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2009.05.05

5/5 自治体の非常勤職員の任期を考える

総務省の「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告」というのが出ていて、それにもとづく自治体通知が4月下旬に出されている。

この中で、自治体の非常勤職員の任期は、予算によるものだから1年以内であるべき、としている。
※公務員は、法解釈によって雇用契約が認められないため、当事者合意の任期ではだめということになるため、ルールが必要になり、そのルールの根拠となる考え方が必要、ということである。
※また、臨時職員については、明文で6ヵ月以内、1回更新のみと位置づけられていて、今回の話の本題からずれるのでその是非についてはひとまずおいておく。

確かに、際限のないお手盛り雇用にならないためには、議会や市民に対する同意をする仕組みをかみこませることが必要だということは、私もそう思う。

問題は、それがすなわち予算な案の承認手続きでいいのか、ということである。予算を非常勤職員の雇用期間の根拠とする問題点として2点挙げたい。

①予算は予算のためにあり、雇用そのものを決定するものではないこと。予算が最上位の根拠となる行政施策は裁量行政という位置づけであり、職員政策がそれでよいのか、という疑問がある。
というのも、正規職員以外の職員の雇用手続きを定めた条例を自治体が作った場合には、どちらが優先されるべきなのだろうか。職員政策は自治事務であり、自治体の判断が優先される。となれば縛りはそれぞれの自治体で定める条例や要綱などの重さにより、いちがいに予算であると言い切ることはできないだろう。

②予算承認に民意の源泉を求めるとする場合、予算の提案権がどこにあるのかという問題がある。
今の地方自治法では予算の提案権は首長にしかない。市民の提案権はないどころか、議員でさえ解釈によって減額修正案を提案するのが権限として限界となっている。
自治体は大統領制のように首長を直接選ぶことになっており、そうであれば予算編成権は議会にあってもよいぐらいだ。議員内閣制の我が国の国会ですら、国会議員に組み替え修正案を提案する権利がある。予算提案権を制限するのは不思議なことであるし、自治体議員の権限を縛るものとなっている。

つまり自治体財政というのは、極めて官治主義的なもとにおかれている。

ところが、日本国憲法では、自治の本旨にしたがい、自治体は民意で運営され、その上で職員政策がある、という前提が必要だが、臨時・非常勤職員の雇用根拠が市長にしか提案できないとすると、市民にとって必要な仕事を議会が上積みしても、市長がそれを理解しなければ予算案で職員が手当されない、ということが起こりうる。マンパワーの必要な新規事業の決定権を、市議会から奪うようなものである。それに問題はないのだろうか。
現実の市議会に、事業提案能力がないため問題にならないが、今後、議会改革が進み、議会がさまざまな施策を提案し、条例化していけば、いつかこの問題にぶちあたる。

したがって、自治体予算を根拠に非常勤職員の任期を決めるやり方は問題が多いと言わざるを得ない。予算がどうであれ、本来は正規職員以外の雇用を行う必要がある自治体は、その雇用根拠となる条例を作るというのがあるべき姿ではないかと思う。予算で雇用するのは、条例の代替的根拠でしかないだろう。

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