« 4/14 人減らしばっかりやっている東京の地下鉄と人を手厚く配置している地方鉄道 | トップページ | 4/19 宝塚市長に中川智子さん »

2009.04.19

4/19 高速道均一1000円の弊害が続々

高速道路一律1000円の弊害があちこちに出ている。

宇高連絡船が廃止になる。地場民間業者が官業の圧力にさらされている。この他にも、都市間高速バスに存亡を賭けてきた地方のバス会社、JRなどもひどいめにあっている。

土曜日の出張の帰り、羽田からバスに乗ったが、高速道路から首都高速に流れ込んできたマイカーによって、いたるところで渋滞していた。ふだんの2倍の時間がかかった。

情けないのは、政策より政党より、人物で選ぶ日本の政治風土において、税金を使った高速道路の割引をやめろ、とは政治家が言えないこと。国民のつまらない欲望にNoと言えないこと。港湾利用料を下げろだとか、こっちにもカネ寄越せということぐらい。それで問題の構造が変わるものではない。

今回の高速道路の一律1000円は、道路公団が負けてくれているのではなくて、あくまでも税金を使っていること。欲望を刺激されて渋滞してまで使った高速道路の利用者のツケを税金によって道路公団に垂れ流しているということになる。こんな不公正、不公平な競争条件が放置されれば、新自由主義者ではないが歪められていく。

誰が儲かるかと言えば、観光業者もそうだが、税金を使うほどの効果ではない。利用者が増えて、しかも税金から補助を受けてジャブジャブお金を受ける道路公団である。道路公団がその金をどのように使うのかはわからない。政治家がたかって道路を造らせない限りは、市場に放出されないお金になる。そして、誰より儲かるのは、石油業界である。迷惑蒙るのは、バス、船舶、鉄道などの公共交通機関であり、渋滞による国民生活への不便の強要である。公共交通機関を運営する会社が倒産したり、廃業を迫られれば、マイカーを持たない国民への迫害にもなる。クルマを買うことに、1000円の政策が何のインセンティブもないことから、日本経済を牽引するはずの自動車製造業には、微々たる買い換え需要の恩恵しかないだろう。

もはや庶民がマイカーで遠出することを促進することに何の価値があるのかわからない時代になっていきているのに、未だにマイカーを使えば使うほど豊かな社会であるという古い価値観に囚われ、それを促す政策をとることが、この国の社会構造の変化を歪めている、ということも言い添えたい。

●宇高連絡船の廃止について、フェリー好きの私は、趣味としてとても残念な思いをしている。時速50~60キロの乗り物をオープンテラスで風を感じて乗れる公共交通はフェリーだけである。

宇高連絡船:100年の歴史、存続の危機 ETC割引影響
2009年4月19日 13時54分 更新:4月19日 18時14分毎日新聞

宇野-高松航路が発着するフェリー乗り場。一部の業者は撤退、残る業者も苦戦している=岡山県玉野市の宇野港で、椋田佳代撮影 宇高連絡船として旧国鉄時代から約100年の歴史を誇る宇野(岡山県玉野市)-高松航路が、高速道路料金の割引により瀬戸大橋利用が増え、存続の危機にある。同区間を運航するフェリー3社のうち津国汽船(同市)は1日に撤退、他の2社も「歴史ある航路を残したいが、収支を見極めて」と先行きは不透明で、地元自治体は国へ支援を求めている。【椋田佳代】

 同航路は1910(明治43)年、旧国鉄宇野線の開通に合わせて開設された。津国汽船は59年から運航を始め、04年からは四国フェリー(高松市)との共同運航で、24時間往復50便を運航していた。

 津国汽船によると、燃料高騰に加え、昨年9月から顧客の約8割を占めるトラックが、高速料金が3~5割引きになるETC割引で激減。昨秋以降1日40~44便に減便して対応したが、利用者減は続き、平均積載率は5割未満に。マイカー客も、今年3月から休日の高速料金が1000円とフェリー運賃の約3分の1になり減少、経営圧迫に追い打ちをかけた。

 四国フェリーの堀川智司専務は「トラック割引の影響が大きい。営業しても、運賃割引を求められるので、八方ふさがり」と話す。同航路には国道フェリー(高松市)も就航するが、同社は「ゴールデンウイークごろまでに収支がどうなるかを把握して、対応を考えたい」としている。

 こうした事態を受け、黒田晋・玉野市長、大西秀人・高松市長は今月7日、国交省を訪れ、港湾使用料の減免などの支援策を求めた。瀬戸大橋完成時は、本四特措法が制定され、事業を廃止・縮小する海運業者に国から計119億円の交付金を支払ったことがある。

|

« 4/14 人減らしばっかりやっている東京の地下鉄と人を手厚く配置している地方鉄道 | トップページ | 4/19 宝塚市長に中川智子さん »

コメント

じゃ どうしたらいいの?

投稿: 国民A | 2009.04.20 01:02

普通に読んでいただければ、高速道1000円均一などという愚策はすぐにやめるべき、と私が考えていることがおわかりですよね。景気対策はお金をきちんと使ってくれるところに使うべきでしょう。

投稿: 管理人 | 2009.04.20 07:12

2年後のことを考えると、ぞっとします。
バスやフェリーなどの公共交通機関が衰退し、地方の足と言えば、まるでアメリカみたいにマイカーのみ。
そこでさらに道路が必要と言うことで、道路建設が増え、高速道路はETC割引が終わって利用料が高くなる。

結果的に国民の負担は増えそうな感じですね。

投稿: iulius | 2009.04.20 10:35

この、高速1000円に関して、CO2やNOxのことを言っている人が(私の知っている限り)あまりいないのが不思議。
各国で、温暖化対策に税金を使っているときに、日本では、税金でガソリン消費量を増やすことを奨励しているのですから。

投稿: あさか市民 | 2009.04.20 20:27

iuliusさま
まったくその通りだと思います。高速道路が高コスト構造になっていることそのものにメスを入れずに、税金をつぎ込んでいるだけですから、結果はどうなるのか、見えています。
民主党の高速道路タダという政策もありますが、あちらは道路公団を解散させていく方向ですから、私の望む方向ではありませんが、今より少しましです。

あさか市民さま
まったくその通りで、グリーンエコみたいな幻想ふりまいて、環境にやさしいクルマとか言っているのに、そもそもマイカー利用を奨励したら意味がないではないですかね。
水よりガソリンが安いってアメリカのことバカにしていましたけど、水をコンビニで買うようになって、日本の現実はすでにそうなってしまっています。
どこに行くにもマイカー、市民運動もマイカー、環境にやさしいことをするために燃料をポッポポッポと燃やしていること、そうしたことに無検証できたツケがこの政策に環境運動の側が痛烈な批判をしていないことに現れているのでしょう。

投稿: 管理人 | 2009.04.20 23:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 4/14 人減らしばっかりやっている東京の地下鉄と人を手厚く配置している地方鉄道 | トップページ | 4/19 宝塚市長に中川智子さん »