7/2 親米共産党の消費税反対が新自由主義を蔓延させた
「米帝国主義」から転向?共産・志位委員長、今や親米派という記事。今さらという感じがしている。
日本共産党は、世界の社会主義より左の政党の中で珍しく、一切の個人の社会負担増を否定している。世界の多くの社会主義より左の政党は、負担増が問題ではなく、負担のうちから自分たちのリスクを支えてくれる支出に戻ってくるかを問題にしている。
負担増を否定すれば、福祉を切ってカネで買う福祉になるし、教育水準を落として向上心のある人は私学に行く、ということになる。世界最低水準の社会負担の日本で、これ以上きりつめればそうならざるを得ない。共産党はそこのところを誤魔化している。
共産党の支持者が多い学童保育の職員や、保育所の職員の待遇が上がらないのは、それに見合う税収がないからだ。共産党も一枚噛んでいる。彼らの処遇を上げるためには、税収を上げるしかない。無駄を削ってなどと言うが、学童保育や保育所を無駄という市民だっているのだ。その価値判断は簡単ではない。
共産党は期した結果ではないかも知れないが、共産党の一切の負担増反対の主張が、後に新自由主義を信奉する若者を増やしたと思う。1990年代前半の消費税反対が政局(社会党も共犯)になり、それが細川新党だのさきがけだのの小さな政府論に結びつき、新進党を経て、そのダメダメさから、小泉構造改革の熱狂に流れ着いた、しんどくて取り戻せない時代の誤りにたどりつく。
ときに関西で、パートにボーナスを払うのが珍しくなくなっているこのご時世に、自治体の臨時・非常勤職員にボーナスを払っているのは違法だから返還せよ、などと愚にもつかない住民訴訟を起こしている住民側弁護士が、共産党系と言われる自由法曹団の弁護士だったりする。小さな政府の擁護者でありがちなのだ。
そういう政党の、ブルジョワ趣味溢れる党首が、親米派であって何の不思議もない。
「米帝国主義」から転向?共産・志位委員長、今や親米派
今や政界随一の親米派――。そんな評さえある共産党の志位委員長は2日、都内のホテルで開かれた米独立記念日を祝う米大使館主催のレセプションに出席した。
共産党委員長が招かれるのは初めてで、志位氏はズムワルト臨時代理大使に「独立記念日は人類にとって重要な日。世界で初めて民主共和国を作り、人権宣言を発した」と語った。
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核廃絶を唱えたオバマ米大統領と志位氏の間で書簡が交わされたことから、志位氏と米国の距離は縮まった。
共産党は「米帝国主義は世界の平和にとって最大の脅威」と主張してきただけに、「手紙1通で“転向”するとは共産党らしくない」(自民党幹部)との声もある。
だが、志位氏は記者団に「良いものは良い、悪いものは悪いという対応をしたい」と強調、共産党委員長初の訪米にも意欲を示していた。
(2009年7月2日21時58分 読売新聞)
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コメント
ちょっとずれるかもしれないのですが、共産主義的なところから転向すると新自由主義的なところに一気に行ってしまうことが多いのではないか、あと民主集中制も新自由主義と馴染みやすいのではないかという話を友人としていました。
結局は負担と給付のバランスをどうするかという話なのに、そういう議論ができないから、
問題先送りばっかりになってしまう。
保守リベラルと欧州型社民主義の間くらいでまともな議論ができる民主主義を作りたいです。
投稿: rock_side | 2009.07.03 22:24