5/27 世襲禁止程度は憲法違反ではない。言論による選挙を規制する公選法こそ憲法違反ではないか。
政治家の世襲禁止の議論がされている。これについて憲法違反などということの愚を指摘した。左翼人士の中にもそういうとらえ方をする人がいて、どうなのかと思う。
憲法の一切の差別禁止を教条主義的に解釈しているだけだ。政治家の家系のある人を階級固定化していることの方が日本国憲法の精神に反するぐらいの感覚はないのだろうか。不公正な競争を規制することは、憲法違反でも何でもない。政治判断の範囲である。
しかも、今の議論は、政治家の親族が立候補してはいけないという議論をしているのではない。政治家が家族に政治資金団体をそのまま相続させることがいけないということと、同一選挙区で立候補してはならない、というのが議論されている規制の上限の話である。政治家のご子息に意欲があって資質があってどうしてもやりたいなら、他の政治家の親を持たない候補者と同じように、親と違う選挙区で、自分の力で資金集めして挑戦すればいいだけの話である。江田五月さんをはじめ、たしなみのある二世はそうしている。二世の、有名であることのメリットや親から帝王学を受けたことのメリットまで否定するつもりはない。それを言いだしたら、タレントの立候補まで規制しなければならなくなるから。だから、あまりしがらみのない違う選挙区で立候補するなら何の問題もない。
政治資金団体が実質相続できるとするなら、政治家の子どもでない人が政治家になる能力があっても、その選挙区に政治家の子息が立候補していれば、そもそもの資金力があまりにも違いすぎる。政治資金団体は一代限りとすべきだろう。
また、同一選挙区で立候補できないということがそんなに厳しい規制であるとは思えない。1994年の政治改革とその後の政界再編成で、政治家がお国替えをすることは別に珍しいことではなくなったし、だからといって当選がおぼつかないなどということも少なくなった。
政治家の質を高めるために選挙で大事なことは、問題のある現職を落選させることが容易にできる制度かどうか、それと、新たなチャレンジャーができるだけ対等な力で政治に参加できるような制度化どうか、ということだろう。
それよりも、自由権、そのなかでとりわけ重要な政治活動の自由が、近年、マンションのビラ配布でも住居不法侵入に問われるようになり、選挙制度は、ファシズム時代のまんまの選挙規制で普通の人が参加できない、選挙マニアしか選挙に関われない、そんな制度が放置されていることの方が、選挙制度と憲法のことを議論するなら、憲法違反だと声を挙げてほしい。
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コメント
松沢呉一氏も、なかなか示唆深いことを言っているんですよね。
http://www.pot.co.jp/matsukuro/%E3%81%8A%E9%83%A8%E5%B1%8B1854%E7%9F%A2%E9%87%8E%E7%A9%82%E7%A9%8D%E3%83%BB%E6%9C%9D%E6%9C%A8%E7%9B%B4%E5%AD%90%E3%81%8C%E5%B8%82%E8%AD%B0%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E7%90%86%E7%94%B1.html
組織力や資金力の差という問題に加えて、有権者の側に親の"実績"の面影を世襲候補に見出すという性向。これって職業選択何鱈の問題じゃなくて、参入障壁の問題だとしか思えません。そうした議論が何故起きないのだろう・・・・・
投稿: 杉山真大 | 2009.05.27 23:26
まぁ、資金や組織という見えるものでない、有権者の名望家を評価したがる意識というのは測定不可能なので規制するのは難しいのではないでしょうか。
確かに参入障壁という面はあるのでしょうが。
ただし、資金や組織を二世でない人と対等な条件にすれば、ある程度の能力がない二世は淘汰されることでしょう。
東村山の場合は、先代が非業の死を遂げたというイメージが効いているのでしょうね。あの街に住むのは訴訟リスクが高くて不幸ですね。うちの組合員の非常勤職員も、彼らによって彼らに退職慰労金数万円をはぎ取られる危機がありました。
投稿: 管理人 | 2009.05.30 16:25