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2009.05.02

5/1 祝メーデー80回

本当は今日がメーデーの日。先人たちが血を流し、弾圧を受けた歴史の中から、今日があることをかみしめるべき日。

バブル期に貧困がなくなったかのように言われ、そして90年代の市民主義の謳歌と、団塊の世代が富裕層化した結果(そしてその子どもたちが留学だの自己実現だのやれるひとときの余裕があったため)、労働と生活がどっかいっちゃった社会変革の議論ばかりが続いた。その結果が醜悪な小泉構造改革と、その反動としての今日の景気対策の理念なき大盤振る舞い。

毎日新聞の夕刊に「労働運動は今」という記事が出ていて、昭和女子大の木下武夫さんが良いことをコメントしている。

労働組合とは、労働力という商品の安売りを団結によって防止する団体です。たったそれだけのことです。社会の体制を変革するための団体では決してありません

後段のコメントはそのままウンと言えるわけではないが、少なくとも前半はまったくその通りで、このことが理解できないと、労働組合は単なるインナーサークルの互助組織としか理解できない。結果、正社員の特権を維持し拡大するためだけの機能しかなくなる。賃金や雇用の安定ばかりではなく、福利厚生や社内行事、出張みやげのお菓子配りまで、「組合費の対価」という言葉のなのもとに差別して当たり前という感覚が染みついてしまう。
非正規労働者や派遣労働者、請負会社の労働者に労働組合を作って入れていくことの意義が理解して、労働力を安売りせざるを得ない状況におかれた彼らと手をつなぎ、安売りしなくてよくすることが、みんなを守ることになる。

しかし、現場では、あいつら、こいつら、という労働者どうしの足の引っ張り合いがどうしても起こる。それを何とかするのが専従者の仕事だと思う。

もう1つ、日本の労働法というのが非常にラジカルなもので、団結権においては世界水準から相当ラジカルであるし、協約締結権(団体交渉権)においては、日本の法体系の中では異色の、法の支配が貫徹している世界である。団結権をベースにした交渉にもとづく労働協約が尊重される仕組みになっている。

しかし、組合組織率の低下で、労働組合のある職場が、経営者に容認されている職場ばかりになってきて、労働協約権の重みがだんだんなくなっている面も否定できない。

あと最近の動きでは、NPOやワーカーズコレクティブのように、能動的な働き方がポジティブに捉えられ、数は少ないものの広がる可能性が出てきている。それ自体はすばらしいことだ。しかしそこで大事なことは、そこにも所詮使う・使われるという労働がどうしてもあって、そこで得られる報酬が、自己を再生産させることができるかどうかという問題もある。そのことを直視すべき段階に来ていることだろう。そしてNPOやワーカーズの労働者にも労働基本権を認め、彼らは彼らなりの労使のあり方を確立すべきときにきている。

そうしたことを噛みしめる、記念日である。

第一回メーデーのスローガン、「八時間労働制の実施」「失業の防止」「最低賃金法の制定」が、今日、再び重い課題になっている。

晴れた五月 【作詞】江森盛弥 【作曲】関 忠亮
1.晴れた五月の青空に/うたごえ高くひびかせて/進むわれらの先頭に/なびくは赤い組合旗
2.歴史も永いメーデーの/血でそめられたこの旗は/ああ万国の労働者/団結せよと叫んでる
3.人民解放戦線の/前衛われら労働者/たたかいぬこう勝ち抜こう/かかげよ高く赤旗を

ついでにインターナショナルもと思ったが、またの機会に紹介したい。

●はてなキーワードにインチキが書いてあって、インターナショナルの解説が「1917年~1944年の間旧ソビエト連邦の国歌でもあった、最も有名な共産主義の歌の題名でもある。」となっている。どいつだこんな知ったかぶりを書いたのは。
インターナショナルは、最も有名な労働歌である。発祥はフランスである。共産主義と一線を引いている西欧社民主義やその傘下にある労働組合もよく歌うし、意外にも、旧民社党系労組もよく歌うから、共産主義の歌ではない。本当に失礼してしまう。日本では、社会党右派系労組が歌いたがらないので誤解されている。さらにソ連は、この国際労働歌を国歌にしてしまった。ただし、これを国歌としていた時代は、ソ連はロシア民族のものではない、と自己規定していたから矛盾はない。
ソ連がロシア民族を中心とした国として残らなくてはならない、とスターリンが自己規定し直して、国歌が変わった。共産主義色の強かった歌詞は変更され、今、ロシア正教とロシア民族の栄光を讃える内容になっている。

●団結権を行使しない朝霞市の職員はどうするつもりなんだろうか。3年後に人事院が廃止されて公務員に労働協約締結権が降りてくる可能性が高い。そのときに組合もないなんて、人事当局にいいようにされても文句が言えない。組合もない職員の賃金・労働条件について経営者は好きにやってよいというのが法の支配のもとにある日本の労働法制である。

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