7/19 NHK「知る楽」原武史「鉄道から見える日本」が面白い
NHK教育で毎週月曜日22:25~「知る楽」で、6~7月放送されていた「鉄道から見える日本」は面白かった。政治思想史の研究者で鉄道マニアの原武史が、鉄道の歴史と社会や政治の関わりを伝えていく。
先週は、新宿騒乱。日本が引きずっていた戦後と、先進国入りした時代との過渡期ととらえ、その中で学生運動が新宿駅をしばしば襲い米軍のための燃料列車を止めたり、あるいは、今日のような通勤輸送が本格化しながら新宿駅に客車列車が止まっている情景を伝えてきた。
次回あすは、上尾事件。学生運動が沈静化し彼らがサラリーマンとなった時代、動労の遵法闘争に乗客が苛立ちを爆発させ暴動化し、1万人が半日にわたり上尾駅を取り囲んだ事件。左派運動の転落を見るようだ。
毎日東京メトロの会社発の遵法闘争に疲れている私には溜飲を下せる内容になるか、興味深い。
過去には、西武池袋線沿線の団地開発や、東急田園都市の開発なども取り上げている。
これらは今までは、阪急の電鉄経営を首都圏でまねして成功した事例として片づけられ、東急神話などがかたちづくられてきた。
しかし原武史は、そんなにうまくいっていないんじゃないか、ということを指摘している。
西武については、学園都市開発をしながら肝心の大学がついてこなくて、戦後の住宅難がやってくるまで売るに売れず、中途半端に終わり、沿線開発は大規模公団の開発が始まるまで進まなかった現実を紹介している。
東急田園都市が住宅開発としては成功しながら、田園都市線は通勤地獄が未だに深刻化し続け、そもそも長距離通勤を前提としない田園都市の思想からするとまったく的はずれな開発になっていることや、大資本による商業施設の開発が続けられていることでコミュニティーに根ざした商業が確立しない問題などを指摘して、高級住宅地の割に面白みのない田園都市線の沿線の課題を的確に指摘した。
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