3/23 共働きに役に立つ保育園を
田舎の男は封建的だから、女性の社会進出は遅れている、みたいな先入観が強いことは、いろいろな場で確認できる。共働き率が全国で高い地域と低い地域はどこか、ということに多くの人は全く逆のことを答える。
共働き率が高いのは福井県。続いて富山、石川と並ぶ。低いのは、神奈川県、東京都、奈良県、大阪府、兵庫県、埼玉県・・・。
面白い研究成果が出ているみたいで、朝日新聞で「働く女の壁、都会は育児・地方は介護」という記事になっている。
首都圏や近畿圏について言うと、本当に保育所のやっていることの水準が低い。左翼は子どもの権利をふりかざし、右翼は親子の愛情を強調して、延長保育を否定的に捉えているところも多い。そうして保育所から切り落とされたこどもたちは、もっと劣悪な保育施設に預けざるを得ないことに、自治体も保育関係者も「託児は保育ではない」とか、わけのわからない論理で頬被りしている。基本的な保育サービスもきちんとやっていないのに、すぐ質と称して、保育技術の話にすり替えるのも良くない。
家庭と育児が両立できなければ保育所の役割なんて意味がないんだってば。保育所ができが悪くて、保護者の仕事の仕方に無理がきて、そのことで保護者の家庭が維持できなくなって家庭崩壊したら、保育所があった意味なんて本当にないと思う。
働く女の壁、都会は育児・地方は介護 総研が就業率分析
2009年3月25日0時23分朝日新聞
都市部では育児、地方では介護が、女性の就業率向上を妨げる主な要因になっていることが、日本総合研究所の調査でわかった。核家族化で育児のサポートが少ない都市部ほど女性の就業率が低い半面、地方では親の介護に直面する40代後半以降、女性の就業率が急落する。
国勢調査などをもとに分析したところ、25~59歳の既婚女性の就業率(05年)トップは山形県の74%で、東北、北陸、山陰地方で就業率が高い。最下位は奈良県の49%。次いで大阪府、神奈川県、東京都の順に低く、就業機会が多いはずの都市部の低さが目立つ。3世代同居世帯の比率が高い県ほど若い女性の就業率が高まる傾向がみられた。
就業率が高い地方の3県(山形、福井、富山)と大都市部(東京、神奈川、大阪)の既婚女性の年代別就業率を比べると、20代後半から30代前半にかけて大都市部では2%幅下がるのに対し、地方3県では4%幅上がる。都市部は核家族化で親の育児支援を受けにくいことに加え、子を持つ夫の通勤時間は大都市部が地方3県より40分長い。妻一人に育児の負担が集中し、就業を妨げている構図だ。
一方、地方3県の既婚女性就業率は40代後半の83%をピークに、50代後半では66%と急落する。人口あたり訪問介護事業所数が少ない地方で就業率の下がり方が大きい傾向もみられ、親の介護が就業のネックになっている実情が浮かぶ。
日本総研の小西功二研究員は「都市部では公的な育児支援の拡充、地方では介護サービスの充実と、地域性に合わせた対策を講じることで女性就業率の向上が期待できる」としている。(野沢哲也)
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コメント
23区は比較的、延長保育などの対応は良いのでは?
投稿: o-tsuka | 2009.03.25 12:23
単に延長保育というと、30分延長した11時間30分開所(7時~18時30分)で延長保育実施となります。それでいうと実施していないところはほんとうに僅かになりました。
ところが、通勤時間に1時間はかかる都民のニーズにどれだけ寄り添っているかという実態でいうと、実は北陸や九州の保育所に比べて23区の保育所は全体的に見劣りがします。もちろん数が多いので、産休明け保育や、長時間保育、夜間保育などもありますが、全体からいうとものすごい少ない数です。
21世紀に入って、全国的に7時~19時保育が標準となっているときに、8時~18時保育をやっていた保育所がごろごろしていたのが23区でした。
小泉政権下では、都内に住んでいる文化人(左より含む)から、認可保育所批判が強くなされたことがあります。そういう文化人の声高な批判を抑えてもらうため説得して歩いていたときに、そうした都区内の現状を何とかしてほしいと思ったものです。
男性の所得が高いため専業主婦率が高くて、何かというと保育園に預けるということに対して「育児放棄」みたいな議論が出てきたり、認可外保育施設がそこそこあったりする土地柄で、保育所のサービスが多少悪くても住民の生活が決定的に行き詰まることがなかったからでしょう。
保育所をセーフティーネットとしてとらえたときに、延長保育や休日保育の実施が問われますが、さらには、病児保育なんかも指標になると思いますが、首都圏は23区も含めて惨憺たる結果です。保育所がセーフティーネットという位置づけがされていないからでしょう。
九州では10万規模の都市にはだいたい1つは病児保育を実施している保育所か診療所があります。
一方、首都圏で目立つのは補助金目当ての子育て支援センター併設保育所です。本来児童虐待防止とか地域ネットワークづくりをしなければならないのですが、行政サービスの情報に詳しい親たちのたまり場みたいになっているところが少なくないようです。
投稿: 管理人 | 2009.03.25 22:45
この新聞記事には、なんだか言いようのない抵抗感を感じます。
なぜ就業が必要なのか、そして、その壁は女性だけの問題なのかを、もう少し掘り下げて書いて欲しかった。
私がお世話になっている保育園の方は、とても頑張ってらっしゃいます。
先生方にも、先生をしつつ子育てされている方もいて、共に苦労を分かち合える気がします。延長保育でもお世話になっています。
ですから、個人的には、保育園関係者の水準不足というのには躊躇を覚えます。むしろ、いろいろな制約が多すぎて手が回らないということなのではないでしょうか。
この記事でいう「壁」は、朝日新聞が言う「働く女」だけのものではなく、家庭全体のものです。そもそも「働く女」という言い方自体に、拒否感を覚えます。女性が都合で育児ができなかったり、母親が不在である場合等で、男性が育児に迫られれば、「働く男」の壁でもあるからです。
共働きでない同僚からは「ダブルインカムはいいね」のようなことを言われ、あぁこれが現実なんだとため息が出ます。私は、これこそが「壁」ではないかと思うのです。
勤労権は、憲法で保障された権利であり、仮に憲法に書いてないとしても認められるべき基本的人権です。
男性も女性も、共に小さい頃から頑張って勉強してきたのに、なぜ育児や介護を背負ったら職を手放さなきゃ、または、就職をあきらめなきゃいけないのか、途方にくれるでしょう。このような状態は、社会として本来容認されるべきではないはずです。
しかも、行政等が保育や介護のニーズがあるのを十分承知しているはずなのに充実しないのは、やはり社会が女性の勤労権を認めていないからじゃないかと思うのです。
それ故に、家庭が、本来愛すべきわが子や親を疎ましく考えてしまわないとも限らないのです。
今週は、子供の病気で、仕事を休んでばかりです。
だからこそ、仕事ができるときは、効率的に進めるべく努力をしますが、限界もあります。
家持ち土地持ちの裕福な家庭でない限り、都心部で両親と同居できる家には住めませんし、東京一極集中の状況で仕事が首都圏に集まっている状況では地方で就職することも難しく、住み慣れた地元から両親を上京させるわけにもいきません。
このような日本社会になった以上、育児や介護を担う仕事は、水道のように必要不可欠な社会インフラとして認めていただきたいものです。
誰もが介護や育児を背負う立場ならば、自然にそういうインフラができるはずです。今それができないのは、泣き寝入りしている人がいるからに違いありません。
投稿: 共働き子育て中の父親 | 2009.03.26 17:37
丁寧な解説、ありがとうございました。
都市部では情報格差が問題になっているということもありそうですね。
投稿: o-tsuka | 2009.03.31 13:26