7/10 マンションビラ投函禁止が、選挙公報すら配れない事態に
マンションへのビラ投函禁止などの掲示があるマンションにビラを投函すると住居不法侵入罪が成立するなどとふざけた最高裁判決のために、選挙公報が配られないという問題が立ち上がっている。都内では新聞購読者が減っているため、選挙公報を各戸配布しているが、それが住居不法侵入罪に抵触する可能性があるのでできないというのだ。
だからビラ配布を排除するような立て札を、居住者全員の合意もなく掲示したり、その掲示をもってビラ配布している人を逮捕したり、有罪判決を下したりするなどということはナンセンスなのである。
ごみ棄てが面倒だからといって、必要でない情報を誰かがフィルタリングして排除し、必要な情報だけ都合良く手に入れようなどという考え方は、虫が良すぎて、実務にたえられないことなのである。管理人が画一的に必要のないビラと必要なビラをどうやって判断するのだろうか。何のためにポストがあるのだろうか。ビラが必要ないならポストなんかなくしてしまえばいい。郵便物は管理人が配達すればいい。
自由な社会が大切だと思うなら、配られるビラを受け入れて、個人で必要か必要でないか取捨選択すべきである。自立した人間であるためには、その程度のことぐらい受忍限度として受け入れるべきだろう。
●最近、都議選の運動で電話かけをすることがある。忙しいいろいろな人に電話に出てもらって申し訳ないと思いながらも、いい歳したおとなが、そういう対応するかね、と思うようなこともある。名乗った途端、「選挙に関する電話はお断り」と言ってガチャ切りする中年が増えた。
そんなことをあれこれ考えて、どうして日本人は選挙運動と距離を置きたがるのか、選挙で投票するのに情報が必要ないのだろうか、そんなことを感じている。
選挙を忌避している。それはそれでいい。投票に行かないまで徹底すれば。
しかし、そういう人に限ってきまじめで、投票に行ったりする。今回の都議選や、次の衆議院選挙はそれなりに大きな政治変動になるはずで、有権者として一定の情報が必要なのではないだろうか。投票所やポスター掲示場に並んだ候補者名からインスピレーションや、天啓で投票する候補者を選ぶのだろうか。有権者として情報収集は怠るべきではないと私は思っている。どうしてこんな政治家が選ばれるのか、と思うようなことが続いているのは、有権者が自分の選挙区の政治家に関して十分な情報収集をしていないからだろう。
いっそのこと、他の国や終戦直後のように、有権者となるためには選挙人登録をしなければならない制度を取ったらどうだろうか。情報もいらないような人は、有権者にならない。有権者でないのだから主権者ではない。それならすっきりする。
●それに関連して、民主党が国家公務員宿舎が無駄で、民間アパートを借り上げたり、家賃補助すべきだと政策に掲げるという。それはそれですばらしい。
であるなら、朝霞地区の民主党の議員たちは、これまでの国家公務員宿舎建設と抱き合わせの基地跡地開発計画をどこの党派よりも熱心に推進してきた。このことの真剣な反省表明をし、少なくとも政策転換をし、基地跡地の国家公務員宿舎建設反対を掲げない限り、有権者を欺いていると言わざるを得ないし、増税なしの子ども手当政策などまやかしだという自民党の批判を交わせないだろう。
今の選挙制度のもと、有権者が十分な情報を得られないことをいいことに、怠慢は許されない。
「チラシお断り」に悩む選挙公報…都議選読売新聞 東京都議選2009
●配布されるのを待つ選挙公報(東京・世田谷区の世田谷区役所で)=工藤菜穂撮影 12日に投開票が迫った東京都議選で、都選挙管理委員会発行の「選挙公報」の配布がオートロックのマンションなどで拒否されるケースが目立ち、各地区の選管が管理組合などの説得に追われている。
都内では「チラシお断り」を掲げる高層マンションなどが多く、選挙公報も同様に扱われてしまうため。衆院選の前哨戦とも言われる都議選で、有権者にとって必要な判断材料が行き渡らない恐れもある。
都議選の選挙公報は、条例などに基づき、投票日前日までに有権者世帯に必ず配布することが定められており、新聞の折り込み以外では、業者などに委託して配布する場合が多い。
区のシルバー人材センターが配布している品川区選管では今月7日、オートロックのマンション2棟で管理人から「区職員を装ってチラシを配布されたことがある」と言われ、拒否されてしまった。翌8日に選管職員が直接出向いて説明した結果、配布できたが、2007年の参院選でも、この2棟は同様に1度は配布を拒否しており、同選管の職員は「管理人が代わったのかもしれないが、選挙公報の意義が理解されていない」と嘆く。
北区や足立区でも告示後同様のケースがあり、高級マンションが多い渋谷区の選管は「ポストに入る配布物を、わずらわしいと感じる住民の意識が背景にあるようだ」と分析する。
狛江市では委託先のシルバー人材センターが配布の前に下見をして説得にあたっているが、管理人にすら会えずに、やむなく郵送した選挙公報が100部ほどあった。
選挙公報を区役所などに置いて、有権者に持って行ってもらう方法もあるものの、他の配布物と交じって目立たないのが難点。都選管は「配布をお願いしている区市町村の選管に対し、すべてのマンションを説得してほしいとまでは言えないし……」と困惑気味だ。
(2009年7月10日07時36分 読売新聞)
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