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2009.07.23

7/22 診療報酬の政治決着

民主党が診療報酬を国会で決定という公約を掲げる。何かしら一抹の不安を感じざるを得ない。

民主党の問題意識はほぼ正確だと思う。しかし、国会が関与して診療報酬の配分が適正化されるのだろうか。問題意識となっている、「累次の診療報酬マイナス改定が地域医療崩壊に拍車を掛けた」というのは、まさに自民党小泉政権であったが、政治の圧力だったのではないか。

「医師会は開業医中心だ。利害関係者が自分たちの取り分を決める政府の制度は他にない」という問題意識は正しいが、開業医以外の医療関係者が政治に圧力をかけられることがしにくい実態のなかで、政治の関与を強めて、ほんとうに開業医の利害中心でない診療報酬の決定ができるのだろうか。開業医中心の診療報酬配分という問題も、これは中医協の問題よりも、開業医中心の団体を委員にするようにした自民党による政治側の要請だったのではないか。
日本医師会が民主党を支持するようになってきたら、どう考えるのか。日本医師会はかわいそうな医師、少なすぎる医師ということを盛んに宣伝している。そうした情緒的宣伝に、二大政党制の政治が正確に議論を返していくことができるのか。民主党政権になっても、資金力、活動する時間的余力から、圧倒的に開業医が医師会に関与し、その医師会が政治に関与してくることになる。それで政治が公正な決定ができるのだろうか。
具体的には、個々の選挙区で議員の事務所に電話をかけたり訪ねてきたりして、お願いできるのは開業医しかできない。勤務医はそんな時間的余裕もない。このほかの政策でも政治ルートに乗ると不毛な議論になるのは、自営業者のように昼間時間を作れる人の声しか政治に届かないからではないか。

さらには、日本医師会を抵抗勢力として位置づけて過大に評価し、政争に持ち込むことは正しいのだろうか。連合や労働組合の失態をあげつらって、必要以上に抵抗勢力として演出された小泉政権時代のことを思い出す。

国会の関与という一足飛びの政策を掲げるよりも、中医協の委員選定や、情報公開など、社会の実態にあった中医協の改革をやることが重要ではないか。支払側、公益委員、診療側が協議しながら報酬を決定していく仕組みそのものがまずいということにはならいなのではないか。
実際に、患者団体(単に支払側ではない利用者)や、開業医、自治体病院の団体などが委員に加わり、日本医師会のゴネ得みたいな運営に軌道修正がかかり始めている。そのことをもっと評価すべきではないか。

●同様のことがNHKにも言える。予算決算が国会承認ということをもって、最近では、報道の自由に自民党が介入できる仕組みになっている。平時に北朝鮮の恐怖を過大に煽るニュースが10分も続いたり、ニュース番組で冒頭から自民党総裁選の演説会を45分にも中継したり、背後に政治的圧力があると見ている。

民主党:診療報酬を国会で決定…衆院選公約原案で方針提示2009年7月23日 2時30分毎日

 民主党の衆院選マニフェスト原案となる「09年政策集」に、現在厚生労働相の諮問を受けて診療報酬の改定を答申している中央社会保険医療協議会(中医協)の構成・運営の改革が明記されていることが22日明らかになった。これに関連して岡田克也幹事長は同日、「最終的には国会で議論して決める」と表明。政権交代が実現した場合には、国会が診療報酬改定に関与する制度に改める考えを示した。同党が掲げる「政治主導の政策決定」の柱の一つとなりそうだ。

 中医協改革は「地域医療を守る医療機関を維持」するのが目的。政策集では「累次の診療報酬マイナス改定が地域医療崩壊に拍車を掛けた」と指摘し、「総医療費の対国内総生産(GDP)比を経済協力開発機構(OECD)加盟国平均まで引き上げる」との目標を掲げた。その上で「地域医療を守る医療機関の入院」について「診療報酬を増額。その際患者の自己負担が増えないようにする」としている。

 岡田氏は22日、東京都内での講演で、中医協のあり方に関して「ほとんどは税金と保険料という公的なお金なのに、国会が関与できていないのは不思議だ」と指摘した。

 中医協の委員は労使ら「支払い側」、医師ら「診療側」の両利益代表と学識経験者ら中立の「公益委員」で構成される。岡田氏は「診療側」代表の日本医師会について「医師会は開業医中心だ。利害関係者が自分たちの取り分を決める政府の制度は他にない」と指摘した。

 党幹部は中医協改革の意義について「医師会などから抵抗が予想されるが、政権交代するからできる」と強調した。中医協のあり方を巡っては05年衆院選マニフェストでも「すべての関連会合を原則公開」との文言が盛り込まれていたが、07年参院選マニフェストでは消えていた。【野口武則、小山由宇】

 ◇ことば・診療報酬
 医療費の算定基準。2年に1回改定される。厚生労働相の諮問機関の社会保障審議会医療保険部会などで重点方針を決めたうえで、年末に内閣が改定幅を決定。これに基づき、中央社会保険医療協議会が具体的な点数を決定する。

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