで生活の心配がないか、そうでもなければ、あえてこんなに待遇の悪い秘書をなぜやらなくてはならないのか、という疑問もある。どんな人が入り込んでくるかわからないわけで、雇う側にもリスクの高い職業である。

したがって、違法行為に対する秘書の警戒心やモラルというものを維持するのは、他の仕事より難しいといえる。現に秘書にまつわるトラブルはそこらじゅうに転がっており、その違法行為でいちいち政治家の政治生命が絶たれるとすれば、非常におそろしいことになる。

そういうことは、親掛かりのぼんぼん政治家にはわからないのだろうか。

問われるべきは、事務所がらみの犯罪で、秘書が罪をかぶって足切りされるような場合だろう。そこに限定すべき。秘書について政治家が全責任を負うというのは、秘書の全人格を政治家がコントロールすべきという発想になり、それは近代的な社会のあり方としてふさわしくない。

鳩山代表、秘書の違法行為による公民権停止に前向き
 自民、民主、公明、共産、社民、国民新の6党党首による公開討論会が17日午後、東京・内幸町の日本プレスセンターで開かれ、民主党の鳩山代表は、秘書らが違法行為を問われた場合の国会議員の公民権停止について、「党として前向きに対処すべきだ」と述べた。公明党の太田代表の質問に答えた。

 公民権停止は、自民、公明両党が、政治資金収支報告書の虚偽記載問題を抱える鳩山代表に揺さぶりをかける狙いから、「連立与党重点政策」に盛り込んでいる。

 また、鳩山代表は、非核三原則について「堅持する。国是にとどめた方が影響力を持つと思っていたが、法制化も検討したい」と語り、非核三原則の法制化に取り組む考えを改めて示した。

 一方、麻生首相は、4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率がプラスに転じたことに関し、「これまでの経済対策の成果だ」と強調した。

(2009年8月17日14時40分 読売新聞)

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