6/29 朝日新聞の待機児童問題の正確な認識
朝日新聞待機児童、首都圏で急増 94市区調査、共働き影響が待機児童問題に正確な事実認識をした良記事だと思う。
これまで待機児童問題は、「保育園を作れば作るほど需要を誘発する」などと、自治体が垂れ流す、入所申込みする保護者の主体性の問題にすりかえられることが多かった。そしてこれはマイノリティー問題みたいになって、地域社会の保護者どうしを分断してきた。
しかし本当の話は、もともと首都圏で専業主婦が多く保育園の整備が必要ではなかった。しかし、首都圏の専業主婦率の高さは夫の高所得によって維持されてきた特殊な現象で、ところが不景気でそれが成り立たなくなりはじめている、ということが大きい。
さらには、横浜市の背景事情に、マンション建設が行われると確実に保育所需要を呼び込むことも書かれている。景気対策で住宅取得の促進税制が実施されているが、住宅を買うと借金漬けになり、共働きを想定していない家庭まで、共働きを誘発する。賃金が上がらない今の20~30代に家を売りつけようと思えば、保育園整備は不可欠である現実をつきつけている。
自治体も国もそうしたちょっと家庭を観察すればわかりそうな、こういう構造的な問題がわからず、保育園整備もしなければ、マンション規制もせず、きれいなマンションだけ建ち並んで、個々人の生活が非常に重苦しくなっていることを、活性化などと勘違いしている。
●住宅価格が高め(所得に対して)で固定されている自分のところの自治体財政だけ考えれば、マンション建設など認めない方がいい。生活の苦しい子育て、子連れ世代がよその自治体に住んでもらうように誘導するべきだろう。朝霞市は地主たちの欲求に対応するために、土地の用途区分を緩めに設定し、次々にマンション建設を許可してしまった。人口は増えたがよかったのか、自分自身もマンション住民として、考えこむことも多い。
待機児童、首都圏で急増 94市区調査、共働き影響2009年6月29日5時30分朝日新聞
認可保育園に申し込んでも入れない待機児童が4月1日時点で、県庁所在市や東京23区など94市区で計1万4478人いることが、朝日新聞社の集計でわかった。首都圏で急増しており、前年比で3割程度増えている。景気悪化で働き始める専業主婦が増えているのが影響しているようだ。
6月に県庁所在市、政令指定市、中核市と東京23区の計94市区を対象に待機児童数を調べた。最も多かったのが横浜市で1290人(前年比82%増)、次いで川崎市713人(22%増)、仙台市620人(16%減)。名古屋市約600人(40%増)、福岡市473人(56%増)などで、東京23区は4613人(53%増)だった。
厚生労働省と東京都が公表した昨年4月1日現在の政令指定市、中核市、東京23区の計79市区の待機児童数は1万303人で、今年は1万3707人と33%増えている。
厚労省は待機児童解消のため、園児1人当たりの面積などの基準が満たされていれば定員を超えて受け入れることを認めている。今回の調査対象の自治体の多くが定員超過しており、超過率(5月時点)1割以上が10自治体。大阪府高槻市は14%、兵庫県西宮市と北海道旭川市が12%など。
個別の園ごとにみると、「詰め込み」状態もあった。福島市や宇都宮市では25%超の園があった。高槻市や大分市の園は、1歳児クラスで定員の倍を受け入れたところも。待機児童は年度末にかけて増える傾向にあり、08年度末時点で、超過率が福島市で52%、北九州市で53%という園があった。
少子化で乳幼児人口は減少傾向だが、共働き世帯の増加で保育園の利用者数は5年間で約10万人増えている。待機児童が多い自治体は、将来の保育需要を予測して保育園の整備計画を作る。しかし、用地や、運営する事業者を探すのに時間がかかり、新設はなかなか進まないのが実情だ。
昨年度新設された認可園は39自治体で113園。横浜市は18カ所新設するなどして定員枠を1300人分増やしたが、予測を上回る申し込みがあり、過去最高の待機児童数に。市子育て支援課は「景気悪化で働きに出る人が増えているほか、マンション建設で子育て世帯が流入してきたなど複合的な理由が考えられる」という。(森川敬子、前田育穂、佐々波幸子)
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