3/30 学級会並みの法律文化に郷原信郎氏のいい批判
小沢一郎を政治資金規正法でやるのは難しい、とあちこちで言っている郷原信郎「思考停止社会 ~「遵守」に蝕まれる日本」(講談社現代新書)を読む。
小沢一郎の疑惑に対する法的な検証がきちんとしているので、読んでみた。
私の守備範囲で言うと、社会保険庁の「改ざん」が社会保険庁の職員の悪意によるものなのか、という疑問に、初めてこたえてくれる文章であったと思う。調査委員会の委員をつとめたことから、そのことの意味は大きい。
「改ざん」と呼ばれることをしなければ、労働者は年金権を失い、経営者は未納保険料のために資産差し押さえを受け、事業も雇用も年金もなくなっていた危険性かあったと著者は指摘する。そうした中で、年金管理を担う職員として、何とかやりくりする手段として、すでに納められていた保険料の中で滞納金を整理する必要があったのではないか、と言う。少なくともマスコミが言うように社会保険庁が、必要もないのに改ざんを経営者に勧めていたなどという事実はなかったと郷原氏は指摘する。
社会保険庁とその職員を必要以上に貶めて、普通なら失職しないような軽微なペナルティーまで含めて新組織移行の際に失職をさせるところまで報道は煽った。その結果、公的年金を管理する新会社に、社会保険庁職員は移りたがらず定員割れでスタートする様相。今後もバッシングもおさまる雰囲気もなく、新組織発足とともに、社会保険庁職員がいくらふんばっても努力しても、事務が維持できず、公的年金が崩壊するところまでいく可能性もある。
社会保険庁や職員への必要以上のバッシング、そしてそこから広がる担い手の不足、そして次には公的年金の管理の崩壊、それは、長妻氏の背後にいるアメリカ資本の思うツボなんだろう、と私は何度か指摘してきたが、ここにきて、現実味をおびている。
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