5/31 署名簿の署名者に圧力かける自治体
滋賀県安土町が、市町村合併を推進する町長の解職を求める署名が提出された。それに対し、町が署名者に対して、署名を誰が集めに来たか確認する往復の文書を送りつけているらしい。
こういうことはどう考えても署名に対する圧力そのものだろう。署名への意志が確認できれば十分で、もっと言えば、いんちきな署名をもし集めていたとしたところで、多数派が住民投票で解職を否定すればいいことだ。
まったくもってブラックな自治体だ・・・。
市民的権利など無視した、むきだしの権力を行使する政治家が増えている。政治家の中国化と言うべきか。
ご当地の名城の主、近代(?近世?)化の推進者・織田信長が泣いている。
●新自由主義の反動で、コミュニティーを重視する考え方が見直されている。そのこと自体は結構だが、まだまだ日本社会の末端部はこうした権力的なことが行われている。そのままでコミュニティー重視をやれば、差別、偏見、権力的行為にあふれた地域社会に、個人の自由が抑圧されるだけだ。人権や、自由、民主主義が尊重される地域社会となって初めてコミュニティー重視が機能する。
悪い地域社会、地域政治を無くしていくために、ブラック企業リストがあるように、ブラック自治体のランクを作った方がいいと思う。
●事実署名簿が反対派住民のあぶり出しに使われる可能性は高く、どんな情報管理をしているのか、きちんと確認する必要があるだろう。
昨年、朝霞市の住民投票請求の署名では、署名簿縦覧期間、署名を集めた側が市役所に貼り付いて、万一、変な目的で署名簿を見る人がいないか監視した。しかしそこまでやっても市役所の手に渡った後どうなったか、きちんと管理状況を監視できるシステムはない。
●安土町の合併は、やはり「必要な投資」=公共事業の財源捻出のため、合併交付金を当て込んだもののようだ。よくわからない財政情報をもとに市民に不正確な危機感をふりまき、その陰で総務省がばらまく合併交付金で公共事業を増やして、合併後の混乱で無責任体制になって気づいた頃には結局もっと財政が悪化することになる。
後ろぐらいやり方で公共事業を推進しようとする自治体は必ず住民投票を否定したがるものだと思う。
合併して、安土町は市役所を取られるばかりでなく、多い近江八幡市の借金まで連帯して負担することになるらしい。安土町の町民の納得性が低いのも当たり前だと思う。
リコール署名「誰が集めた」 安土町選管、住民に照会2009年5月31日8時0分
滋賀県安土町選管が、津村孝司町長の解職請求(リコール)に向けて住民団体が提出した署名の効力を確認する作業として、署名した住民に対し、署名を集めにきた人の名前を尋ねる文書を郵送した。住民団体は「活動を抑えるのが目的ではないか」と憤っている。
文書は29日付で、三つの質問の最初で「署名を集めに来られた方はどなたですか」と聞き、名前を知っている場合は個人名を、知らない場合は性別とおよその年齢を記すよう求めている。ほかに、署名が町長の解職を求めるためのものであると説明を受けたかと、署名簿の表紙や町長解職請求の要旨を見たかを尋ね、6月3日必着で返送するよう求めている。
署名は、隣接の近江八幡市との合併に反対する「急ぐな合併・守ろう安土みんなの会」が町選管に提出。リコールに必要な有権者の3分の1(3291人)を上回る4209人分が集まった。町選管が有効と判断すれば、町長のリコールの是非を問う住民投票が実施される。
住民団体によると、文書は署名者に30日から届き始め、相談が相次いでいるという。大林宏代表は「リコールをつぶすためにここまでやるのか、という怒りでいっぱいだ」と話す。
一方、井上源三郎・町選管委員長によると、ある地域で郵便ポストに署名用紙を入れ、後日回収された例があったとの情報があった。署名集めが、登録された受任者によって手続き通り面談のうえ実施されたかどうかを確認するため、その地域の署名者に問い合わせをしており、「正確な審査をする上で必要なことだ」としている。
署名の効力の確認では、町は地方自治法に基づいて事情を聴くため、署名者2千人に役場への出頭を求める通知を出す切手代と、出頭した人に支払う日当の計116万円を予算化。通知書は一部がすでに発送されており、受け取った町民から「不安だ」との声も上がっていた。
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■公民権行使の自由の侵害
新藤宗幸・千葉大法経学部教授(行政学)の話 聞いたことがなく、信じがたい話だ。「リコールつぶし」とも受け止められ、住民が政治活動など公民権を行使する自由の侵害にあたるのではないか。署名の効力は通常、署名した人物が本当に住民であるかどうか、選挙人名簿に照らして確認する。筆跡が似ているなど疑わしい署名について本人に事情を聴くのは当然だが、署名を求めた人物が誰か、どういう状況で署名が集められたかなどまで尋ねる必要はない。
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