7/28 地方分権のために国会議員になる?
横浜市長の中田氏が突然の辞職。武村正義のように、次に何かに転身するということでもなく、何だかわけのわからない突然の辞職はどう考えたって無責任。周囲にいろいろ相談して迷った東国原よりも無責任だ。
衆議院議員時代も、民主党に入った旧日本新党、旧新進党系若手議員と交友関係を持ち、民主党にほとんど支持を受けながら、自民党と民主党をまたがけするような立ち位置にいてコウモリみたいな政治家だった。
今回も、地方分権なんか持ち出して市長を辞め、国政に関わるというから、わけがわからない。橋下氏も東国原氏も、松山の市長も、地方分権なら自治体の首長を続けて発言し続けたらよかろうに、と思う。
改革派のいくつかの旗頭、新自由主義への経済政策の改革、政治改革、構造改革、金融制度改革、教育改革、いずれも小泉首相より後の3人の首相によって後退させられたり、改革の弊害や利権が暴露されて手あかがついてしまった中、改革派のふりをするには地方分権という言葉が使いやすいのだろう。
他の改革なら国政をめざす理由がわかるが、地方分権のために地方自治体の長を擲って国政をめざすことは、頭でわかっても、矛盾を感じざるを得ない。
90年代前半、横路孝弘氏、細川護熙氏、武村正義氏、岩國哲人氏といった首長たちが、政界再編成のオピニオンリーダーとなったことに習い、自民党がぐずぐずになったときの主導権を握ろうとしたことの焼き直しをしようとしているのだろう。
しかしあの時代は、社会党しか大きな野党は無くて、その他はさきがけや日本新党などに政経塾出のひよっこ議員しかおらず(さきがけ、日本新党、旧民主党にはトンデモ候補が多かった)、新しい政治勢力のリーダーで、かつ選挙に勝てる人となると自治体の首長が適任だったのだろう。時代背景が違うと思う。
また、彼らが地方分権といっても、実際には矛盾したことをやってきた。道路特定財源の廃止では橋下も東国原氏も中央集権体制の維持を前提にした道路特定財源の堅持を支持し、国費での道路整備を継続するよう東国原氏は声高に叫んでいたのではなかったか。さらには自治体負担分まで国に面倒見させて、道路とあれば国に何でもかんでも負担させようとしたのが橋下氏である。
テレビに出ていれば分権推進論者ではない。
それにしても自民党の菅選対次長、民主党の岡田幹事長のコメントが情けない。とりわけ岡田幹事長の、「向かう方向は一緒だから歓迎したい」というコメントがいただけない。中田氏には多くの人が無責任と感じることだろう。それが向かう方向が一緒なら、民主党はえらいことだ。
●中田氏を評価したいのは、一時前田正子氏を副市長にし、保育園問題を劇的に改善したことだ。それでもまだまだ結果が追いつかないが、中田市長以前のときよりはずっと良くなっている。
民営保育園礼賛であった前田氏も、副市長になって待機児童問題の解決を進める中で、市役所主導でサービス提供量確保のためには公立保育所は必要で、役割があることを認めるようになったことも大きい。
ここだけは中田氏の功績を評価したい。
●地方分権という旗頭さえ掲げれば何でもよい、という検証の無さはいかがなものかと思う。
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