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2009.07.12

7/11 政務調査費の全面公開が停滞する埼玉県議会の政争

7月10日の埼玉県議会で、何度も継続審査を繰り返し先送りしてきた議員の政務調査費全面公開を求める県民の請願が不採択となった。その不採択議案をめぐって民主党が分裂状況になっている。また民主党の分裂状況に乗じて自民党が一部の民主党議員に懲罰動議をちらつかせるなど、主権者は誰なんだと言いたくなるような混乱が起きている。

請願を不採択とすることに賛成(全面公開に反対または保留)か不採択とすることに反対(全面公開に賛成)か、という議会特有のわかりにくい採決で、民主党会派が賛成と反対に分かれたことによる。

この否決議案に賛成(全面公開に反対または保留)した側は、自民党、公明党、刷新の会(保守系無所属)、民主党の一部。表向きは、全面公開に向けて議会運営委員会の検討中だから結論はまだ出せないということ。

この否決議案に反対(全面公開をする方向性は確認せよという側)は、制度として全面公開をすることと、考え方として全面公開する方向性を確認することは別物だから、全面公開するということを確認することは問題ない、という立場。民主党の党議拘束に反する行動をとるとして、2議員が民主党会派の脱会の上反対、1議員が退席の上民主党会派の脱会、7議員が退席した。
なお残りの民主党会派の議員12人(4区では、神杉一彦、醍醐清、吉田よしのりの民主党全員)は、不採択に賛成したが、一方で、継続審査とすべきと主張はしている。自民、公明、刷新の会より良心的な対応だが、中途半端である。また、刷新の会は結成の経緯からこうしたお金の問題にもっと敏感な保守であるべきだったのではないかと思う。

私は、こうした議員についての公費について使途制限は設けるべきではないと思うが、しかし政策決定過程の透明化などの観点や費用の乱用防止の観点から使途の全面公開が必要だと思っている。否決議案に反対したり退席した民主党の議員にエールを送りたいと思っている。議員の名前を見ると民主党のなかでも良心的な議員が多い。

埼玉県議会の自民党・公明党・刷新の会は、不採択議案の採決に退席した8議員に懲罰動議の提出を準備しているという。考え方を違う人に対して懲罰動議をちらつかせて恫喝するなどというやり方は、議会の自殺行為であり、恥ずかしいと思わないのだろうか。過剰な同調を求める田舎社会そのものである。都市化された埼玉県民の感覚とのズレを感じるところだ。こんなことで政争をやることに血道を上げるから都市部での自民党の支持が落ち込むのだろう。総選挙を前に県民常識に反する行動をする自民党には大きな制裁を加えるといいと思う。
議会の懲罰権は、行政に対する独立性を担保する意味で、刑事罰や破廉恥行為に対する自治としてあるのではないか。違う意見や政治行動を取る議員への制裁として行われるべきではない。

07年の統一選まで、長く自民党が3分の2超を占めて、多数派の横暴にチェックがこれまで問題化されてこなかった埼玉県議会特有の体質ではないか。

また、退席がいけないと懲罰にする前に、議案の運営や議員の良心に関わるこうした議案に党議拘束がそぐうのか、もっと議論が必要だと思う。

●政務調査費の全面公開請願の不採択に賛成しない県議会民主党の議員(衆議院選挙区番号順)
○民主党会派を脱会し、全面公開の請願不採択に反対した議員
菅克巳(川口市選挙区)
小島進(深谷市選挙区)
○全面公開の不採択議案に退席した議員
浅野目義英(さいたま市浦和区選挙区)
山川百合子(草加市選挙区)
北村浩(狭山市選挙区)
新井格(入間市選挙区)
田並尚明(熊谷市選挙区)
渋田智秀(春日部市選挙区)
木村勇夫(さいたま市南区選挙区)
中島浩一(戸田市選挙区)
●その他の会派で、政務調査費の全面公開を求める請願不採択に反対した議員
佐藤征治朗(さいたま市岩槻区選挙区・社民党)
山川すみえ(旧上福岡市選挙区・共産党)
柳下礼子(所沢市選挙区・共産党)

●この問題での朝日新聞の記事がわかりやすくて、どの議員が何をしているのかわかってよい。ずっと批判してきたが、最近の朝日新聞の埼玉版の政治・経済記事の量や質が上がっていると思う。

●有権者は、次の衆議院議員選挙で、以上の良心的な県議会議員がいる地域の野党系候補を評価して投票をした方がいいだろう。特に民主党は、代議士候補が地域社会の民主党の全権限を持っていることから、代議士候補の質が今回の投票行動に影響していると言える。

民主会派分裂の様相 県議会 政調費請願対応めぐり2009年7月11日東京新聞

 県議会の六月定例会は十日、知事提出議案二十二件を可決・承認、「政務調査費の領収書について全面添付を求める請願」については不採択とした。

 同請願の採決にあたって、会派として不採択に賛成を決めていた民主党・無所属の会の小島進、菅克己両県議が会派離脱届を提出した上で反対、ほか八人が退席するなど、対応が分裂した。

 自民党県議団の小谷野五雄氏は八人に対して、退席を理由に懲罰動議を提出。議会運営委員会は八人を戒告にすることを決めた。

 また、小島、菅両県議と退席者一人が同会派を離脱、同会派は十九人になった。ほかの退席者にも同調する動きがあり同会派は分裂の様相になっている。 (萩原誠)


政調費の請願巡り県議会 不採択で大荒れ2009年07月11日朝日新聞

◇離脱・退席懲罰
 6月定例県議会は最終日の10日、県政調査費の収支報告書の領収書添付に例外を設けず、全面添付を求める請願を本会議で不採択とした。この請願への対応などで、民主党・無所属の会(22人)の3議員が会派を離脱。採決時に退席した8議員が会議規則に反したとして戒告の懲罰を受けたが、県議会は懲罰をめぐり、深夜まで紛糾した。

 本会議での請願の採決前に同会を離脱したのは小島進、菅克己の2議員。懲罰を受けたのは、田並尚明、北村浩、新井格、渋田智秀、木村勇夫、中島浩一、浅野目義英、山川百合子の8議員。北村議員は採決後に離脱した。

 県政調査費の収支報告書への領収書の添付について同会は、6日の議会運営委員会(議運)では、領収書を添付しない場合を認める例外規定について、「しばらく様子をみる必要がある」と主張。全面添付を求める請願の継続審査を求めたが、他の自民、公明、刷新の会が反対。請願は不採択となった。

 本会議での採決にあたり、県政調査費の全面公開を掲げる民主党・無所属の会は、あくまでも請願の採択を求める議員と、議運の結果を受け入れようとする議員とに分裂。会派としては請願を不採択とすることにしたが、小島、菅両議員は会派を離脱し不採択に反対。「会派は離れないが、請願を不採択にはできない」などとする8議員が退席した。

 同会ではこれまでにも県政調査費についての請願の採決で退席する議員がいたこともあり、自民から8議員への懲罰動議が出された。動議を審議する議運では、「集団的かつ常習的な退席で遺憾」と主張する自民に対し、民主党・無所属の会は、退席での懲罰に「理解できない。悪例を残す」と反論。しかし公明や刷新の会も自民に同調した。本会議でも懲罰への賛成が多数を占めた。

 8議員の中からは「退席という判断も民主主義のルールだ」と懲罰への不満が漏れる。懲罰動議に反対質問を出した共産党の柳下礼子団長は「棄権も判断の一つの手段。議案ごとに判断できず、懲罰対象になるのでは正常な議会活動はできない」と不快感をあらわにした。

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